なぜ映画館ではポップコーンなの?嫌われ者から救世主へ!驚きの変遷とは

雑学

映画館のポップコーンにはおもしろい秘密がいっぱい!

休日、映画を見に行った時のこと。ふと気づくと、周りの人たちのほとんどがポップコーンを手にしています。「そういえば、なんで映画館ってポップコーンなんだろう?」この素朴な疑問を持ったことはありませんか?

実は、映画館とポップコーンの結びつきには、想像もつかないような面白い歴史が隠されているんです。現在、アメリカの大手映画チェーンAMCは年間でなんと、オリンピックサイズのプール222杯分ものポップコーンを販売しているそうです。これは、一体どういうことなのでしょうか。

意外と知らない!映画館がポップコーンを嫌っていた時代

実は1920年代、多くの映画館はポップコーンを嫌っていました。今では想像もつかないことですが、当時の映画館はまるで高級な劇場のような雰囲気を目指していたのです。

上映室には高価なカーペットが敷かれ、映画は字幕のみ。つまり、字が読める教養のある人々をターゲットにした、いわば”ハイソな空間”だったのです。「ポップコーンの食べかすがカーペットを台無しにする」「音が気になって映画に集中できない」といった理由で、ポップコーンの持ち込みは固く禁止されていました。

しかし、映画好きな人々は映画館の外で売られていたポップコーンを、コートの内ポケットに隠して持ち込んでいたそうです。現代の私たちからすれば、ちょっと想像しづらい光景かもしれませんね。

さらに驚くべきことに、当時のアメリカでは「映画が面白くない場合、スクリーンにポップコーンを投げつける」という衝撃的な習慣まであったそうです。映画館側からすれば、これも高級路線を目指す上での大きな悩みの種だったに違いありません。ただ、興味深いことに「ポップコーンなら、当たっても痛くないし、スクリーンも傷つかない」という意見もあったとか。もちろん、現代ではこのような行為は絶対にNGですが、この逸話からも当時の映画館とポップコーンの複雑な関係が垣間見えますね。

大恐慌が生んだ奇跡のコンビ!映画館とポップコーンの運命的な出会い

そんな”高級路線”を貫いていた映画館の方針を、一変させる出来事が起こります。それは1929年に始まった世界恐慌でした。

現実の厳しさから逃れるために、人々は娯楽を求めて映画館に足を運びました。しかし、贅沢品が買えない時代。そんな中で、たった5セント(現在の価値で約100円程度)で買えるポップコーンは、人々にとって手の届く”ちょっとした贅沢”だったのです。

映画館の危機を救った『5セント』の救世主

この頃、とある大手映画館チェーンで興味深い出来事が起きました。チェーン全体の80の劇場にポップコーンの販売機を設置したものの、最高級の5つの劇場だけは「格が下がる」という理由で設置を拒否したのです。

その結果は驚くべきものでした。ポップコーンを導入した劇場は黒字を維持できた一方、導入を拒否した5つの高級劇場は、わずか2年で赤字に転落してしまったのです。

この出来事は、当時の映画館経営者たちに大きな衝撃を与えました。「ポップコーンこそが、映画館を救う救世主なのではないか?」。そう考えた映画館たちは、次々とポップコーンの導入を決めていったのです。

なぜポップコーンは映画館の定番スナックになれたのか

ポップコーンが映画館で定着した理由は、時代の追い風だけではありませんでした。実は、ポップコーンには映画館のスナックとして「完璧な条件」が揃っていたのです。

まず挙げられるのが、その香り。ポップコーンの香ばしい香りは、映画館のロビーに漂うだけで自然と人々の購買意欲をそそりました。実際、多くの映画館では意図的にポップコーンの調理機を入口付近に置き、その香りで客を誘引していたそうです。

さらに、第二次世界大戦中の砂糖不足も、思わぬ追い風となりました。砂糖を使用するキャンディーやキャラメル、清涼飲料が品薄になる中、塩味のポップコーンは安定して供給できる数少ないスナックだったのです。

映画館の裏側で支える”黄金の粒”の存在

現代の映画館にとって、ポップコーンはもはや無くてはならない存在です。実はチケット収入の多くは映画配給会社に支払われるため、映画館の収益は意外にも売店収入に大きく依存しているのです。

具体的な数字を見てみましょう。大手映画チェーンの売上の約3分の1が売店収入。そしてその利益率はなんと80%以上にも上ります。例えば、アメリカの大手映画チェーンAMCの2023年の飲食事業による売上は、実に16億7000万ドル(約2600億円)にも達しています。

「映画館のポップコーンって高いよね」とよく聞きますが、実は私たちが支払う料金の一部が、映画館という文化を支える重要な収入源になっているわけです。

映画館の歴史を変えた意外なスナックの物語

時代と共に映画館は変化を続けています。最近では、プレミアムシートやグルメフードを提供する高級映画館も増えてきました。しかし、そんな中でもポップコーンの人気は衰えることを知りません。

なぜでしょうか?それは、映画を観る体験の一部として、ポップコーンが私たちの記憶に深く刻み込まれているからかもしれません。大画面に映し出される映像、暗闇の中で響く音、そして手元でカリカリと音を立てるポップコーン。この組み合わせは、90年以上の時を超えて受け継がれてきた特別な体験なのです。

映画館に行ったら必ずポップコーンを買う人、予告編が始まるまで我慢して食べ始める人、映画と一緒に楽しむ人…。みなさんは、どんな風にポップコーンを楽しんでいますか?

次に映画館でポップコーンを見かけたとき、ぜひこの意外な歴史を思い出してみてください。きっと、あの香ばしい香りに、また違った魅力を感じることができるはずです。そして、映画好きの友達に「実は映画館とポップコーンには、こんな面白い歴史があるんだよ」と、教えてあげてください。新しい発見を共有する会話が、映画の楽しみをさらに広げてくれるかもしれませんよ。

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