13歳の高齢保護犬をお迎え。困難を乗り越えた先に待っていたものとは?

穏やかな表情のミッキー 感動

今回ご紹介するお話は、「れとまむ」さんからお寄せいただいた保護犬のお話です。れとまむさんは、2019年の夏に末期癌を患っている13歳のワイマラナーの保護犬を引き取ることになりました。しかし、保護犬を引き取るということは、簡単なことではないことを改めて知ったと言います。

飼い主が入院するために2頭の保護犬の里親探しを手伝うことに

保護犬2頭

れとまむさんは、2019年の夏頃、犬好きという共通点から知り合った友人から「幼馴染がホスピスに入ることになったから、その人が飼っていたワイマラナー2頭の里親探しをしている」という話を聞きました。どうやら飼い主さんが入院することになってしまったため、ワイマラナー2頭は訓練所に一時預かりされているとのことでした。

この話を聞き、れとまむさんは要介護の15歳のラブラドールと、3歳の元気なキャバリアを飼っていたため、引き取ることは難しいと判断。しかし、何かお手伝いできれば…とポスターを作り、かかりつけの動物病院に貼ってもらったり、SNSで情報拡散したりとサポートしていたそうです。

里親探しが難航した「ミッキー」

ミッキー

しかし、ワイマラナーという大型犬の里親探しは簡単ではありません。ワイマラナーは40kgを超える超大型犬に分類するタイプの犬種であるため、まず適切な住居環境を用意できる人が少ないのです。

また、会陰ヘルニアがあり、排泄には介助が必要であること、さらに脇腹には拳ほどの3つのしこりができており、末期癌が全身に転移している13歳のシニア犬であることなどが、里親探し難航の理由でした。

実際、ひとりだけ興味を示してくれた方はいたそうですが、病気のことを話した途端、音信不通になってしまったそうです。やはり、疾患のある13歳超大型犬となると、なかなか引き取ってくださる方は見つかりません。

ミッキーたちの里親探しが難航している中、7月の終わりにミッキーたちの飼い主さんの訃報が届いたのです。また、訃報を聞いた一時預かり先の訓練所の方々からも「これ以上は預かることが難しい」と言われてしまったと言います。

飼い主さんを亡くした2頭のワイマラナーのうち、アンジーは引き取り先が決まったそうですが、やはりシニアで疾患持ちのミッキーには、なかなか引き取り手が現れなかったそうです。

しかし、このままではミッキーは保健所などに送られてしまい、最悪の場合、殺処分対象となってしまう恐れもあります。そんな状況で、れとまむさんが一緒に暮らしているお母様とお兄様が「ミッキー、もう引き取ろうよ」と提案してくれたそうで、腹を括ってミッキーを引き取ることを決意したと言います。

こうして2019年8月12日、れとまむさん一家にミッキーがやってきたのです。

愛されていた…だからこそぶち当たった困難の壁

ミッキー

保護犬と聞くと、虐待を受けていたり、故意的に捨てられたりといった異メーを持つ人も多いと思います。しかし、ミッキーの飼い主さんは違います。最期こそ、入院によって手放さなければいけなくなりましたが、その直前まで、たっぷりと愛情を注ぎ、ミッキーともう1頭のワイマラナーと深い信頼関係を築いていました。

元々ワイマラナーは犬の中でも特に忠誠心が高いと言われています。そのため、大好きだった飼い主さんを失い、突然新たな家で家族として迎えられる状況に、大きな戸惑いを感じてしまったのでしょう。愛されていたからこそ、大きな壁に直面することになったのです。

先住犬との喧嘩も頻繁に勃発

穏やかな表情のミッキー

ミッキーにとって、飼い主さんを突然失い、さらに突然知らない環境に連れていかれ、新しい家族や先住犬と一緒に住むことになったのです。やはり、ストレスは相当のものだったのでしょう。

ストレスが爆発したことで、れとまむさん家で飼っていた先住犬との喧嘩も頻繁に勃発し、噛み合いの喧嘩に発展することも多かったそうです。

その度に、超大型犬のミッキーに噛みつかれた先住犬を病院へ連れて行き、れとまむさんは「間違った選択をしてしまったのだろうか」と悩み苦しんだそうです。

ある変化をきっかけに絆が生まれることに

ミッキーとレト

そんな困難の壁にぶち当たっていたある日、ミッキーが持病により体調不良になってしまった時期がありました。すると、今まで喧嘩をしていた先住犬のレト(キャバリア)が、ミッキーに寄り添い、一緒に寝るようになったと言います。

驚きの変化はこれだけではありませんでした。まるでミッキーを労わるかのように、「大丈夫?」とぺろぺろと優しく毛繕いをするなど、気遣う様子を見せるようになったのです!

この時期を境に、今までがまるで嘘だったかのように仲良くなったミッキーとレト。今では「一緒でなければお散歩に行かない!」と駄々をこねるほど大の仲良しになったのだとか!犬同士の友情は、犬同士の交流によって生まれるものなのですね。

また、レトとの出来事を境に、ミッキーの家族に対する態度にも変化が訪れたそうです。今まではどこか遠慮したような戸惑いがちだった態度から、素直にお腹を見せてきたり甘えてきたりするように♡

れとまむさん一家もこの変化には、とても安堵したことでしょう。

まとめ

誕生日パーティー

今回、れとまむさんはミッキーを引き取ることで大きな壁に直面しました。また、ワイマラナーのように超大型犬はもちろん、他の犬種であっても保護犬を引き取ることは、経済的にも負担が大きいのは事実です。

しかし、れとまむさんはこうおっしゃっています。「保護犬を迎えることで得られる幸せと愛は、そんな問題ちっぽけだと思えるほど大きなものです。私も家族も、胸を張って『ミッキーを引き取ってよかった!』と言えるほど、ミッキーとの生活は幸せで満ち溢れています」

そして現在、奇跡的にもミッキーの末期癌が寛解状態(検査によって見つかる異常箇所がなくなる状態)に落ち着いたとのことです。おめでとうございます!

きっとここから、ミッキーを迎えてレト(キャバリア)、そしてゴジラ爺(ラブラドール)との新たな生活が幕を開けるのでしょう。今後の生活の様子も楽しみですね!

こんな記事も読まれています

『もう離さない』手のひらに収まる程小さい【子猫症】の子猫が掴んで離さないもの

「助けられる命はほんの一部」野良子猫の保護依頼がどれだけあるか知っていますか?

穏やかな表情のミッキー

Comment