山火事の鎮火にあたり、過労を余儀なくされている消防士たちを支援するセラピードッグ『ケリス』。その愛情深さと活動が世界中で注目されています。
消防士に寄り添うゴールデンレトリバー『ケリス』
カリフォルニア州で暮らす2歳のゴールデンレトリバー『ケリス』は当初、視覚障害者を支援する盲導犬として育てられました。
しかし、その陽気で愛情深い性格から飼い主のハイディ・カーマンさんは、認定セラピードッグのほうがよりケリスに向いていると判断したといいます。
「彼女が人々への愛と献身のために優れたセラピードッグになることは幼い頃から明らかだった 」
そして訓練組織『ペットパートナーズ』で一連のトレーニングを受け、評価をクリアしたケリスはカリフォルニア州にある病院の救急科で働き始め、患者やその家族、病院のスタッフを訪問していました。
消防士に恋をしたケリス
「それは一目惚れでした」
活動のなかで消防士たちと出会ったケリス。互いにひと目で恋に落ちたといいます。そしてすぐに彼らが働くステーションにケリスは訪問するようになりました。
カリフォルニア州全体に山火事が広がり始めた後、ハイディさんは当直中の消防士たちがケリスの愛とサポートを必要としていることに気づきました。これまでにハイディさんとケリスは、マリン郡のウッドワード火災のベースキャンプ、フレズノ郡のクリーク火災のベースキャンプに訪問したといいます。
山火事はゴールデンステイト州全体に広がり続けており、消防士たちは24時間体制で山火事を封じ込めるためたゆまぬ努力を続けています。そしてケリスは命を懸けて働く消防士たちをサポートし、士気をあげるため寄り添い、惜しみない愛情を注ぎます。
ケリスのセラピー犬としての才能
ハイディさんは、ケリスは人のエネルギーにマッチするという驚くべき性質、才能を持っていると語ります。
「消防士がとても興奮していて転がって遊べるように地面に寝そべっているなら、ケリスはより高いエネルギーを持って彼らと一緒におバカなことをするでしょう。消防士がただ静かにストレスを感じて引きこもっているなら、ケリスはただそばで寄り添い、時には足元に座って『あなたが私を必要とする限り、あなたのためにここにいる』と言うかのように身を寄せます」
つまり、対する人にとって最も必要なサポートを指示されることなく、自然にやってのけるというのです。ハイディさんの”ケリスは素晴らしいセラピードッグになる”という判断は、間違いなく正しいものだったのでしょう。
ケリスは今日も人々の心を救うために仕事に励みます。犬を含め、すべての人間を愛してやまないというケリスの冒険はまだまだ始まったばかりです。