捨てられた『ゴミ袋の中』には”生後2〜3日の子猫”が…保護から家族になるまで

子猫 感動

今回ご紹介する保護ストーリーは、ポチタマライターであり作家としても活動する「山本よう」さんのお話です。5年前、山本さんのご主人が愛犬の散歩に出かけた際、ゴミ捨て場に捨てられたゴミ袋の中にまだ目も開いていない子猫を発見したと言います。そこから小さな赤ちゃん猫をお世話することになりますが…

あの日、あの場所で…運命的な出会い

子猫

5年前、早朝に山本さんのご主人が飼っている愛犬(ミニチュアシュナウザー♂・現在8歳)の散歩に出かけた時のことです。いつものように散歩をしていると、愛犬がゴミ集積所を通り過ぎる際、しきりにゴミ袋を気にする様子を見せたそうです。

あまりにも執拗にゴミ袋を気にする愛犬を見て「普段とは様子が違う」と感じたご主人。何かあると思い、ゴミ集積所へと近づきゴミ袋を確認すると、なんとそこに捨てられていたゴミ袋の1つから猫の鳴き声が聞こえたのです!

まるで「ここから出して」と訴えかけるように、必死な声で鳴き続ける猫の声を無視することはできません。ご主人が慌ててゴミ袋を開けて確認すると、伐採された庭木の枝の中に、コロンととても小さな赤ちゃん猫が埋もれていたそうです。

まだ生まれたばかりなのでしょう。目も開いておらず、臍の緒もついたままという驚きの状態で捨てられていた赤ちゃん猫を見捨ててはおけず、ご主人は犬の散歩バッグに入れて自宅へと連れて帰ってきたと言います。

病院の獣医師の指示に従いお世話をすることに

布に包まる子猫

まだ目も開いていない子猫は、手のひらにもすっぽりと収まるほど小さかったそうです。どのくらいゴミ袋の中にいたのか、子猫は毛が濡れた状態で寒さから震えており、生きたいという想いを訴えかけるように「助けて」と鳴き続けていたと言います。

弱っていると思われる子猫をタオルを敷いた靴の空き箱に入れ、早速動物病院で診てもらうことにした山本さん夫妻。診察の結果、子猫はやはりまだ生後2〜3日ほどで性別は不明とのことでした。

動物病院の先生のご厚意もあり、診察代はかからず、病院で使っている哺乳瓶や子猫用のミルクもいただけたとのこと。さらに、子猫のお世話方法を丁寧に教えてもらい、その際「子猫のお世話は目が離せず大変だから、もし出かける用事がある場合は病院で預かる」「里子に出したいなら病院内に張り紙をしたらどうか」と提案してくださったと言います。

その獣医師さんは、こんなにも小さな命をゴミ袋に捨て、まるでゴミのように処分しようとした人がいることに大変憤っていたそうです。子猫の生きたいという想いも受け止め、フォローまでしっかりしてくださる…まさに動物に関わる仕事に就く人の鏡です!

里子に出すまで山本家でお世話することに

お世話する息子さん

当初は子猫の里親を探して里子に出す予定だった山本さん。理由は、すでに先住犬であるミニチュアシュナウザーがいたからです。相性が良いかどうかもわからないため、里子に出すまでお世話しようと家族と話していたと言います。

母親代わりになり、一生懸命家族一丸となって子猫のお世話をする日々。大変なことも多かったそうです。

・少しずつしか飲めないので、夜中も含め2時間置きの授乳

・ミルクの時間が来るたびに哺乳瓶を消毒し、ミルクを適温にする

・自力で排泄できないため、お尻を刺激することで排泄を促す(便秘になった時は綿棒を使ったり、病院へ連れていく)

・朝夕は寒かったため、体温調節のためにカイロを入れるなどの工夫が必要

このような点がお世話の中でも特に大変だったと言います。特に夜中に起きてミルクを作り、与えなければいけないのは、実際に体験してみると睡眠時間も削られとても大変だったと思います。

ゴロゴロ寝転がる子猫

このように山本さんのご自宅で献身的なお世話を受けたこともあり、当初は100gほどだった体重が順調に増えていったと言います。

また、愛情を注ぎ一生懸命お世話していたこともあり、家族全員が子猫に情が移り、メロメロに!目が開く頃には、家族全員がすっかり心を奪われていたそうです。

先住犬とも相性バッチリ!一時預かりから家族に

先住犬に甘えるデン

元々、先住犬がいるからという理由で里子に出すつもりだった山本さんでしたが、なんと子猫の成長に伴い、愛犬との相性もバッチリであることが判明!普段から穏やかな性格の先住犬は、子猫も優しく受け入れてくれたそうです。

子猫に愛情を注いでくれた先住犬は、子猫が成長すると、一緒に遊んでくれるようにもなったと言います。

また、そんな先住犬に子猫の方もべったり♡先住犬を仲間や親だと思っているようで、甘えてみたり、日によっては一緒に先住犬のケージで眠っていることもあったそうです。

そんな2匹の様子を見てしまっては、もう手放せません!子猫は最期まで愛情を注ごうと「デン」と名付け、家族に迎え入れることになったのです。名前の由来は、「小さな体なのに生きる力が強く、堂々と、デーンとしていたから」という可愛らしい理由だそうです。素敵な由来ですね!ちなみに、デンはオスであることが判明しました。

すくすく育つ甘えん坊なデン

階段で遊ぶデン

山本家に迎え入れられることになったデンは、生まれてすぐに救出され、山本さんご一家でお世話されていたこともあり、人間に対して警戒心もなく、甘えん坊でヤンチャな性格に育っています。

生まれた時からミルクを哺乳瓶で飲ませたり、離乳食もお世話の一環として手から食べさせていたことが影響しているのか、今でも水やご飯を人の手から食べたがるのだそうです。

また、ご家族の後を追って「抱っこして」とせがむことも多く、眠るときは一緒に布団に入ってくるのだとか…まるでワンちゃんのようです!時には熱心におでこを舐めてくれることもあるそうで、山本さんは「けっこう痛い、痛いけど幸せ」と仰っています。

まとめ

成長したデン

今回紹介したデンは、奇跡的に山本さんのご主人があの日、あの場所を散歩ルートに選び、愛犬の散歩をしていたこと、そしてご主人が気づいたことで救出されました。その後、素敵な獣医師さんと心優しい山本さん一家にお世話されたことで、健康的に生活できています。

しかし、世の中には、生まれたばかりの子猫を心無しにゴミ袋に入れて捨てる人がいることを忘れてはいけません。なぜこのような惨すぎる行為を平然とできるのでしょうか。

もしも子猫が生まれてしまい、どうすればいいのかわからないという場合は、里親を募集してみたり、地域の愛護団体に相談してみたりと違う手段もあるはずです。ゴミとして処分する、という選択だけは、絶対にしてないでほしいと強く思います。

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