ロシア軍の爆撃で破壊されたウクライナの住宅。がれきの下に埋もれていた子犬は、警察官の力で助け出され、77歳の飼い主へ引き渡されました。爆撃で何もかも失った老人は、愛犬を抱いて感謝の言葉を伝えています。
戦闘が続く中で‥
ロシアのウクライナ侵攻が始まって2ヶ月近くとなりました。多くの難民や死者、消えた大型機械や破壊された建物など、被害は急速に増加しています。いつになったら戦争が終わるのでしょうか。
そんな暗い状況の中でも、一筋の明るい光のようなニュースが報告されることもあります。難民として受け入れてくれた国々のために清掃活動をするウクライナ人たちや、ワゴン車で動物園の動物たちを避難させる人々などの話題は、暗澹とした心を慰めてくれます。
今回ご紹介するのは、自宅が破壊された老人が、がれきの下に埋もれていた愛犬と再び出会うことができたという話題です。しかもこの子犬は元気に生存していたのです。
がれきの下から子犬を救出
投稿されたビデオには、ウクライナ東部ドネツク近郊の村で、爆撃により破壊された住宅のがれきの下から子犬が助け出されるようすが映っています。
幸いなことに、この家に住む77歳の男性は爆撃後に無事脱出できました。でも愛犬はどこにも見当たらなかったのです。警察の救急部隊がすぐに駆けつけ、生存者の捜索に当たりました。
爆撃が終わるや否や、警察の捜索活動が始まりました。壊れたブロックの下からか細い鳴き声がするのを聞きつけ、人々はがれきを掘り返し続けました。みんな膝をついて、懸命にブロックの破片をどけています。この住宅に住む77歳の男性は脱出して無事でしたが、愛犬が行方不明のままだったのです。がれきの下の鳴き声を頼りに、警察官たちは作業を続けました。
まもなく小さく黒っぽい犬が現れました。埃まみれで、必死で空気を求めてあえぐようにしています。全身が掘り出されると、子犬は生きていて、ちゃんと立ち上がれることがわかりました。
警察官たちは子犬を抱いて体についた埃を払ってあげました。すると犬は灰色なのではなく、黒い毛だったことがわかったのです。
飼い主と無事に再会
笑顔で子犬を抱き、飼い主の元へと運ぶ警察官。途中でカメラマンに止められたので、子犬の頭をなでさせてあげました。カメラマンは思わず「かわいコちゃん」と声をあげていました。
警察署ではこのビデオをフェイスブックへ投稿しました。そして「命はみな大切だ」と説明しています。子犬を救出しようとした警察官たちは、決して望みを捨てませんでした。その結果、無事に飼い主の元へ引き渡すことができたのです。
飼い主の男性は感謝でいっぱいです。時間を置かずに駆けつけてくれたドネスク地域警察へ、ただお礼の言葉を繰り返すだけで胸がいっぱいです。その腕には愛犬がしっかりと抱かれています。
「こんなにすぐに助けに来てくれて、ありがとうございます。本当に感謝しています」
飼い主と子犬はすぐに医療チームの手当を受けました。あちこちに青あざがあって、いまも恐怖で体は震えていますが、おおむねケガもなくずいぶん幸運だったようです。
続く市民への攻撃
「ロシア軍による戦争犯罪はしっかり記録されている。市民への攻撃は法の下で裁かれることになる」とドネスク警察は投稿しています。
今回の砲弾による攻撃はミカイロフカという村で4月12日に発生しました。同様の攻撃は今後も続くと予想されています。
ここの警察当局は重要な任務を担っています。希望する人々を避難させたり、残った市民の暮らしを守ったりするのです。食糧や物資を配給するだけでなく、ケガをした人々を救護する活動もしています。
同警察は「危険な任務で命の危機に直面したことが何度もあります。でもわれわれ警察官は臆病者ではないのです」とも投稿しています。彼らの勇敢な活動がウクライナ市民の支えになっているのは間違いありません。
戦争の今後の展開は‥?
以前にも、ブチャの街中で離ればなれになったハスキー犬と飼い主が再会できたという記事をご紹介したことがあります。戦争によってもたらされる恐怖は甚大です。人間性を保つのは、容易なことではありません。
戦争はますます悪化しています。新たな展開や専門家の視点などがニュースで紹介されていますが、わたしたちは状況を注視していく必要があります。
「ガーディアン」紙の報道によると、「ここ数日間のうちの大きな動きとして、ウクライナ東部と南部でロシア軍が再編され、戦略の見直しがあった」ということです。ゼレンスキー大統領は、ヨーロッパ諸国へロシア原油と代替エネルギーの禁輸を呼び掛けるとともに、ロシア軍が撤退した北部ウクライナ地域での戦争犯罪の調査、スウェーデンとフィンランドのNATO(北大西洋条約機構)への参加決定の迅速化を求めています。
フィンランドとスウェーデンがNATOへ加盟するなら、ロシアはバルト海沿岸へ核ミサイルを配置すると警告しています。たとえ脅しだとしても、世界が緊張するのは当然のことです。
一方では、NATOが拡大してもロシアが加盟国を攻撃しない限り、直接の影響はありません。でもロシアが増長して今後攻撃を拡大しないとは断言できない状況なのです。いずれにせよ、今後の予想は専門家に任せることにしましょう。わたしたちは心を強く持って悪に立ち向かい、すべての人々にやさしく接して尊重していくことが必要なのです。
「戦争をやめて」の声
破壊や罪もない人々の死の連鎖を止め、早期の平和実現を望みたいところです。わたしたちができるのは、他者にやさしく思いやりをもって接し、人間性を保つことです。
人々はこんな感想を寄せています
・子犬が救出されたのは驚きです。でも飼い主の男性は家を壊されて気の毒に。どこかに愛犬と一緒に住める場所がみつかるよう、願っています。ウクライナのすべての人々のために、早く戦争が終わるよう祈ります
・すばらしい人々ですね。危険を冒して人々や動物たちを救ってくれるなんて
・とても勇敢な人々です。動物たちにもガッツがある
・どうか神様、ウクライナの人々と動物たちに手を差しのべてください。世界中の人が「すぐに戦争をやめて」と願っているのです
・子犬は飼い主にとって大切な存在なのだから、とてもうれしいニュースですね。動物は決して戦争を起こさないのに、戦禍では忘れられてしまいがちな存在です。でもこうした人々が動物たちを救ってくれるのはありがたいです
・ペットを失ったと思っていた飼い主にとっては、ものすごくうれしい知らせだったに違いありません
・戦争は恐怖映画のようだ。ウクライナの人々や動物たちがかわいそう
・救われた子犬は幸運でした。戦争の中でも、善意と小さな希望が見えますね
・ウクライナの惨禍を目にするたびに心が張り裂けそうです。でも今回のニュースはハッピーエンドでよかった
動画はこちら↓
出典:https://www.boredpanda.com/puppy-found-alive-in-rubble-ukraine/