長年にわたって、悩み多き学生たちをセラピー犬として支援してきた功績を認められ、このほど8歳のラブラドール・レトリバーが、名誉博士号を授与されました。ムースは自らも、がんの治療中にもかかわらず元気な姿で学生たちのセラピーに取り組み、大学で学ぶ未来の獣医たちをサポートしています。
2014年からセラピー犬に
長年にわたって、悩み多き学生達をセラピー犬として支援してきた功績を認められ、このほど8歳のラブラドール・レトリバーが、名誉博士号を授与されました。
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そしてもちろん、少しばかりのおやつも一緒に。
ムースは2014年以来、獣医学科のクック相談センターで働いています。この間、7500人以上の学生との面接に参加してきました。
5月15日に行われたオンライン卒業式で、彼に正式に学位が認可されました。もちろん、このときはおとなしくさせるために、おやつもたっぷりもらったのですが。
ムースは4匹いるセラピー犬のうちの1匹で、犬たちはバージニア工科大学の「メンタルヘルス大使」として、悩みやトラウマを抱えた学生を支援しています。
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ムースは、みんなの士気を高めるため、サッカーの試合に出場したり、イベントに参加することもあるのです。
「受け入れられている」安心感が強み
ムースの飼い主のトレント・デイビスさんは、認定カウンセラーであり、大学のアニマル・セラピー・プログラムの創始者でもあります。
「人間関係や犬との関係で、あまり良い体験をしてこなかった人々がいます。こういう人たちにも、ムースは安心感を抱かせる力があるのです。
学生たちは、ムースを見て『受け入れられている』と感じます。ムースは人を価値判断しないのです。」
ムースは、2019年にも、バージニア動物医療組合から動物英雄賞を授与されています。
がん治療中もセラピーに参加
でも実は彼自身、前立腺がんと闘病中なのです。血尿があった後で検査したところ今年2月、誕生日のわずか1週間後に病気がわかりました。
その後は、放射線治療や化学療法を受けていますが、治療中も、元気よくセラピーに参加してきました。
イメージを変えた、ムースの活動
ムースの活動は、メンタルヘルスの治療に関する暗いイメージを打ち壊してきたと評価されています。
デイビスさんはいいます。
「獣医は残念なことに、とても大変な職業なんです。自殺率は高いし、仕事の性質上嫌なことも多い。ムースは学生やスタッフを助けてきたし、ムースのおかげで、この状況が周囲からも理解されるようになってきました。」
「人は、しばしばムースの頭をなでたりしているうちに、突然しゃがみこんで、赤ちゃん声で話しかけます。
だから、『犬のセラピーって、どうやるの?』と聞かれると、『初めてお会いしたのに、もうあなたは、すぐ側にしゃがみこんで犬をなでながら、人生の意味について話しているじゃないですか』と答えるんです。」
学生生活を支える活動をする一方で、ムースは水泳や綱引き、おいしいごはんが大好きです。博士を取得できたムースはこれからもたくさんの学生の心を癒していくのでしょう。
出典:unilad.co.uk