米国テキサスの動物保護団体は、犬猫たちを地元の動物園に連れていき、動物同士の交流をする「遠足」を実施しました。動物たちは、お互いに珍しい生き物を、好奇心いっぱいでながめて楽しんだようです。
この企画は、コロナウィルスによるパンデミックで厳しい財政状況を強いられている保護団体と動物園が、それぞれの活動を知ってもらい、サポートの輪を広げるために実施したものです。
厳しい財政状況が続く中、このユニークな企画によって、人々の動物愛護活動への注目が集まることが期待されています。
保護された犬猫がパンデミック中の動物園で遠足
多くの人々が、コロナウィルス禍で退屈な自己隔離を強いられる一方で、動物たちは楽しい時間を過ごしています。野生動物や野良の生き物たちは、誰もいない道路を歩き回って、ごみ箱から餌をあさったり、閑散とした商店街で昼寝をしたりしています。
でも何といっても、動物園の動物たちが、一番楽しんでいるのです。同じ施設で何年も過ごしたあげく、やっとのことで他の動物たちに出会うチャンスがやってきたのですから。
施設に保護された犬猫が、遠足で動物園を訪れたとき、そこの動物たちは、異種の「友達」と仲良く交流したのです。
先月、テキサス動物保護協会は、保護した犬猫を、サン・アントニオ動物園へ遠足に連れていくことにしました。
コロナウィルスによる自宅待機命令中という、めったにない機会を利用して、犬や猫が、ライオンやひょう、サル、キリンといった、めずらしい動物たちとふれあうチャンスにしようと考えたのです。
明らかに、犬猫は喜んでいます。ビデオによれば、めずらしい動物の友達を前に、しっぽをしきりに振っています。
「どの動物も、この行事でユニークな体験ができました。動物同士が交流しているのを見るのは、うっとりしますね。
なかでも、ラブラドール混の雑種犬カーラ(生後7か月)は、一番興奮していました。カーラのお気に入りはキリンで、キリンのほうも、変な動物がいるな、と同様に興味津々でした。
子猫たちは、カバや魚にびっくりしていて、6歳のエラ(ラブラドール混雑種)は、テナガザルが綱から綱へとわたっていくのを、楽しそうに見ていました」
同協会の開発マーケティングマネージャー、ミッシェル・ソーソンさんはこう話してくれました。
動物の保護活動を知ってもらう機会に
同協会は、動物を殺さないシェルターとしては、テキサス州内でもっとも歴史の長い組織です。でも、コロナウィルス禍で、厳しい運営を強いられています。近くにあるサン・アントニオ動物園も、状況は同じです。
「双方とも、このパンデミックで大きな影響を受けています。事業収入や寄付金が激減しているのです」
とミッシェルさん。そこで、どちらの施設にも注目が集まるような地域イベントを思いついたそうです。
「動物の大小にかかわらず、動物の福祉活動を続けている2つの組織を、もっと知ってもらいたかったのです。
どちらの組織も同様の養育とエンリッチ(飼育環境を工夫して動物の発達をうながすこと)プログラムがあるのですが、ほとんど知られていません。
でも、動物の健康福祉には欠かせないプログラムなんです。ソーシャルメディアで、この楽しい遠足についてお知らせすることで、このすばらしい地域共同体に強くかかわることができるし、双方の動物の正常な発達をうながし、福祉を向上させることにもつながります。」
ミッシェルさんは、この困難な状況の下で、ぜひ手を貸してほしいと人々に呼びかけています。
「私たちは、休みなく命を救う活動を続けています。活動はかつてないほど多くなっています。うちでやっていた、去勢・避妊手術や健康クリニックなどの低価格サービスは、これまで救命活動のための資金源になっていましたが、パンデミックで休止に追い込まれました。今はかつてないほどに、私たちのプログラムを支える資金が必要なのです。できることをお願いします。動物を引き取ったり、一時的に世話したり、ボランティア活動を手伝ったり、寄付したり・・・あなたができることを、ぜひお願いしたいのです。」
サン・アントニオ動物園もまた、予期せぬ閉鎖で困難な状況にあるため、ぜひサポートしてほしいと呼びかけています。
出典:boredpanda