飼い主の死後、残された犬は「しつけがされてない問題犬」だった

見送った後の犬 悲しい

2018年12月、あるご家庭で飼われている犬が飼い主が亡くなってしまったことにより、突然1匹で取り残されてしまう事態に陥りました。いろんな人の協力により、里親募集までたどり着きましたが、犬の状態を見て里親を募集できる状態ではないことが判明します。

飼い主の死によって取り残された犬

散歩する雑種犬

出典:https://www.youtube.com/watch?v=CXjRNMyoWUA

2018年12月1日、70歳の高齢女性が突然倒れたため、救急車に運ばれました。原因は心筋梗塞で、残念ながら女性は帰らぬ人となってしまったのです。さらに、その女性は1人で犬を飼っていたこともあり、女性が帰らぬ人となってしまった今、犬は1匹で取り残されてしまいました。

飼い主さんが亡くなった後、1ヶ月ほど近所の方や親戚の方々がお世話をしてくれていたようですが、1ヶ月ほど経ったある日、「取り残されてしまった犬がいる」と動物保護団体『ディ・アンク』に話が来たと言います。

残念ながら、ディ・アンクのある場所からこの犬がいる場所までは、かなり距離が離れています。毎日お世話をしに行くことができないため、動画と写真を撮影し、SNSを駆使して里親募集を開始することに。

ある家族がお見合いにやってきたものの…

出典:https://www.youtube.com/watch?v=94wmD7uYJX4

犬の名前は「コロ」。5歳の男の子で、犬種は中型犬の雑種とのこと。そんなコロの写真と動画を見て、ある家族が「お見合いしたい」と申し出てくれました。

まずは、やってきたご家族にコロちゃんの散歩をしてもらうことに。すると、久しぶりのお散歩に大興奮してしまったコロちゃんは、ご家族のことを気にも留めず、グイグイとコロちゃん主導でリードを引っ張っていってしまうのです。

さらにこの時、コロちゃんに近づいたディ・アンクのスタッフさんに、一瞬でしたが唸る様子を見せたとのこと。

これらの問題行動が発覚したことにより、ご家族は一旦話を持ち帰り、家族で話し合ってから考え直すことにしたと言います。コロちゃん自身はとても人懐っこい犬なので、このご家族が帰っていく時、とても寂しそうに後ろ姿を見送っていたとのこと。

お見合いは残念な結果に

笑顔の犬

出典:https://www.youtube.com/watch?v=8ipwBDzZG3E

後日、先日お見合いしたご家族から、やはり引き取りは難しいとのお返事が来ました。ディ・アンクのスタッフは、一度話を持ち帰ると言われた時から「難しいのでは」と思っていたようで、「やっぱり」と納得したと言います。

このご家族は、普段ご主人がお仕事で忙しいため、小学生のお子様3人を子育てしながら、奥様がコロちゃんのお世話をする予定でした。しかし、前回のお見合い時にリードを強く引っ張る様子や唸る様子を見て、奥様1人でお世話をすることが難しいのではと感じたということです。

実は、ディ・アンクのスタッフさんたちも少し心配していたと言います。なぜならば、一瞬でもコロちゃんがスタッフに対して唸るような態度を見せたからです。

まだ小学生のお子様たちがいるご家庭に出すことで、何らかのきっかけでお子様たちに怪我をさせてしまう恐れが少しでもあるならば、危ないのではないか…と考えていたそうです。そのため、ご家族からお見合いを白紙に、と連絡が来た時、正直ホッとしたと言います。

その後、ボランティアさんの協力を得ながら、コロちゃんはお散歩などのお世話を続けました。ボランティアさんから「特に問題は見られなかった」と報告を受けたため、ディ・アンクのスタッフのお家で引き取ることになったのです。

しかし、最初は順調だったコロちゃんとの生活ですが、一緒に暮らしていくうちに様々な問題点が見つかり、里親を募集できる状況にないことが判明します。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=94wmD7uYJX4

今まで人懐っこい犬として認識していたコロちゃんでしたが、一緒に暮らしていくうちに新たな一面が見られました。

例えば、ディ・アンクの他のメンバーがコロちゃんに会いに来た際、おやつをあげてもらおうと訪問してくれた方におやつを手渡した際、「自分のおやつがとられる」と思ってしまったのでしょう。その方に吠えたり唸ったりして威嚇した後、咬みつこうとしたと言います。

また、「撫でて〜」と甘えてくるものの、少しでも気に入らないことが起こると、撫でている途中でも突然怒り出すような態度が見られると言います。

散歩中にリードをグイグイと自分のペースで引っ張ってしまうこと、人に対して威嚇行為をすること…こうした問題行動が次々に発覚したことで、コロちゃんは飼い主さんの生前、あまりしつけをされていなかったことが推測されました。

里親募集を再開するも引き取り手は現れず

出典:https://www.youtube.com/watch?v=CXjRNMyoWUA

そんなコロちゃんでしたが、コロちゃんの性格をしっかり見極め、適切な対応をとっていれば咬まれることはないと言います。

しかし、やはり里親募集をするにあたり、コロちゃんを引き取りたいと申し出てくれる人に対して「もしかしたら咬んでしまうかも」と正直に伝えなければいけません。すると、返事がこなくなってしまったり辞退されたりする方が大半です。

さらに、不特定多数の人と交流できる譲渡会に参加したこともありました。しかし、落ち着きがなく、多くの人が不用意に触ろうとしてしまうこともあり、目が離せない状態が続く状態だったようです。そのため、譲渡会は危険かもしれないと判断し、それ以来、コロちゃんは参加していないと言います。

このように、なかなか問題行動が原因で里親が見つからないコロちゃんですが、ディ・アンクのメンバーは、いつかコロちゃんの良さや性格を理解して迎えてくれる里親さんが現れると諦めていないということです。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=CXjRNMyoWUA

実は当初、コロちゃんの問題はしつけの面だけではありませんでした。去勢をされていないことはもちろん、ノミやダニの予防・駆除やフィラリア予防も行われていなかったのです。そのため、保護した当初はマダニが寄生している状態であり、フィラリア検査も強陽性だったと言います。

すぐに治療と予防を開始し、必要なワクチンも受け、去勢手術をしたというので、現在は問題なく健康に過ごしています。しかし、必要な医療も受けさせてもらえていなかったとなると、しつけも適切に行われていませんし、軽い飼育放棄状態だったのでしょうか。

元の飼い主さんの経済状況や取り巻く環境などがわからないのでなんとも言えませんが、コロちゃんは明らかにかわいそうな状態で飼育されていたことだけは確かです。

最後に

見送る犬

出典:https://www.youtube.com/watch?v=94wmD7uYJX4&t=30s

現在、日本では高齢化が進んでいるため、犬が取り残されてしまう事案が増えています。1人で犬を飼っている人は、自分が先立ってしまった時のことを考えて、もしもの時に愛犬を託せる人にお願いをしておく必要があります。

また、今回紹介したコロちゃんのように、必要最低限のしつけや医療を受けさせてもらえないことで、里親さんがなかなか見つからない犬も多くいます。こうした事態も考えて、飼い主の責任として必要なしつけや医療を受けさせておかなければいけません。

動画は「次へ」

見送った後の犬