見かけも良くない、すぐ吠える、言う事を聞かない。そんな問題児(犬)だった僕にも出来る仕事があったのです。映画俳優としてデビュー。初めはスタントからだったけれど、立派に主役の座を手に入れました。
『不朽の名作』名犬ラッシー
犬を題材にした映画やドラマ、アニメは数ありますが、その中でも一度は聞いたことがある名前、ラッシー。若い方々には馴染みが薄いかもしれませんが、名犬と言えば、ラッシーと答えが返ってくるほど有名な犬なのです。初めて、名犬ラッシーが映画の世界に登場したのは今から約80年も前。それから幾度となくリメイクされている不朽の名作です。
この主人公を演じているのが「パル」と言う名前のラフ・コリー犬です。やたら吠える、オートバイを追いかける等手に負えない犬でしたが、動物調教師に預けられて状況は少し改善されました。しかし、元の飼い主からは手放され、結局彼を訓練した調教師に引き取られたのです。その出会いがパルの映画の世界での成功につながって行くなんて、その時誰が思ったでしょうか。
ラフコリーと言う犬種ですが、その特徴として、首周りの豊かな毛並みと細長い顔立ち、賢く温和な性格、頭が良く、躾がしやすい点が挙げられます。体重も20~30キロ程になる大型犬です。その大きさからアメリカやオーストラリアで人気があり、住宅事情などの影響で日本では飼育頭数が減少しています。代わりに日本では、同じ様な形態で2回りほど小さいシェットランドシープドックの頭数が増えています。
映画デビューのきっかけ
パルは始めから名犬ラッシーの主役だったわけではありません。ラッシーと言う名前は、フィンランド語で”お嬢さん””少女”と言う意味なのでそれを女性の犬が演じていました。
彼は、その犬のスタント犬として撮影に参加していたのですが、ある日の撮影をきっかけにその座に座る事になったのです。パルが見事にそのスタントをこなし、ラッシーになりきっていたのを認められたからです。その日を境にパルの映画スター犬への道が始まりました。
名犬ラッシーの物語は、ラッシーが元飼い主の元へ800キロもの道のりを歩いて帰る冒険ストーリですが、その続編も次々製作され、パルは時の犬となったのです。
パルの引退後
アメリカ・ハリウッドの名所”ウォーク・オブ・フェーム”。星形の中にスターの手形が刻まれている場所に名犬ラッシーの名前があります。
名犬ラッシーのシリーズでは、合計9匹のラッシーがその役をこなしていましたが、そのほとんどがパルの子孫になります。パルは晩年息子の撮影風景をスタジオで見ていることもありましたが、1958年18歳で亡くなりました。人間に換算すると85才になります。
彼が亡くなった時寝食を共にしていたウェザーワックスの憔悴振りは目に余るほどだっと言います。それ程彼はパルの事を愛していたのです。