ハワイ在住の「Yumi」さんは、ある過去の出来事により、他の犬が苦手となってしまった先住犬のため、新たに兄弟を作ってあげたいという思いから、わんちゃんのFoster(一時預かり)を決意したと言います。そしてYumiさんの元にやってきたのは、なぜかガリガリに痩せ細ってしまった「マイロ」という保護犬でした。
なぜか痩せ細った保護犬『マイロ』…その過去とは
Yumiさんは、『ギズモ』というチワワとトイフォックステリアのミックス犬を飼っています。ギズモは、子犬期に他の犬に攻撃されてしまったことがきっかけで、他の犬に対してトラウマを抱えてしまっている状態でした。
そんなギズモを見て「どうにかトラウマを克服してあげたい」と考えたYumiさんは、他の犬と生活させて克服のきっかけを作ってみようと考え、とあるレスキュー団体のFoster(一時預かり)さんとなることを決意したと言います。
一時預かりすることになった保護犬『マイロ』
ある日、レスキュー団体から「全く食べなくて大変なこの子を一時預かって欲しい」という連絡が入ったYumiさん。早速当時預かっていたお家へと会いに行くと、ブルブルと震え、ガリガリに痩せ細ってしまった小型犬でした。この子が『マイロ』です。
「抱っこしてみる?」と聞かれたYumiさんは、ぜひと抱っこさせてもらったそうです。すると、マイロはブルブルと震えながらもぎゅっと前足でYumiさんにしがみつくような仕草を見せ、離れなくなってしまったと言います。
そんな姿を見て置いて帰るわけにはいきません。Yumiさんはすぐに一時預かりすることに決め、マイロを家に連れて帰ったそうです。
家に連れ帰ると一変!食欲旺盛なマイロ
「大丈夫だろうか」と心配していたはずのYumiさんに反して、なんとマイロは家に連れ帰ると怯えた様子はなくなり、安心した様子でソファーやベッドでくつろぎ始めたと言います。驚きですね。
一安心したYumiさんがごはんを差し出してみると、これまた問題なくパクパクと食べてくれるマイロ。いったい何が原因で食べなかったのかと不思議になるほどの食欲でした。
一時預かりを初めて最初の数週間は、ガリガリに痩せてしまっていたマイロを太らせるため、大好きな湯がいたチキンをあげるなど、凝った愛情たっぷりの手作りご飯も与えていたと言います。
すると、一時預かりを始めてから数ヶ月後には、丸々と太ったマイロの姿が!体重が増えたマイロを見て、Yumiさんも安心と同時に嬉しさが湧き上がったそうです。
食欲には問題なく、しっかり体重も増加したマイロ。しかし、Yumiさんには1つ気になる点がありました。なぜかマイロは人が動くとびっくりするような様子を見せ、頭を撫でようとするとギュッと目を瞑って耐えるような表情を見せるというのです。
何か人に対してトラウマを抱えているのでは、と感じたYumiさんでしたが、この時はマイロの過去について何もわかりませんでした。ただ、先住犬のギズモとは相性が良かったようで、マイロはギズモが大好きに!「大好きでたまらない」と様子からひしひしと伝わってくるのがまた嬉しかったと言います。
知ることになったマイロの過去
先住犬のギズモとの仲も良好だったマイロは、一時預かりを初めて1ヶ月後にはYumiさんのお家の子となることが決定しました。
そこで気になるのは、やはりマイロの過去です。レスキュー団体にはあまり情報がなかったマイロでしたが、ある日、Yumiさんの犬友達から情報を得ることができたと言います。
なんでも動物保護団体に保護された当初、マイロには兄弟がいたそうです。仲が良かったマイロとその兄弟でしたが、兄弟が先に里親さんの元へと引き取られることになり、その後、マイロは全くごはんを食べなくなってしまったのだとか…。
兄弟と離されたことがとても悲しくトラウマになってしまっていたのでしょう。だからこそ、Yumiさんのお家にギズモという先住犬がいたことで、安心感と嬉しさから元気になったのかもしれません。
さらに、Yumiさんは再びレスキュー団体の代表の方に連絡をし、できる限りマイロの過去を知りたいと伝えました。すると、マイロは過去に一度だけ、他の家族に一時預かりとして出されていたことがわかったのです。
しかし、その家族のお家に向かう途中、なんらかの理由で恐怖を抱き下痢をしてしまったマイロ。すると、その家族はマイロを施設に連れ戻しにきたと言います。保護犬は何かしらのトラウマを抱えていることが多く、こうした事態も想定内だったはず…こうした理由から、マイロは人に対して不信感を抱いていたのです。
そのため、現在も車の中はトラウマになっているようで、車の中では「クンクン」と切なげに鳴いたり震えたりすることもあるようです。しかし、その度に先住犬のギズモがピッタリ寄り添ってあげているということで、ギズモの成長も見られて微笑ましいとYumiさんはお話ししています。
最後に
日本では、いまだにペットショップから犬を引き取る文化が根強く残っています。たしかに、初心者の場合は、トラウマを抱えている可能性の高い保護犬を引き取ることは難易度が高く、仕方のないことなのかもしれません。
しかし、保護犬もペットショップの犬も、同じように愛情を注ぐことで、立派な家族の一員になることができます。それはどの犬も同じです。
ぜひこれから犬を迎えたいと考えている方は、保護犬の里親になることも検討してみてはいかがでしょう。素敵な出会いが待っているかもしれません。