トリマーとして働いていたポチタマライターの「Jin」さん。トリミングの送迎中に偶然出逢ったのは、檻の中に閉じ込められネグレクトを受けている1頭の大型犬でした。
運命の出会い!ネグレクト現場に遭遇

出典:https://wanchan.jp/column/detail/27166
ポチタマライターのJinさんがトリミングサロンに勤めていた頃、必要に応じて送迎サービスを行っていたのだそう。そんなある年の初夏、初めてトリミングするわんちゃんをご自宅へとお迎えに行ったところ、すぐ近所に設置されている檻のような場所に、1頭の犬がいることに気づきました。
Jinさんはなんとなくその存在が気になり、檻の中を覗き込んでみたそうです。すると、檻の中には痩せ細ったイングリッシュポインターが。排泄物にまみれた檻の中で、自分の排泄したうんちを食べて生き延びていたというのです。
食事もまともに与えてもらっていないようで、送迎に向かったお客さんに事情を聞いてみるとイングリッシュポインターの飼い主は3日1回きて餌を与えるだけだというではありませんか。
栄養が不足しているため、皮と骨だけの状態になった餓死寸前の様子のイングリッシュポインターは、自力で立ち上がることすらやっとの状態でした。
そのお客様の話では、ご飯は3日に1回、散歩にも連れて行かない、掃除もしない…といった様子だということです。
このお宅の飼い主さんもイングリッシュポインターのことは気にかけているようですが、勝手にご飯を与えると飼い主に怒られてしまうのだと。
また、Jinさんが何のために犬を飼っているのだろうと尋ねると「この飼い主は血統のいい犬を連れてきては同じことを繰り返しているの」と、次々に衝撃の事実が明かされていきました。

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近所の方々もイングリッシュポインターのことは気にかけているため、どうにか救い出してあげたいと心配しているとのこと。その話を聞き、Jinさんはまず飼い方の改善を求めるため、後日、改めてご近所の方とJinさんの友人を連れて飼い主の元へ訪れることにしたそうです。
・犬にとって快適な環境の部屋を用意すること
・必要な食事は毎日きちんと与えること
犬を飼う上でこんなにも当たり前のことを改めて改善要求しなければいけないだなんて…。
しかし、Jinさんたちの要求に対して、ネグレクトしている飼い主は「自分の犬だ。どう飼おうと勝手だろう」と吐き捨てるように言ったというのです。
さらに「面倒くさいんだよ、世話するのが」とまで言ってのけたのだと。開いた口が塞がらないとはこのこと。
Jinさんは「じゃあ、私に下さい。今の状態は動物虐待と同じですよね」と言うと、飼い主は意外にもあっさり「あ、そう。じゃ、よろしく。勝手に連れてって」と返事をしたのだとか。
これだけ酷いネグレクトを受けている場合、通常ならば人間に対して不信感を抱き、見知らぬ人ならば警戒してしまうところです。しかし、このイングリッシュポインターは違ったのです。
あれだけ酷い扱いを受けてもなお、Jinさんたちが檻からアンを救出すると、嬉しそうに笑顔を見せ、しっぽを振って迎えてくれたのだとか。

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車へと誘導すると、やはりこの時も積極的に車へと向かい、すぐに車へと飛び乗ってくれたイングリッシュポインター。当初は「はな」という名前だったそうですが、つらい記憶をなくしてあげたいと言う思いから、Jinさんが新しく「アン」という名前を贈られました。
実際、Jinさんの家の子になってから「はな」と呼んでも反応はなく、「アン」と呼ぶと嬉しそうに反応してくれるのだとか。きっと以前は名前すら呼ばれたことがなかったのかもしれません。こうしてアンは新たな犬生を歩み始めたのです。

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アンは、その後もJinさんの家で先住犬たちと仲良く幸せに暮らしているそう。毎日穏やかにのんびりと暮らすことができているのは、あの時、Jinさんが見逃さずに見つけてくださったお陰でしょう。
最後に、Jinさんは「アンを引き取って本当によかったと思っています。アンのような不幸な犬達を増やさないために命の大切さを伝えられたらと思います」と語ってくださいました。
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