下関動物愛護管理センターに収容される犬猫たちの命を救う活動をしている『ディ・アンク』さんの元に、一人の飼い主から高齢犬の引き出しをしていないか問い合わせがありました。事情を聞くと…
悲劇の始まりは…飼い主の逮捕
とある事件を起こし逮捕・拘留されていた飼い主が、釈放されて愛犬の行方を探すために愛護団体に連絡したことでこの悲劇は明るみになりました。
連絡した愛護団体の1つがディ・アンクさんです。
「最近センターから高齢の小型犬を引き出していませんか?」
その連絡を受け、ディ・アンクさんは問合せた事情を聞くと…
一人暮らしだったその飼い主は、ある日警察に逮捕されたそうです。
逮捕とは突然のことで、誰にも連絡ができません。
逮捕された飼い主は、取り調べの最中に「愛犬がアパートにいます。このままでは飢え死にしてしまうので助けてください」と、刑事に相談します。
相談を受けた警察は、動物愛護センターに犬をどうにかできないかと相談します。
しかし、動物愛護センターは収容することはできても預かることはできません。
そして犬を収容するためには、
- 所有権の破棄
- 犬のその後を絶対に聞かない
ことが条件です。
愛犬を助けたい一心で藁にも縋る思いの飼い主は、この条件を飲むしかありませんでした。
動物保護団体に知らされることのない事例
通常の事例であれば、愛護センターから保護団体に相談があったり収容を知らせる連絡があったでしょう。
しかし、事件を起こし逮捕された飼い主の犬を保護団体に託すのはリスクがありすぎると判断し、センターに出入りするディ・アンクさんにもその事実は知らされていませんでした。
飼い主は釈放されたあと、愛護センターとの約束を破って地元の保護団体に連絡を入れたのです。
ディ・アンクさんは、どうしようもできなかった事情やすがる思いで連絡してきた飼い主の気持ちを察し、愛護センターに犬のことを聞いてみることにしました。
しかし、愛護センターは犬がどうなったのか教えてくれません。飼い主が約束を破り、保護団体に連絡したことを残念がっていたと言います。
そして、「殺処分はしていません」とだけ教えてくれたそうです。
飼い主が釈放されたのは、犬が収容されてから2~3ヶ月経った頃でした。
その間、譲渡を対象とする犬が収容される愛護棟にその犬の姿はなく、例え高齢で譲渡できないと判断されて殺処分の対象となっても、大概はディ・アンクさんに相談が入るようになっています。
そのことから、「殺処分はしていない」という言葉の通りであれば、収容された愛護センターの中で亡くなってしまったのではないかと推測されました。
高齢な犬や衰弱した犬では、収容されてから亡くなってしまうことも珍しくはないそうです。
飼い主は「高齢でも元気だった」と、その事実を受け入れられないようでした。
しかし、愛護センターの犬舎は冷たいコンクリートの壁と床。ベッドもなければカーペットが敷かれているなどということはありません。
飼い主が帰ってこないという不安はもちろん、それまでの生活環境とは一転、知らない人に捕まえられ、知らない場所に連れて来られ、そんな場所に閉じ込められたらストレスと恐怖は想像を絶するものでしょう。
愛護センターの職員は、ボソッと「例えば…ですが、やってきて2日で亡くなることもありますから…」と呟いたそうです。
もしかしたら、これが答えだったのではないかとディ・アンクさんは言います。
飼い主はすべてを聞き、
「最期は看取ってあげたかった」と後悔の念に襲われていました。
しかし、もともとは大切な愛犬がいるのに逮捕されるようなことを犯した飼い主の責任です。
それは飼い主も痛いほど感じたことでしょう。
愛犬を悲しませることはしないで
今回の事例は飼い主の逮捕による悲劇でしたが、実際ディ・アンクさんの元に「愛犬を引き取ってほしい」と連絡があったそうです。
後ろでは犬の鳴き声が聞こえており、犬は全てを聞いていたのでしょう。自分は必要ないと感じたのか、その翌日に身を引くように亡くなってしまったと言います。
犬は人間の感情を読み取る力があり、飼い主の気持ちは言わなくても伝わります。犬は飼い主の所有物ではありません。感情のある命ある生きものです。1つの命を預かる以上、愛犬を悲しませるようなことは絶対にしてはいけないのではないでしょうか。
※こちらの記事は下記の団体より許可を得て掲載しております。
掲載団体名:ディ・アンク
ディ・アンク
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