カーネル・サンダース像のメガネは『度入り』だった!日本人スタッフの執念のこだわり

雑学

意外と知らない!カーネル像のメガネに秘められた物語

皆さんは気づいていましたか?店頭のカーネル・サンダース像、実はメガネに本物の度が入っているんです。

「えっ、そんなこだわりが?」と驚かれる方も多いはず。実はこれ、ただの見た目だけのこだわりではありません。そこには、日本のスタッフたちの深い想いが込められていたのです。

本物の度入りメガネを採用した意外な理由

カーネル・サンダース本人は、世界中の店舗を巡り、自分の味が正しく再現されているかを厳しくチェックしていました。その際、基準に満たない店舗では、持参したステッキで厨房を叩くほど。この完璧主義者の来日を控えた1970年、日本のスタッフたちの緊張は最高潮に達していました。

「中途半端なものは絶対に見せられない」

そんな想いから、スタッフたちは立像製作の細部にまでこだわることを決意。メガネにも実際の度数(+2.50D~+3.25D)を入れることにしたのです。これは遠視用の度数で、実際にレンズ越しに指を入れると指が大きく見える程度の強さです。

カーネル本人も来日時、この像を見て思わず自分と握手をしたほど。そっくりな姿に大喜びだったと言います。実は、このメガネは福井県鯖江市の職人たちが手がけていました。日本が世界に誇る眼鏡産地の技術が、カーネル像の完成度を高めていたというわけです。

60歳当時の姿を完全再現した執念のこだわり

メガネだけではありません。身長173cm、重量26kgという等身大の像には、60歳当時のカーネル・サンダースの姿が細部まで再現されています。

白いスーツの胸元に輝くロータリークラブの会員章も本物そっくり。黒いリボンタイ(ストリング・タイ)の結び目の角度まで、当時の写真を何度も確認して作り上げられました。このこだわりは、カーネル本人の誠実な仕事ぶりを表現したかったスタッフたちの想いの結晶だったのです。

なぜそこまでのこだわりを?それは、カーネル・サンダースが65歳で人生を賭けて始めたビジネスへの敬意があったからです。誰もが「もう遅い」と思う年齢で世界的チェーン店を築き上げた創業者の精神。その想いを、像の細部にまで込めたかったのです。

両手を広げた不思議なポーズの意味

「なぜカーネル像は両手を広げているの?」

実は、このポーズにも理由があります。チキンを入れる箱「バーレル」を持つために計算された手の形だったのです。当初は実際にバーレルを持たせていましたが、風で飛んだり、いたずらで持ち去られたりするトラブルが相次ぎ、現在は安全性を考慮して外されています。

しかし、クリスマスシーズンなど特別なイベント時には、今でも一部の店舗でバーレルを持ったカーネル像を見ることができます。まるで出迎えてくれているかのような温かな雰囲気は、多くの人々の心を和ませています。

日本から世界へ!広がるカーネル像文化の感動秘話

カーネル像を店頭に常設する文化は、実は日本が始めたんです。きっかけは1970年、カナダのフランチャイズ店でイベント用に使用された後、倉庫で眠っていた像を日本法人の幹部が見つけたこと。この像を日本に持ち帰り、大阪府東住吉店に設置したのが店頭展示の始まりでした。

当時の日本では、まだファストフードという業態自体が珍しく、店舗の外観だけでは理容店と間違えられることもあったとか。そんな中、カーネル像は店舗の「顔」として、ブランドの認知度を高めることに一役買ったのです。

この日本発の取り組みは、後にアメリカ・中国・韓国・タイなど、世界中のKFC店舗でも取り入れられることになりました。

鯖江の職人魂が支えた細部へのこだわり

カーネル像のメガネ製作を担ったのは、世界的な眼鏡産地として知られる福井県鯖江市の職人たち。実は2000年代中頃までの約30年間、世界中のカーネル像のメガネは、すべて鯖江製だったのです。

鯖江の眼鏡職人たちは、カーネル本人が使用していた老眼鏡を忠実に再現。その技術は、後にアメリカの本社からも高く評価されることになります。現在は製造コストの関係で中国製に切り替わっていますが、鯖江の職人たちが作り上げた品質基準は、今でも受け継がれています。

道頓堀の「カーネル像」が紡いだ24年の物語

カーネル像にまつわる感動的なエピソードの一つが、1985年の「道頓堀カーネル像」の物語です。阪神タイガースのリーグ優勝に沸く中、熱狂的なファンによって道頓堀川に投げ込まれた像は、24年もの間、川底で眠ることになりました。

2009年、ついに発見された像。メガネは失われていましたが、鯖江の眼鏡協会が「24年ぶりによく見えるようになって、カーネル像も嬉しいでしょうね」と、新しいメガネを寄贈。この話は全国のメディアで取り上げられ、多くの人々の心を温めました。

進化し続けるカーネル像の新たな挑戦

2018年からは、新たな形のカーネル像も登場しています。ベンチに腰掛けた「おすわりカーネル」は、子供たちと同じ目線で触れ合えるように考案されました。この親しみやすいデザインは、公募で名付けられ、全国のショッピングモールなどで人気を集めています。

また、季節やイベントに合わせた装いも、カーネル像の魅力の一つ。クリスマスのサンタクロース姿、お正月の晴れ着姿、そして地域の特色を活かした衣装まで。時には地元スポーツチームのユニフォーム姿で応援に一役買うことも。

カーネル像に込められた想いは今も続く

メガネの度数から始まった細部へのこだわり。それは単なる完璧主義ではなく、「本物」を追求する誠実な姿勢の表れでした。65歳で新たな挑戦を始めたカーネル・サンダース本人の生き様に重ねられた、日本のスタッフたちの想い。

今では当たり前となった店頭のカーネル像ですが、そこには知れば知るほど深い物語が隠されています。次にケンタッキーの店頭でカーネル像を見かけたら、ぜひメガネに注目してみてください。そして、この意外な雑学を誰かに話してみてはいかがでしょうか?きっと、あなたの語る「カーネル像の秘密」に、みんな興味津々に耳を傾けてくれるはずです。

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