運転中にテンポの速い曲を聞くと危険?
運転中に車内で音楽を流すと、楽しいドライブができるから好きだという人は多いのではないでしょうか。しかし、曲によってはドライバーの安全運転を妨げるかもしれない曲もあるようです。
いったいどんな音楽が危険だとされているのか、まずはその条件を確認してみましょう。
アップテンポの曲は心拍数や血圧が上がる
約20年前に行われた調査で、RACF(英国自動車クラブファウンデーション)は、1分間あたりの拍数を意味するBPMが60を超える曲を聞くと、一般的にドライバーの心拍数や血圧が上がってしまうことを明らかにしました。
また、中国の華南理工大学の研究でも、6車線の道路を模した運転シミュレーターをさまざまな音楽を聞きながら、または何も聞かない状態でドライバーたちに操作してもらったところ、アップテンポの曲を聞きながら運転した場合では安全性が低下したと発表しています。
中でも、BPM120以上のロック・ミュージックを聞きながら操作した時は、車線変更を行う頻度が通常の2倍となったり、制限速度を約5マイル(およそ時速8km)超過する速さで走行していたのだとか。
体が自然と興奮する曲を聞くことで、ドライバーの安全運転の意識を下げることにつながったようです。
大音量で曲を聞くと危険回避が遅れる
他には、音楽を90デシベル以上の大音量で流すことも、ドライバーの危険回避動作が約20%も遅れてしまうという結果が出ています。
例えば、車内でかけている曲のせいで周囲の音が聞こえず、他の車のクラクションや緊急車両のサイレン、踏切の警報音に気づけない可能性があるのです。
さらには、大音量の音楽を聞き続けていると知らず知らずのうちに疲れが溜まり、集中力が低下するとも考えられています。
運転中に聞くと危険だと言われている曲
このような結果をふまえて、各研究・調査団体は、具体的な「運転中に聞くと危険な曲」を発表しています。ここからは、クラシック音楽とロック・ミュージックの2ジャンルに分けてご紹介しましょう。
クラシック音楽
- ワーグナーの「ワルキューレの騎行」
- ヴェルディの「レクイエム:怒りの日」
クラシック音楽が危険な曲に当てはまるとは、驚く人もいるかもしれません。
けれどもRACFによると、クラシック音楽はアップテンポの曲ではなくても、音の数の多さや、クレッシェンド(次第に強く)とディミニュエンド(次第に弱く)の反復が激しく、メリハリのしっかりとした展開になることで、ドライバーを興奮させるとしています。
「ワルキューレの騎行」は、映画「地獄の黙示録」でヘリコプターによる爆撃シーンのBGMに使われていたり、大編成で演奏される「レクイエム:怒りの日」もドラマティックな曲調だったりと、感情が揺さぶられたドライバーが運転に集中できなくなるようです。
ロック・ミュージック
- グリーン・デイの「American Idiot」
- マイリー・サイラスの「Party In The U.S.A.」
- ザ・キラーズの「Mr. Brightside」
華南理工大学が行った実験で、最も危険なロック・ミュージックだと判定されたのは、日本でも大人気となったグリーン・デイの「American Idiot」でした。続くマイリー・サイラスとザ・キラーズの楽曲も、まさしくドライバーがノリノリになりそうなテンポの曲です。
ちなみに、これとは逆の運転中に聞いても危険ではなかった曲も発表されており、レッド・ツェッペリンの「Stairway to Heaven」が挙げられています。
安全運転のためにドライブ中は必ず集中しよう
運転中に好きな曲をかけると、ドライバーがリラックスした気持ちで運転できるというメリットがあります。しかし、選曲によっては、集中力の低下や疲労度のアップにつながる可能性もあるので注意しましょう。
また、モニターを操作しながらや、歌詞を見ながら歌う運転は絶対にしてはいけません。音楽を流す時には音量も控えめにして、安全運転を心がけてくださいね。