ルーマニアの町で暮らす高齢の野良犬は、温和な性格で地域犬として人々に親しまれてきました。それでも野良生活は危険がいっぱい。保護団体に引き取られた犬は、治療を受けて元気になり、飼い犬へと変身を遂げました。
野良犬が街をうろつく
ルーマニアを旅行で訪れていた外国人が、野良犬について「ホウル・オブ・ア・ドッグ」に通報したのです。
その人が小さな観光都市に滞在中、ずっとその野良犬がうろついていたというのです。
現地に到着した同団体のスタッフに、地元の人は「この犬はずっとこのあたりで野良として暮らしている」と教えてくれました。
地域の人々は、みな犬のことを知っているようです。
私たちはこの犬をヘレンと名付けました。
この犬は「地域犬」として人々に受け入れられているラッキーな野良犬のようです。というのも、比較的安全な場所で寝泊まりし、通行人から残飯をもらって暮らしていたからです。
でも路上生活は困難なものです。とくにヘレンのような高齢犬にとっては。寒い冬や雨降りや嵐のときも、外で過ごさなければならないのです。医療も受けられないし、車に轢かれる危険もあり、ときに乱暴な人からいじめられることもあります。
従順にケージへ
ボランティアが餌を与えながら首輪をかけます。
ヘレンはこの時を待っていたかのように従順でした。
ケージに入れ、車で2時間離れた獣医のもとへ向かいました。
ヘレンの耳に着けられているタグは、2013年まで実施された、野犬に避妊手術をして放つプログラムの時のものです。つまりヘレンは野良として捕獲され避妊手術を受け、放たれた犬です。それから6年以上も単独で暮らしているということです。
ヘレンは診察や血液検査を受けました。そしてアナプラズマ病とマダニ感染症があると診断されました。いま投薬を受けています。
ヘレンは「ホウル・オブ・ア・ドッグ」の施設で安全に生活しています。
きっと、これが今までで初めて体験するシャワーでしょうね。
犬人生の新しいスタートです! おもちゃを見て興味深々。犬の友達もいます。
1ヵ月たって、また獣医の診察を受けました。血液検査の結果も問題ありません。
ヘレンはお散歩が大好きです。
性格も温和で、社交的。誰に対してもお行儀よくふるまう、すばらしい犬です。
ヘレンはたぶん7歳くらいでしょう。
こんなにすてきな犬がずっと野良生活を送っていたことに、心が痛みます。毎日通り過ぎる大勢の人々を見つめていたのです。
ヘレンの引き取り先が決まりました。みなさんのご協力ありがとうございました。
あたらしい家庭で暮らすヘレンのその後は、こちらでご覧いただけます。