今回ご紹介するケースは、RSPCAの南オーストラリア支部が乗り出した悪質ブリーダーによる子犬工場の調査です。あまりに悲惨な環境に36匹もの犬たちが押し込められている状況は、言葉も出ないほどに悍ましい光景だったと言います。
あまりに酷い環境から36匹の犬たちを解放

出典:https://www.youtube.com/watch?v=Oor_6pN3NxU
RSPCA南オーストラリアは、ある暑い夏の日、悪質ブリーダーによって行われている『子犬製造ファーム』の調査に乗り出しました。そして現場に到着し、中の環境状態を確認したインスペクターたちは、あまりの悲惨さにショックを受けたと言います。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=Oor_6pN3NxU
中に入ると、子犬や成犬など、あらゆる年齢の犬たちが総勢36匹、押し込まれている状態でした。
その環境は清掃されている気配はなく、汚物にまみれている床に餌を放り投げられるように置かれていたり、36匹もいる犬たちにたった一皿分しか水が用意されていなかったりと、思わず絶句するような状況だったのです。
一欠片も犬たちに愛情が感じられないこの環境は、悪質ブリーダーによってお金儲けのためだけに用意された環境であることは明白です。
動画で映されている犬たちの顔を見ると、「もしかして助けに来てくれたの?」と期待をにじますようにウロウロと歩き回る犬もいれば、すでに全てを諦めてしまったかのように無表情で見つめ返してくる犬もいます。
○健康状態も最悪のコンディション

出典:https://www.youtube.com/watch?v=Oor_6pN3NxU
インスペクターの方々がとりあえずお水を、と新鮮な水を与えると、犬たちは勢いよくごくごくと飲み始めました。どのくらいの期間、空腹と脱水症状に悩まされていたのでしょうか。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=Oor_6pN3NxU
また、押し込められていた36匹のうち、多くの犬に感染症、寄生虫、ノミ、ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎) などの症状が見つかりました。
中には症状が重症化している例もあったため、すぐさま獣医師に診察してもらい、必要な処置をしてもらわなければいけない犬もいたと言います。
繁殖させるためだけに使われたヘザーとリズ

出典:https://www.youtube.com/watch?v=Oor_6pN3NxU
犬たちの中には、出産させられるためだけに檻の中に押し込められていた成犬もいました。そのうちの2匹が、ゴールデンレトリバーの「ヘザー」と「リズ」です。
「繁殖用」という名前の通り、まさに次々と子犬を出産させられていた状態だったようで、あまりの身勝手さと悍ましさにゾッとしてしまいます。
発見された当時、ヘザーとリズの近くには、生まれて生後数ヶ月と見られる子犬たちもおり、この子たちも他の犬たちと一緒に救出されています。
36匹の押収に悪質ブリーダーは「NO」

出典:https://www.youtube.com/watch?v=Oor_6pN3NxU
このあまりに悲惨な状況を見て、RSPCAの南オーストラリア支部のインスペクターたちは、悪質ブリーダーから犬たちを解放するため、もちろん押収に乗り出しました。
しかし、なんとここまでひどいことをしてきた悪質ブリーダーは、犬たちを手放すことを拒絶。このままでは、犬たちをこの虐待現場から救い出すことができないため、説得力のある主張と証拠を持ち、裁判に臨んだそうです。
その結果、悪質ブリーダーに下された判決は「今後9年間の動物飼育禁止処分」でした。一生でもいいのに…と思ってしまいますが、とりあえず犬たちを助け出すことができるため、一安心です。
そして、子犬工場に押し込められていた36匹の犬たちは、全員が里親探しに参加することに!素敵な飼い主さんに引き取られて、新たな幸せを掴んでほしいですね。
ヘザーとリズのその後

出典:https://www.youtube.com/watch?v=Oor_6pN3NxU
里親募集に参加したヘザーとリズですが、この2匹は一緒に檻に閉じ込められていたこともあり、とても仲良しでした。そのため、2匹の様子を見た里親立候補の方が、一緒に引き取ってくれることになったのです!
リズは、何か新しいことをするときは、まずヘザーがやってくれるのを見てから行動するほど、ヘザーのことを信頼している様子だったそうです。そのため、2匹一緒に仲良く同じ家で幸せに暮らせるという結末は、2匹にとってとても幸せでしょう。
今回紹介した子犬工場は、しっかり調査が行われ、犬たちもすべて救出されました。残念なことに、世界にはまだまだ悪質ブリーダーが多く存在します。少しでもこうした環境がなくなり、犬たちが幸せに家族の元へと引き取られることを願います。
※こちらの記事は動画配信をしているYouTubeチャンネルより許可を得て掲載しております。
掲載YouTubeチャンネル:RSPCA South Australia
RSPCA South Australia
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