世界地図では伝わらない日本の本当の大きさ
世界地図を見ていて、「日本ってこんなに小さかったかな?」と感じたことはありませんか?
多くの人は、地図に描かれた日本のサイズをそのまま信じてしまいがちです。でも実は、世界地図で見る日本は実際の大きさとはかなり違っています。
私たちが普段目にする地図は「メルカトル図法」という方法で描かれています。航海用の地図として生まれたこの図法は、形や方向を正しく表す代わりに、面積の描き方には大きな歪みがあります。
この歪みによって日本列島の本当の大きさが正しく伝わらず、小さく見えてしまうのです。
そのため、日本は世界的に見ても「意外と大きい」国なのですが、ほとんどの人が地図のイメージから「日本は小さい国だ」と誤解しています。この誤解は日本だけでなく、世界中の国々にも起きています。
世界地図が作るサイズの誤解
この誤解の原因は、「メルカトル図法」という地図の作り方にあります。
メルカトル図法の地図は、赤道付近の国々は比較的実際の面積に近い大きさで描かれますが、高緯度(北や南に行くほど)の地域ほど極端に拡大される性質があります。
このため、地図の上では赤道から遠く離れた国が異常に大きく見えるという現象が起こります。
地図で大きく見える国の実際のサイズ
特に誤解されやすいのがグリーンランドです。地図で見るとアフリカ大陸と同じくらい大きく描かれることもありますが、実際のグリーンランドの面積は約216万平方キロメートルです。
これに対して、アフリカの面積は約3037万平方キロメートル。実はグリーンランドはアフリカの約14分の1しかありません。また、ロシアやカナダといった北方の大国も同様で、地図上では実際のサイズより大きく表現されています。
例えばロシアは世界最大の面積を持つ国ですが、地図上で見た巨大さよりもやや小さく、実際には約1709万平方キロメートルです。
このように、世界地図が示すサイズ感と実際のサイズには大きなズレがあります。
日本が小さく見える具体的な理由
ではなぜ日本は小さく描かれてしまうのでしょうか。
日本列島が位置するのは北緯約24度から45度あたり。比較的中緯度に位置しますが、高緯度地域の面積が過剰に拡大されるメルカトル図法では、相対的にこのあたりの緯度は小さく縮小される傾向があります。
例えば、地図上で日本とヨーロッパを比較すると、日本は小さく見えますが、実際の面積を比較してみると、日本はイギリスよりもかなり広いという驚くべき結果になります。
このように、地図に描かれた国々のサイズ感は位置する緯度によって大きく左右され、私たちが普段持っているイメージとは異なっています。
日本はヨーロッパの主要国より大きい
ヨーロッパといえば歴史的にも文化的にも影響力があり、地図のイメージでもそれなりの広さを感じさせます。しかし、日本の実際の大きさは、ヨーロッパの主要国と比較してみると、多くの人が想像するより広いことがわかります。
ヨーロッパと日本の面積を比較すると、いくつかの国とはかなり近いサイズ感で、国によっては明らかに日本の方が広いという結果になります。
日本とイギリスのサイズ比較
イギリスといえば世界地図上ではそれなりの面積を持つように見えますが、実際の面積は約24.3万平方キロメートルです。一方、日本の面積は約37.8万平方キロメートルです。
つまり、日本はイギリスの約1.6倍の広さがあります。
この広さの差は数字で見るよりも実感が湧きにくいかもしれませんが、もしイギリスを日本列島の上に重ねてみると、日本のほうが明らかに大きく、イギリスを丸ごと包み込んでしまうほどです。
この事実は、地図上の見え方から抱きがちなイギリスの大きさのイメージとは、大きく違っているのではないでしょうか。
ドイツやイタリアとも互角の広さ
では、ヨーロッパの中でも特に広いイメージがあるドイツやイタリアと比べてみるとどうでしょうか。
ドイツの面積は約35.7万平方キロメートル。日本との差はわずかですが、日本のほうが約2万平方キロメートルほど大きくなっています。
イタリアは約30.1万平方キロメートルで、日本よりもさらに小さい面積です。地図で見たときには長靴型の特徴的な形が目立つため、実際より大きく感じるかもしれませんが、実は日本よりも7万平方キロメートルほど小さいのです。
これらの数字を並べてみると、日本が決して「小さくない」ことがよくわかります。
日本のサイズ感をヨーロッパの主要国と比較してみることで、私たちが地図を通じて抱いている国々のイメージは、実際の大きさとは異なることに気づかされます。
大国と比べた日本のサイズ感
ヨーロッパの国々との比較では日本が「小さくない」ことを確認できましたが、では、世界的に見て圧倒的に広いとされるロシアやアメリカと比べたらどうでしょうか。
ここでは、こうした大国と日本のサイズ感を具体的な数字を通して見ていきます。
ロシアの大きさの現実
ロシアは世界最大の面積を持つ国で、その面積は約1709万平方キロメートルにもなります。日本の面積は約37.8万平方キロメートルなので、ロシアは日本のおよそ45倍という広大さを誇っています。
しかし、この数字は地図上でのイメージよりはずっと控えめなものでしょう。
メルカトル図法の影響で、ロシアは実際の面積以上に巨大に見えてしまいます。そのため、日本が極端に小さいと感じてしまうのです。日本の面積がロシアの約45分の1だとすると、確かにロシアは巨大ですが、地図ほどの極端な差ではないという現実が見えてきます。
日本はアメリカの何分の一?
では、アメリカ合衆国と比べると日本の大きさはどのくらいになるのでしょうか。
アメリカの面積は約983万平方キロメートルで、日本と比較するとアメリカは日本の約26倍の広さがあります。これを身近な比喩で表現すると、アメリカを東京ドームとすれば、日本はその中のグラウンドの一部程度のサイズになるイメージです。
地図上のアメリカは大きく、日本との比較で圧倒的に広く感じられますが、実際には約26倍という数字が示すように、地図ほど極端な差ではないことが分かります。
このように、日本は世界地図のイメージよりも決して小さくはなく、他国と実際の面積を比較すると、そのサイズ感の違いがはっきりと見えてきます。
日本列島を島ごとに比較してみると
日本の「本当の大きさ」を知るには、国全体だけでなく、島ごとに分けて見るのも有効です。
日本列島は大小さまざまな島々で構成されていますが、その一つひとつの島を海外の国や地域と比べてみると、日本のスケールがよりリアルに感じられます。ここでは、北海道と九州を取り上げて、島単位での比較を見ていきます。
北海道とアイルランドのサイズ比較
まず北海道ですが、その面積は約8.3万平方キロメートル。これは、ヨーロッパ北西に位置するアイルランド(約7万平方キロメートル)よりも広い面積を誇ります。
アイルランドはヨーロッパの中でもそれなりに広く、自然豊かな国として知られています。北海道もまた、広大な大地と豊かな自然が魅力です。こうして並べてみると、北海道の大きさはアイルランドを上回る規模であることがよくわかります。
実際、北海道を訪れた外国人観光客の中には、北海道の広さに驚く人が多いといいます。札幌から函館までの距離は東京から名古屋に匹敵するほど。数字だけではピンと来なくても、実際に移動してみると、その広大さを実感できます。
九州は台湾よりも大きい
では、九州と台湾の面積を比較してみましょう。
九州の面積は約3.7万平方キロメートルで、それに対して台湾は約3.6万平方キロメートルです。わずかな差ではありますが、九州のほうが広いのです。
台湾といえば、日本からの旅行者も多く訪れる人気の観光地。日本人にとって比較的身近な場所ですが、九州はそんな台湾よりも広いことになります。
実際に九州を旅行するとわかりますが、福岡から鹿児島までの距離は約260kmほど。東京から浜松あたりまでの距離に相当し、簡単に周遊するには少し距離があります。台湾と九州はよく似た面積ながら、島としてはかなり大きな部類であることが実感できます。
こうした島ごとの比較を通じて、日本列島の実際のサイズがより具体的にイメージできるようになるでしょう。
教科書で見落としがちな日本の長さ
日本の面積については多くの人が大まかなイメージを持っていますが、実は「南北の長さ」については意外と見落とされがちです。
日本列島の南北の長さは約3000キロメートルにも及びます。これは数字だけではなかなか想像しにくい距離ですが、ヨーロッパ大陸に重ねてみると、実は驚くほどの長さであることがわかります。
具体的には、日本の北端から南端までの距離は、ヨーロッパのパリ(フランス)からモスクワ(ロシア)までを超えるほどの距離に匹敵します。飛行機で移動しても数時間はかかる距離感です。
日本を小さな国だと感じていた人にとって、この事実は新鮮な気づきになるかもしれません。多くの人が見落としている日本列島の長さに焦点を当てることで、日本のサイズ感をより深く理解することができます。
「The True Size Of」で国のサイズ感を確かめる
世界地図によるサイズ感の誤解を手軽に解消できるウェブサイトが、『The True Size Of』です。
このサイトでは、好きな国や地域をドラッグ&ドロップするだけで、実際の大きさを感覚的に比較することができます。特にメルカトル図法の誤差が分かりやすく、地図上で極端に大きく見えるグリーンランドやロシアを赤道付近まで移動させると、その「本当の大きさ」が瞬時に視覚化されます。
例えば日本をヨーロッパにドラッグすると、日本列島がイギリスやドイツをしっかり覆う大きさであることが一目でわかります。また、アメリカのテキサス州と日本のサイズが近いことなど、感覚的な理解が進むはずです。
こうしたウェブサイトは、世界地図が持つ錯覚を取り除き、国の実際のスケール感を楽しく学ぶことができるツールです。
友達に話したくなる日本のサイズ豆知識
日本のサイズについて理解を深めたところで、友達に話したくなるような、覚えやすい豆知識を紹介します。
まず、日本の国土面積は世界で約61位です。およそ196の国の中で61位と聞くと、意外と上位の部類に入ることが分かります。さらに、日本の中で最大の島・本州は、世界で7番目に大きい島という特徴があります。世界的に見ても非常に大きな島であることは、日本人でもなかなか意識することがないかもしれません。
日頃から「日本は狭い」と感じている方でも、この二つの豆知識を伝えるだけで、「日本って実はそんなに小さくないんだね!」と驚きを与えることができます。身近な話題として、ぜひ覚えておいてください。
日本のサイズ感を誰かに伝えたくなったら
ここまで読んで、日本が地図で見るよりもずっと広いという新たな気づきを得られたのではないでしょうか。
普段、世界地図だけを見ていると国のサイズに関する誤解が生まれてしまいますが、実際の数字や他国との比較を知ることで、新しい視点が生まれます。
もしこの内容が面白いと感じたら、ぜひ家族や友人との会話のきっかけにしてみてください。知った情報を他の人に伝えることで、会話がさらに盛り上がること間違いなしです。
「日本って地図より全然大きいんだよ!」という新しい知識は、きっと周囲の人たちにも新鮮な驚きを与えてくれるでしょう。
国・地域名
|
面積(km²) | 日本との比較 |
---|---|---|
アフリカ大陸 | 約30,370,000 | 日本の約80倍 |
ロシア | 約17,098,000 | 日本の約45倍 |
アメリカ | 約9,830,000 | 日本の約26倍 |
グリーンランド | 約2,160,000 | 日本の約5.7倍 |
日本 | 約378,000 | ―(基準) |
ドイツ | 約357,000 | 日本の約0.94倍 |
イタリア | 約301,000 | 日本の約0.80倍 |
イギリス | 約243,000 | 日本の約0.64倍 |
アイルランド | 約70,000 | 日本の約0.19倍 |
台湾 | 約36,000 | 日本の約0.10倍 |