『レーザー』と『ビーム』の違いとは?映画でよく見る光線の正体を解説!

雑学

意外と知らない!レーザーとビームの決定的な違い

「スター・ウォーズ」のライトセーバーや「ウルトラマン」の必殺技など、SF作品には光線を使った攻撃がたくさん登場します。その多くは「レーザー」や「ビーム」と呼ばれていますが、実は両者には大きな違いがあるんです。

端的に言えば、レーザーはビームの一種。つまり、ビームという大きな分類の中に、レーザーという特殊な光が含まれているというわけです。ビームは粒子や波の一直線上の流れ全般を指す言葉で、光に限らず電子やマイクロ波、超音波なども含まれます。一方、レーザーは特殊な方法で作られた光だけを指します。

SF作品で「レーザー攻撃」と言われているものの多くは、実は科学的にはビームと呼ぶべきもの。なぜなら、それらは光の速さを超えないレーザーではなく、もっとゆっくりと飛んでいく粒子の流れだからです。

なぜビームは光以外も含むの?粒子の束が生み出す不思議な性質

ビームという言葉を聞くと、多くの人は「光の線」をイメージするかもしれません。しかし、ビームの正体は「粒子や波の束」(※1)なんです。

例えば、水鉄砲から放たれる水の流れを想像してみてください。きれいな一直線を描いて飛んでいく水の軌跡、あれがビームの基本的なイメージです。水の粒が束になって、まっすぐに進んでいく様子は、まさにビームの特徴そのもの。シャワーヘッドから広がって出る水とは違い、一点に向かって集中する水鉄砲の水流は、ビームの「粒子が束になって直進する性質」を理解する上で、とてもわかりやすい例えといえるでしょう。

ビームの種類は実に様々。電子が束になった「電子ビーム」(※2)、原子核が集まった「イオンビーム」(※3)、そして私たちの目に見える「光ビーム」など。これらはすべて、粒子や波が集まって一方向に進む性質を持っています。

テレビのブラウン管やLEDディスプレイの中では、電子ビームが画面を作り出すために使われていました。まさに、私たちの身近なところでビームが活躍していたというわけです。

※1:物理的には「相互作用の少ない状態で直進する粒子や波の集まり」を指します
※2:電子が集団で移動する現象で、古いテレビなどに使用されていました
※3:原子から電子を取り除いた粒子の流れで、半導体製造などに使用されます

レーザーってどんな光?特別な性質を持つ不思議な光線

レーザーは、誘導放出(※4)という特殊な方法で作られる光です。普通の光と比べて、とても純度が高いのが特徴。例えるなら、雑味のない純米大吟醸のようなもの。一方、蛍光灯や太陽の光は、いろいろな波長が混ざった「にごり酒」みたいなものです。

この純度の高さが、レーザーならではの3つの特徴を生み出します。まっすぐ進む性質(指向性)、一つの色に限定される性質(単色性)、波の山と谷が揃う性質(可干渉性)です。これらの特徴により、レーザーは非常に細い点に集中させることができ、遠くまでまっすぐ届きます。

面白いことに、レーザーという言葉は「Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation」(誘導放出による光の増幅)という長い英語の頭文字を取って作られました。これを考えたのは、1959年にゴードン・グールドという科学者です。彼は最初、光なら「laser」、X線なら「xaser」、紫外線なら「uvaser」と呼ぶことを考えていたそうです。でも結局、定着したのは「laser」だけでした。

※4:原子が光を受けて別の光を放出する現象で、1917年にアインシュタインが理論的に予言しました

身近に潜むレーザーとビームの世界

実は私たちの周りには、レーザーやビームを使った製品がたくさんあります。例えば、CDやDVDを読み取るピックアップレンズには小さなレーザーが使われています。スーパーのバーコードリーダーもレーザーですし、医療現場では手術用のレーザーメスが活躍しています。

ビームも負けてはいません。エレキギターの音を増幅する真空管の中では電子ビームが飛び交い、半導体工場では様々な種類のビームが製造工程で使われています。最新技術の研究開発でも、ビームは重要な役割を果たしています。

特に面白いのが、レーザービーム(※5)を使った最新技術です。例えば、空気中にレーザーで通り道を作り、そこに雷を誘導する「レーザー誘雷」という技術が開発されています。まるでSF映画のような技術が、現実のものになりつつあるんです。

※5:レーザーの性質を持ったビームのことで、純度の高い光の流れを指します

思わぬところで大活躍!レーザーとビームの意外な使われ方

工業分野では、レーザーとビームの特徴を活かした様々な技術が使われています。例えば、レーザーカッターは金属や木材を高精度に切断できます。また、電子ビームは金属の溶接や、超微細な半導体の製造に使われています。

医療分野での活用も目覚ましいものがあります。レーザー治療は、網膜の手術や虫歯の治療、美容整形など、幅広い分野で使われています。がん治療では、陽子ビーム(※6)を使って、周囲の健康な組織にダメージを与えることなく、がん細胞だけを狙い撃ちする治療法も実用化されています。

科学研究の最前線でも、レーザーとビームは欠かせない存在です。例えば、レーザー光を使って原子を極限まで冷やす「レーザー冷却」という技術があります。これを使うと、物質を絶対零度(マイナス273.15度)近くまで冷やすことができるんです。

※6:陽子(水素原子核)を光速近くまで加速して作られるビームで、がん治療に使用されます

レーザーとビームの基礎知識をマスターしよう!友達に教えたくなる豆知識

ここまで読んでくださった皆さんは、もうレーザーとビームの違いがバッチリ分かったのではないでしょうか。SF作品を見るときも、「あ、これはレーザーじゃなくてビームだな」とニヤリとできるはずです。

実は、このレーザーとビームの話は、科学技術の進歩を物語る象徴的な例でもあります。かつてはSFの世界の産物だったものが、今では私たちの暮らしに欠かせない技術として活躍しているんです。

最後に、レーザーを扱う際の注意点も覚えておきましょう。レーザーポインターなど、身近なレーザー製品であっても、決して人の目に向けてはいけません。出力の小さなものでも、網膜を痛める可能性があるからです。

技術の進歩は日々続いています。これからも新しいレーザーやビームの応用技術が開発され、私たちの生活をより豊かにしてくれることでしょう。友達との会話のネタに、このレーザーとビームの話を使ってみてはいかがでしょうか?きっと、「へぇ、そうなんだ!」と驚いてもらえるはずです。

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