下関で犬猫のレスキュー活動を行う『ディ・アンク』に、とある女性から1本の電話がありました。繁殖業者の廃業によって、高齢犬たちが取り残されているため、力になってほしいとの内容に、ディ・アンクは動き出します。
生態販売の繁殖業者の犬舎に愕然
ディ・アンクに連絡をした女性は、さまざまな愛護団体や新聞社に手紙を出していました。でしかし、どこからも返事は返ってこなかったそうです。
当時ディ・アンクは、幼猫11匹、成猫1匹、計12匹の猫をセンターから引き出したばかりで幼猫や子猫対応に追われており、時間に余裕はありませんでした。
しかし、女性の話を聞き、実際に現場を見てみようと動き出しました。
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連絡をくれた女性は保護犬を引き取ろうと思い、地元の愛護センターを訪れたそうです。
その際、掲示板に貼られていた小さな「里親募集」の貼り紙を目にして連絡すると、繁殖業者のリタイヤ犬の里親を募集するものでした。
犬たちが収容されている犬舎を見学しようと何度も足を運びますがその度に断られており、数年間のうちに犬舎を見学することができたのは1回だけ。

出典:https://www.instagram.com/p/B_NTDg5j7SY/
そして目の辺りにしたのは小型犬が小さなうさぎのケージに押し込まれ、ケージが山積みになっている光景です。
劣悪な環境にゆうに100匹はいる小型犬たちの姿に、女性は言葉を失います。女性は犬たちを救おうと数年かけて3匹の高齢犬を引き取りました。
しかし、個人でできることには限界があります。それでも女性は残された犬たちを救いたい一心で救出を依頼する手紙をさまざまな場所に送り、初めて応えてくれたのがディ・アンクでした。
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繁殖業者を営んでいた人が病気となり、廃業することが決まると、「使えそう」な犬はほかのブリーダーや繁殖業者が持っていったそうです。
そして残されたのが「使い物にならない」高齢犬たち13匹。
多くの犬たちが引き取られていったことで、うさぎのケージではなく犬用のケージに移されました。
「使えそう」や「使い物にならない」という言葉が繁殖業者の口から出ることが、犬たちを「繁殖の道具」としか見ていない証でしょう。

出典:https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1584411735032933&set=pcb.1584412178366222&type=3&theater
女性は繁殖業者を数年にわたって説得し続け、里親を募集するように諭したそうです。
ところが、実際にディ・アンクが犬舎に行くと、手放すのは本意ではなく半数以上の犬を残して欲しいと繁殖業者は言いました。
商売道具ではありますが、犬たちに愛着があり、1匹1匹に名前をつけていたようです。犬たちも懐いていることから、多少なりともそれなりに愛情はあったのかもしれません。
しかし、劣悪な環境でまともにお手入れもしてもらえず、ケージに閉じ込められた生活が犬たちにとって幸せなのでしょうか。
「手放して里親さんに繋ぐことがあなたが犬たちにしてあげられる最後の優しさではないですか?」
その言葉に、繁殖業者は静かに頷いたそうです。

出典:https://www.instagram.com/p/B_ScVYcDbfQ/
ディ・アンクが事の経緯を書き、SNSで里親募集を始めると、そこには繁殖業者を批判するコメントが寄せられたました。
怒る気持ちは痛いほどわかりますが、批判するだけでは命を助けることに弊害が出てしまうことに気づいてほしいとディ・アンクは言います。
繁殖業者の気持ち、繁殖業者と関わっていた生態販売のお店が相談したことを責めるかもしれないこと、リタイヤ犬たちのチャンスをつぶしてしまいかねないこと…。
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批判をしたところで、相手は何も感じていない。

出典:https://www.facebook.com/photo/?fbid=1584411785032928&set=pcb.1584412178366222
怒りを乗り越え、助けるアクションを起こすことが大切なことだ…と。

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犬舎から出たことのない犬たちに日の光を
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ディ・アンクの里親募集によって、数人の人が里親になりたいと名乗り出てきてくれているそうです。
この出来事は2020年のことですが、この後犬たちは福岡のわんにゃんレスキューはぴねすさんが8匹、下関市民が1匹、山口市民が1匹、ディ・アンクが3匹引き取り、13匹全頭が犬舎から出ることができました。
犬たちが里親さんの元で、幸せに暮らせることを心から祈るばかりです。
※こちらの記事は動画や画像の撮影・制作・配信をしている団体より許可を得て掲載しております。
掲載団体名:ディ・アンク
ディ・アンク
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