「Xmas」「X’mas」「Christmas」の違いに気づいていますか?
「メリークリスマス!」という言葉が街中に響き始めるこの季節。お店の看板やポスター、SNSの投稿を見ていると、クリスマスの英語表記が「Xmas」だったり「X’mas」だったり「Christmas」だったり、なんだかバラバラな印象を受けませんか?
実は先日、あるショッピングモールで面白い光景を目にしました。同じフロアにある3つのお店で、それぞれ違う表記の「メリークリスマス」が掲げられていたんです。「Merry X’mas」「Merry Xmas」「Merry Christmas」…どれが正しい表記なんだろう?そんな疑問を持ったことはありませんか?
結論!正しいのは「Xmas」、「X’mas」はNG表記だった
結論から言うと、正しい表記は「Christmas」と「Xmas」の2つです。よく目にする「X’mas」は、実は間違った表記なんです。「えっ、本当に?」と驚かれる方も多いはず。私も最初は意外でした。
では、なぜ「X’mas」は間違いなのでしょうか?多くの人が勘違いしているポイントは、アポストロフィ(※1)の使い方にあります。英語では「I am」を「I’m」と省略するように、アポストロフィは文字を省略するときに使います。しかし、「Xmas」の「X」は省略ではなく、れっきとした意味を持つ文字なんです。
インターネットで「X’mas」と検索すると、実に多くのウェブサイトやSNSで使われているのを見かけます。でも、英語圏のサイトではほとんど見かけません。これには、とても興味深い理由があるんです。
※1:アポストロフィとは、英語で使用される「’」(シングルクォーテーションマーク)のこと。主に省略を示す記号として使われます。
「Xmas」に隠された1000年の歴史とは?
「Xmas」の「X」には、実は深い歴史的な意味が隠されています。この「X」は、ギリシャ語で「キリスト」を意味する「Χριστός(※2)」の最初の文字なんです。つまり、「X」は「Christ(キリスト)」の古くからある表現方法だったわけです。
この表記方法は、なんと1000年以上も前から使われていたという記録が残っています。当時は今のように識字率が高くなく、「Christ」という単語を正確に書ける人も限られていました。そんな中で、「X」という一文字で「キリスト」を表現できる方法は、とても重宝されたそうです。
ちなみに、教会の装飾などで見かける「XP」というマークも、実は「キリスト」を表すギリシャ語の略字です。こうして見ると、「X」には深い宗教的な意味が込められていることがわかりますね。
※2:「Χριστός」は「クリストス」と読み、「キリスト」を意味するギリシャ語です。
なぜ「X’mas」は間違いなのか?その理由と誤解の始まり
では、なぜ日本では「X’mas」という表記が広まってしまったのでしょうか?これには面白い背景があります。
日本語の文字間隔の感覚からすると、「Xmas」というつなぎ方は少し違和感があります。そこで、見た目のバランスを整えるために、無意識のうちにアポストロフィを入れる人が増えていったという説があります。
また、英語教育で「don’t」や「I’m」のような省略形を学ぶ際、「アポストロフィは省略を表す」と教わります。その知識から、「Xmas」も何かの省略形だと勘違いして、アポストロフィを入れてしまう人も多いようです。
このように、「X’mas」は日本独特の感覚から生まれた表記だったんですね。でも、英語圏では「X’mas」という表記はほとんど見かけません。むしろ、最近では「Xmas」という表記すら避ける傾向にあるんです。
意外と知らない!世界のクリスマス表記事情
実は現代の英語圏、特にアメリカでは「Xmas」という表記も徐々に使われなくなってきています。その理由は、意外なところにありました。
数学で「X」は「未知数」を表すことから、「神の子イエス・キリストを未知のものとして扱うのは失礼だ」という考えが広まったんです。また、「キリストの存在を”X”で消し去っているように見える」という指摘もあり、慎重に扱われるようになりました。
そのため、現在の英語圏では「Christmas」と正式な表記を使うことが一般的です。広告やポスターなどでスペースの制約がある場合を除いて、「Xmas」を避ける傾向が強まっています。
また、多文化共生の観点から「Happy Holidays(良い休暇を)」という表現を使う動きも出てきました。クリスマスを祝わない人々への配慮から生まれた、現代ならではの変化と言えるでしょう。
クリスマス表記の豆知識で周りと差をつけよう!
ここまで「Xmas」と「X’mas」の違いについて見てきましたが、いかがでしたか?意外な歴史や背景があって、面白い発見があったのではないでしょうか。
この話題は、クリスマスシーズンのちょっとした会話のネタにぴったりです。例えば、お店の看板を見かけたときに「あ、この表記には実は1000年以上の歴史があるんだよ」なんて話を振ってみるのはどうでしょう?
また、「X’mas」と書いているお店を見かけても、いちいち指摘する必要はありません。むしろ、日本独自の表記として定着してきた面白い例として捉えるのも良いかもしれません。言葉は時代とともに変化していくものですからね。
最近では「メリクリ」という略語も定着してきましたが、これも日本らしい言葉の進化と言えるでしょう。大切なのは、その言葉に込められた「楽しく過ごしたい」という気持ちかもしれません。
そう考えると、クリスマスの表記の違いは、時代や文化による言葉の変化を教えてくれる、とても興味深い例と言えそうです。今年のクリスマスは、こんな話題で会話を楽しんでみてはいかがでしょうか?