ミドル島ではマレンマ・シープドッグを番犬にしてコガタペンギンを狐などの捕食者から護り絶滅の危機から救うプロジェクトが進行中だが、番犬のリーダーとして8年間ペンギンを護ってきたトゥーラが死んだ。
ペンギンを護るマレンマ・シープドッグたちの中心だったトゥーラ

出典: https://iheartdogs.com/update-tula-the-maremma-dies-after-8-years-protecting-penguins-from-extinction/
2006年から、マレンマ・シープドッグたちは、オーストラリアのヴィクトリア州にあるウォーナンブールのミドル島で、絶滅の危機にあるペンギンたちを護ってきました。ここで働くマレンマ・シープドッグたちは特別な技能を持ち、ペンギンが狐に殺されることを防いでいます。
この犬たちの驚異的な働きは2015年の映画「Oddball.」のテーマにもなりました。ミドル島で8年もペンギンを護ってきて、ペンギンの番犬のリーダーであるトゥーラはこの映画に大きな影響を与えましたが、残念なことに2021年10月末、13歳で死にました。

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ミドル島の犬のハンドラーであるトリシュ・コルベット博士はトゥーラの良い思い出を持っています。
「トゥーラは番犬のリーダーでした。危険を察知するといつも一番に跳びあがって吠えていました。ミドル島がトゥーラの縄張りでした。本能的に、島を護ることが大好きでした」
トゥーラは死ぬ前に十字靭帯の手術を2回受け、関節炎でした。トゥーラが死んだことはショックですが、ハンドラーたちはトゥーラは人生を全うしたと思っています。トゥーラは愛に包まれて安らかに逝きました。
「トゥーラは死ぬ前の晩、訪ねて来た大好きな人々といっしょに過ごし、好きな食べ物をお腹いっぱい食べて眠りにつきました」
トゥーラとユーディ

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悲しいことにトゥーラの妹のユーディも6月に骨の癌で死にました。ウォーナンブール市長のリチャード・ジーグラーは島のペンギンのために何年も働いてくれたトゥーラとユーデイに「2頭の英雄的な犬たちへの追悼の辞」として感謝の意を表しました。
「1つの時代の終わりです。ペンギンの保護を目的とする本プロジェクトは世界で最も革新的なものの1つです。トゥーラとユーデイが築き上げた遺産が、次の世代のマレンマ・シープドッグたちや本プロジェクトに尽力してくれている人々の中に生き続けるでしょう」
犬たちの灰は2021年11月5日の追悼式の間にミドル島に撒かれる予定です。式は、Facebookの「ミドル島のマレンマ・シープドッグによるペンギン保護プロジェクト」のページでオンラインで見ることができます。

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「ミドル島のマレンマ・シープドッグによるペンギン保護プロジェクト」のページはトゥーラとユーディに哀悼の意を表し、この重要なプロジェクトは2頭がいなくなっても続いて行くと宣言しました。
「トゥーラとユーディは再びいっしょになりました。2頭はこのプロジェクトの中心でした。この姉妹は次世代の犬たちを訓練し、その犬たちが島を護る仕事を引き継いでくれました」
2021年3月23日のオリジナルの投稿
犬たちは人間との関わりが始まった当初から重要な仕事をしてきました。犬たちのユニークな能力と、喜んで学ぶことと人を喜ばせたいという気持ちとが相まって介護から法の執行に至る広範囲な仕事をすることを可能にしました。
マレンマ・シープドッグを例にとると、オーストラリアの牧羊犬で、彼らの特殊な技能を利用してある種のペンギンを絶滅の危機から救うことにしたのです。
「ミドル島のマレンマ・シープドッグ」として知られる驚異的な犬たちは、個体数が減少しているコガタペンギンを護るために地方政府が特別にリストにあげた犬たちです。犬たちは世界で初めて、繁殖期のペンギンを護るために訓練されて島に配置されました。
ミドル島のマレンマ・シープドッグによるペンギン保護プロジェクトの歴史

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ミドル島のマレンマ・シープドッグによるペンギン保護プロジェクトは2006年、コガタペンギンのコロニーが狐による捕食によって個体数を減らした後に始まりました。
現地で養鶏場を経営しているスウォンピ・マーシュは放し飼いのニワトリを護るためにこの特別な犬を使っていました。それで、この犬たちがペンギンも護れるかもしれないとアドバイスしました。ペンギンは「タキシードを着たニワトリ」程度の違いしかないと思ったのです。

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ミドル島はオーストラリアの南ヴィクトリアにあるウォーナンブールの村のすぐ近くにあります。夕方、潮が引くと人々と犬たちが歩いて行き来できます。
不幸なことに、それは狐のような捕食者が眠っているペンギンに簡単に近づくことができるということでもあります。マレンマ・シープドッグが来る前は、小さなペンギンたちは巣の中でうたた寝しているときに簡単に殺されていたのです。今では忠実な番犬に護られて安心してくつろぐことができます。
マレンマ・シープドッグに護られて、島のペンギンの数は着実に増え、2016年から2017年にかけての繁殖期に180羽ほどになりました。犬は人間の最良の友達、と言われますが、危機に瀕したペンギンにとっても最良の友達だったのです。

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ミドル島は2006年からペンギン保護のために一般人は立ち入れなくなっていて、これは個体数を増やすには効果的でした。そして、犬たちの価値も明らかでした。2017年にはペンギンが例年よりも早く戻ってきたために番犬たちの到着の方が遅くなりました。
狐は抜け目なくこの機をとらえて140羽を殺しましたが、マレンマ・シープドッグのトゥーラとユーディが島に戻ってからは殺されなくなりました。
ウォーナンブールのペンギンのサイトが次のように簡潔に説明しています。
「ペンギンが殺されたのは悲しいことです。けれどもこのことによって、ペンギンのコロニーを護るためにマレンマ・シープドッグがどんなに重要かがわかります」

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犬たちがペンギンの繁殖期に働いていないときは、フラッグスタッフヒルの海洋博物館近くにいます。そこで訪問者たちと交流したり、環境保全についての教育を手伝ったりします。「マレンマ・シープドッグに会う経験」ツアーに参加するかフラッグスタッフヒルの海洋博物館に行けば会うことができます。
マレンマ・シープドッグはとても可愛いですが、特定の環境で働くのに向いた犬です。公式のウェブサイトでも、マレンマ・シープドッグを飼いたいと思う人たちに次のように忠告しています。
「犬を飼うときは、自分のライフスタイルや住んでいる場所に合った犬を探すべきです。マレンマ・シープドッグは一般に郊外や狭い閉鎖的な場所には向いていません。私たちのプロジェクトは皆さんに気に入っていただきたいですが、マレンマ・シープドッグは万人向きではありません」
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