庭で飼っているヤギの元へ毎日熱心にやってくる野良猫。ヤギと猫は大の仲良しです。そのうち飼い主にも懐いてきた猫は、やがて大事な家族の一員になりました。
ヤギのそばに子猫が!
ジャン・ゴスウィックさんの広い庭で飼われているヤギの元に、子猫がやってきました。子猫はヤギを恐れることもなく、毎日一緒に遊んで楽しい時を過ごしています。
夏の午後、ジャンさんがヤギのようすを見にいくと、小さい灰色の毛玉がハンモックの上に乗っかっていました。いつもはヤギが寝ている場所です。ぬいぐるみかと思った彼女がさわろうとすると、それは逃げ出しました。なんと、ヤギの囲いに入り込んだ子猫だったのです。
彼女の手のひらほどの大きさの猫でした。フェンスの穴をくぐって外へ逃げ出したのです。ジャンさんはあわてて追いかけましたが、そのまま逃げられてしまいました。
でも何と30分後、この子猫はふたたび囲いに戻って、ヤギたちと一緒に寝ころんでいたのです。ジャンさんはこの猫を「GG」と呼ぶことにしました。「グレイ・ゴート(灰色のヤギ)」の略です。
ヤギ2匹との楽しい毎日
実は子猫が現れたタイミングは、ヤギやジャンさん夫妻にとって最高でした。
ジャンさんと夫はナイジェリア・ドワーフ種のヤギを飼うことにしました。というのも、子供たちは独立し、それぞれの生活を始めています。自宅は袋小路に面していて広大な庭もあります。この空地を利用し、増えた自由時間を活用してヤギを育てたらいいのでは、と考えたのです。
2020年11月、2匹のヤギを購入しました。「ピーナッツ」と「マーヴィン」です。
「ヤギを気に入るだろうとは予想していましたが、これほど好きになるとは考えていませんでした。だってすごく賢くて面白くて、愛らしい動物なのですから」とジャンさん。
とくにマーヴィンは個性豊かでこっけいな上、意志の強いヤギで、ジャンさんはとても気に入りました。
突然の死に大ショック
残念なことに、マーヴィンは事故のため突然亡くなってしまいました。ジャンさんはとても悲しみました。でもピーナッツのために何とかしなければなりません。
「ヤギは社会的な動物で、1匹だけでは生きられません。あまり知られていませんが、ヤギは傷つきやすい動物なのです。マーヴィンを失った悲しみで、ピーナッツも死んでしまうかもしれませんでした」と彼女はいいます。
フェイスブックで知り合った人が、ひとまず自宅のヤギと一緒に預かってくれることになりました。
「その間に子ヤギの兄弟を見つけ、購入しました。翌日にはピーナッツを家に戻したのです」とジャンさん。
「ピーナッツはマーヴィンが亡くなって悲しんでいました。明るかった性格も変わってしまい、落ち込んでいたのです。わたし自身もピーナッツのことが心配で、子ヤギたちをかわいがる気力が出ませんでした。マーヴィンのことを想い出して、ヤギたちとの時間を楽しめなくなってしまったのです」
猫が状況を変えた!
10日ほどがたち、灰色の猫がふたたび現れました。ずっとヤギたちのそばにいます。
「ヤギが行く場所へついていき、一緒に遊んだりからかったりしています。夜はヤギたちと一緒に眠るのです。GGがふたたび現れるようになって、ピーナッツは元気が出たようです」とジャンさん。
夫婦は近所に猫のことを聞いて回りましたが、だれの飼い猫でもないようです。そこで猫をGGと名づけ、自分たちで飼うことにしました
ピーナッツはGGと遊びはじめ、やがてほかのヤギたちとも交流するようになったのです。これを見たジャンさんも、ペットとともに過ごす時間をふたたび楽しめるようになってきました。こうしてみんなの心に絆が生まれたのでした。
夫婦は近所に猫のことを聞いて回りましたが、だれの飼い猫でもないようです。
「この猫はわたしとピーナッツにふたたび幸せをもたらしてくれた」と確信したジャンさん。でもこの子猫はその後2週間ほど人間との接触を避けていました。ある出来事がおこるまでは。
「ある日ヤギの元へ行くと、ピーナッツが元気なく横たわっています。よく見るとお腹が膨れ上がっていました」というジャンさん。
ヤギにとって腹部の膨張は命取りになることがあります。ガスがたまってしまっているのです。すぐに治療が必要でした」
「夜じゅうピーナッツに付き添って、ガスを抜くため歩かせようとしました。ピーナッツを眠らせているとき、そばのブランコに枕を置いて横になったのです」
猫が寄り添ってきた
「ピーナッツを絶たせて歩かせ、わたしはブランコに横たわって泣きました。だってピーナッツの体調が依然として悪くて心配だったからです。そんなとき何かが足にさわりました。GGが近寄り、ブランコに跳びのってわたしの胸元へやってきたのです。このとき初めてこの猫にさわりました。GGはそのままわたしの胸に抱かれ、やがてわたしがピーナッツと一緒に立ち上がると、そのままブランコの上でじっとしていました。わたしが座るまで、そこでじっと待っているのです」
朝になると、ピーナッツはおならをしてガスを放出することができました。これで大丈夫です。そしてこれ以来、GGは夫婦のそばで甘えるようになりました。ヤギ小屋へ行く2人を走って追いかけたりもしています。
「GGは木の陰に隠れていて、わたしたちが通過すると突然現れて走り出し、ヤギの囲いの入り口で待ち構えています。夜にヤギたちを小屋へ入れ、家へ戻るときにはGGが必ずついてくるようになりました。でも途中で引き返し、またヤギ小屋へ戻るのです」
現在夫婦は5匹のヤギを飼っています。GGをいれるとペットは6匹になります。ヤギたちと過ごすうちに、猫は自分をヤギの一種だと思うようになったようです。
「GGはヤギみたいにふるまいます。きっと心はヤギなのでしょうね」とジャンさん。
「GGの好きな遊びは、草陰や物陰に隠れていて、ヤギが通るとパット跳び出て脅かすことです」
GGに呼吸器障害が見つかる
夫婦は、ふだんは安全のためにヤギたちを簡易小屋の中に入れます。一体どこから子猫が中に入り込むのか、不思議に思っていました。そこでジャンさんはカメラを設置して調べてみました。
「映像が突然揺れて、小さな肉球が映っているのを発見しました。カメラは簡易小屋の屋根に設置していたのですが、GGは木に登って、屋根の空気孔から小屋に忍び込んでいたのです。そしてヤギのそばで丸くなって眠っていました。朝わたしたちが小屋を開ける前に、またこっそり抜け出していたのです」
猫の「ヤギとしての生活」には終わりがやってきました。目に感染症を起こしたため、獣医の診断を受けたのです。そのとき医者は「GGには呼吸器障害があるので、今後はずっと室内生活をさせなければならない」と判断しました。
「これには困りました。GGは室内に閉じ込められるのは大嫌いですから。裏口からヤギ小屋を見つめて悲しそうにしていました」
新しい猫と大親友に
GGがどんなに室内生活を嫌うか理解しているので、夫婦は友達になれるような猫を迎えることにしました。
「新しい猫はピックルスです。2匹はたちまち大親友になりました。外でヤギたちと過ごした時と同じように、家の中で遊び回っていますよ」
でもGGはヤギたちを忘れてはいません。ピーナッツは裏口からGGに会えるし、子ヤギたちは小さいので、ときどきケージに入れて家の中に連れてくることができます。
「GGはこれからずっと室内猫です。大親友のピックルスと一緒にね。どうか長生きしてほしいものです」
ジャンさんは「ティクトク」にヤギとGGの交流を投稿しました。当初は予想もしなかったことですが、そのビデオは10万5千人以上にシェアされたのです。フォロワーも寄せられるコメントもどんどん増えています。
「すばらしいことです。GGたちはわたしたちに幸せをもたらしてくれました。見ているみなさんも、喜んでくださるならうれしいです」とジャンさん。
夫婦はペットたちの医療費やGGが安全にヤギたちと遊べる「エンクロージャー」の設置費用を集めるため、「ゴー・ファンド・ミー」で寄付を募り始めました。
これからもジャンさんたちが幸せに生活していけるよう願っています。
人々からはこんな感想が寄せられています
・動物たちにすばらしい暮らしを与えてくれて、ありがとう
・ずいぶん変わった経緯で「猫の飼い主」になりましたね
・お金があったら、ぜひ寄付したいです。ヤギとGGが一緒に遊べるようにね。でも無理だわ
・動物たちはすばらしい「人間の友」になれるのですね
・異種の動物同士が仲良くなれるなんて、すごいことだ
出典:https://www.boredpanda.com/cat-becomes-one-of-the-goats/