『てるてる坊主』の本当に怖い由来とは?童謡に隠された衝撃の一節とは

雑学

なぜ軒先に白い人形を吊るすの?てるてる坊主の意外な正体

「明日は運動会!絶対に晴れてほしい…!」

子どもの頃、そんな願いを込めて白い布で作ったてるてる坊主を窓辺に吊るした記憶はありませんか?

でも、よく考えてみると不思議です。なぜ白い布で人形を作って吊るすと晴れるとされているのでしょうか。実は、この可愛らしい見た目のてるてる坊主には、意外にも怖い物語が隠されているのです。

童謡「てるてる坊主」をご存知の方も多いはず。「てるてる坊主てる坊主、あした天気にしておくれ」という明るい歌詞で始まるこの曲、実は3番まであるんです。そして驚くべきことに、3番の歌詞にはこんな恐ろしい一節が…。

「それでも曇って泣いてたら、そなたの首をチョンと切るぞ」

なんとも物騒な歌詞ですよね。でも、この歌詞には深い意味が込められているのです。実は、てるてる坊主の由来には諸説あり、その中にはゾッとするような怖い物語も含まれています。

では、なぜこんな怖い物語が生まれたのでしょうか。ここからは、てるてる坊主の4つの由来説をご紹介していきます。

【諸説1】中国の美しい少女「掃晴娘」の切ない物語

最も広く知られているのが、中国の「掃晴娘(そうせいじょう)」という伝説に基づく説です。

昔、中国の北京に「晴娘(ちんにゃん)」という美しい娘が住んでいました。彼女は手先が器用で、特に切り絵の技術に優れていたそうです。その技は宮廷の后妃たちも欲しがるほどだったといいます。

ある年の6月、北京は大雨に見舞われました。雨は一向に止む気配を見せず、街は水浸しに。人々が困り果てていたとき、晴娘は空に向かって祈りを捧げました。

すると天から声が聞こえてきます。「東海龍王(とうかいりゅうおう)の妃になれば雨を止めよう」。東海龍王とは、中国神話に登場する雨を司る龍神です。つまりこれは、自らの命と引き換えに街を救えという、残酷な取引だったのです。

晴娘は街の人々を救うため、その申し出を受け入れました。その瞬間、彼女の姿は消え、空は見事な快晴へと変わったといいます。

この物語から、人々は雨が続くと、晴娘への感謝を込めて「箒を持った少女の切り絵」を門に吊るすようになりました。この風習が「掃晴娘(そうせいじょう)」です。「掃」は箒で掃くという意味で、「晴」は晴れる、「娘」は少女を表します。まさに「雨雲を箒で掃き払う少女」という意味が込められているのですね。

【諸説2】首をはねられた僧侶と晴れの祈り

もう一つ、日本に伝わる怖い伝説があります。これは、先ほどの童謡の歌詞の由来とも言われている物語です。

ある地域で長雨が続いていたとき、「お経を唱えれば必ず晴れる」という噂の僧侶がいました。困り果てた殿様は、その僧侶を城に呼び寄せ、雨を止めるよう命じました。

僧侶は一心不乱にお経を唱えましたが、翌日になっても雨は止みません。怒り狂った殿様は、約束を守れなかった僧侶の首を刎ねてしまったのです。そして、その首を白い布で包み、見せしめとして軒下に吊るしました。

すると、不思議なことに翌朝には雨が上がり、まぶしいほどの快晴となったといいます。これが「てるてる坊主」の形の起源という説もあるのです。

【諸説3】雨雲を払う妖怪「日和坊」の伝説

江戸時代の妖怪画家として知られる鳥山石燕(とりやませきえん)の著書『今昔画図続百鬼』には、「日和坊(ひよりぼう)」という妖怪が登場します。

この妖怪、雨の日には姿を隠し、晴れた日だけ現れるという風変わりな性質を持っていました。鳥山石燕は「人々がてるてる坊主を作って晴れを祈るのは、この日和坊を祀っているのではないか」と記しています。

実は、各地に残る「てるてる坊主」の呼び名の中に「日和坊主(ひよりぼうず)」というものがあります。これは妖怪「日和坊」との関連を示唆する興味深い証拠かもしれません。

【諸説4】天を照らす法師から始まった説

もっと穏やかな由来説もあります。「天を照らす法師」が訛って「てるてる法師」となり、さらに「てるてる坊主」になったという説です。

「天照る(あまてる)」という言葉は、太陽が明るく照らすという意味。これが「照る照る」となり、当時の天候祈願は主に僧侶が行っていたことから「法師」が付いたと考えられています。

実際、江戸時代の文献には「てりてり坊主」「てるてる法師」など、様々な呼び方が記録されています。時代とともに呼び名が変化し、現在の「てるてる坊主」に落ち着いたというわけです。

てるてる坊主が教えてくれる日本の不思議な文化

このように、可愛らしい見た目のてるてる坊主には、実に様々な物語が秘められていました。中国の切ない伝説から日本の怖い言い伝え、さらには妖怪の話まで。一つの風習の中に、これほど多彩なストーリーが詰まっているのは、とても興味深いですね。

現代では科学的な天気予報が発達し、てるてる坊主を作る機会も減ってきているかもしれません。でも、大切な行事の前日に家族で作ったり、子どもと一緒に願いを込めて飾ったり…。そんな素敵な習慣は、これからも大切にしていきたいものです。

友人や家族と「実はてるてる坊主って…」と話のタネにしてみてはいかがでしょうか。きっと「へぇ、そんな怖い話があったんだ!」と、みんな興味津々に聞いてくれるはずです。

私たちの身近にある風習の中には、このように思いもよらない物語が隠されているものです。てるてる坊主の不思議な由来を知ると、何気なく作っていた白い人形が、もっと深い意味を持って感じられるのではないでしょうか。

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