今回ご紹介するお話は、「うるふのまま」さんの体験談です。うるふのままさんは、無類のポメラニアン好き。そんなうるふのままさんにある日、保護団体の方から「高齢の飼い主が保健所に持ち込んだ1匹のポメラニアンを救出した」という話がやってきたのです。
「ポメラニアンを保健所から救出した」との報告メール
ある日、うるふのままさんの元に、親しくしている保護団体の方から「保健所からポメを引き出しました」というメールが届きました。
この時、うるふのままさんのご自宅では、ペットショップから迎えたポメラニアン1匹と、元保護犬のポメラニアン3匹が暮らしていたため、家族として迎えることが難しい状況だったと言います。しかし、ポメラニアン付きとして連絡をくれた保護団体の代表さんに知られていたため、ポメラニアンを引き出したとの報告メールが届いたのです。
無類のポメラニアン好きであるうるふのままさん。メールに添付された画像に写るあまりにも愛らしいポメの姿を見て、「なんだこの生き物は!」と思わず驚いてしまったと言います。そこで、居ても立ってもいられず、メールに記載されていた動物病院へ足を運んだそうです。
重度のパテラを患っていたポメラニアンを一時預かり
病院に到着すると、写真で見たポメラニアンが綺麗にトリミングされた状態で佇んでいたと言います。どうやら、この子を見捨てた飼い主の最後の愛情だったようです。
うるふのままさんは、初めて対面した時、「本当に犬なの?たぬきじゃないの?」と疑問を抱くような見た目に驚愕したそうです。それほど愛くるしく、そしてキラキラと輝かせた瞳が印象的なポメラニアンだったのでしょう。
この時、目の前にいるポメラニアンは、前足を使い、後ろ足を引きずるように歩いていたそうで、愛らしい表情からその動きを見るのはとても辛かったと語るうるふのままさん。
メディカルチェックを助けた結果、このポメラニアンは重度のパテラを患っており、膝蓋骨が完全に外れ、膝の関節部分で捻れた状態になってしまっていたため、手術をしてもこの足が回復することは難しいでしょう、という話でした。
さらに、元飼い主が甘やかし過ぎてしまったために、適正体重が3.5kgの骨格で5.25kgと大幅に体重を超過しているほど肥満体型だったことも足を痛めた原因であると判断されました。そのため、適正体重まで痩せることで、3本足で歩けるようになる可能性は高いと診断されたのです。
その場に一緒にいた保護団体の代表さんは毎日多忙な日々を過ごしているため、痩せるまでのお世話は時間に余裕があるうるふのままさんが一時預かりすることになりました。
一時預かりを経て本当の家族に
「サブレ」という名前のポメラニアンを一時的に預かったうるふのままさん。途中でご縁があり、一度だけトライアルに出されましたが、トライアル先のお家にいた先住犬と相性が合わなかったようで、泣く泣くうるふのままさんの元に戻ってきたそうです。
そんなサブレを日々見ていたままさんは、この子をこれ以上悲しませたくないとの思いから、自らの本当の家族としてサブレを迎えることを決意したと言います。
最初は元気がなかったサブレ
サブレは最終的に元飼い主に見捨てられてしまいましたが、それまでは甘やかされるほどの愛情を注がれていたことがわかっています。そのため、サブレも飼い主さんのことが大好きだったのでしょう。
当初、うるふのままさんのご自宅にやってきたサブレは飼い主さんを離れたことにショックを受けていたそうです。ご飯も食べず、自宅近くを散歩していた老夫婦を見かけた時は、窓際へと必死で近寄り、まるで「ここにいるよ。お父さん」と呼びかけるように鳴き声を上げていたそうです。話を聞いただけでも胸が張り裂けるほど辛い光景ですね。
そんなサブレでしたが、ある時期を境に、徐々にうるふのままさんのご自宅にも馴染み始め、最初は口にしなかったご飯も食べるようになり、甘えるようにもなったと言います。
適切なご飯を食べていたこともあり、ダイエットも捗り、写真からも少しずつ肥満体型から脱出していたように思えました。
幸せな日々が続くと思っていたところに過去の影響が
うるふのままさん宅にも慣れたサブレ。サブレとも長く一緒に過ごせると思っていた矢先、サブレが家にやってきて約4年半が経った頃に、重度の気管虚脱と心臓病により、残念ながら亡くなってしまったといいます。
どうやら原因は、元飼い主さんの元で散々甘やかされ、重度の肥満になってしまったことが影響したようで、心臓や呼吸器官に負担がかかってしまったものとみられます。
元々飼い主さんが大好きだったサブレにとって、一時期はとても辛い日々を送っていたと思います。しかし、愛情深いうるふのままさんに迎えられたことで、新たな生活環境で幸せに暮らすことができたのではないでしょうか。
最後に、うるふのままさんはこのように仰っています。
「子犬から迎えた子とは違い、保護犬は一緒に居られる時間が短いかもしれません。それでも、一度棄てられた経験や、愛に飢えている子達は一生懸命人に愛されたいと甘えます。甘え上手な子が多いと思います。」
犬のしつけは子犬期に学習させなければ無理と勘違いしている方も多いですが、実際、保護犬を成犬になってから迎え、きちんとしつけができている飼い主さんは多くいます。犬は成犬になっても、高齢犬になっても、新たに学習する能力を持っているのです。
子犬から一緒に過ごしている子ではなくても、愛情を注いで一緒に生活していれば、きちんと絆は生まれます。保護犬は、悲しい過去を持っている子も多いので、心を開いてくれるまでに時間はかかるかもしれません。しかし、心を開いてくれた後は、愛くるしいほどの可愛らしい姿を見せてくれる子が多いです。
ぜひ今後犬を迎えたいと考えている方は、一度保健所や保護団体で保護されている保護犬を家族として迎えることを検討してみてはいかがでしょう。