寝言に返事をしてはいけないの?
「寝言に返事をしてはダメ」という話を聞いたことがある人は多いでしょう。その中には、「寝言に返事をしたら、それを見た家族から怒られた…」なんて経験がある人も。
生涯で寝言を経験したことがあるという人は約67%という数字もあり、寝ている間におしゃべりをすることは珍しいことではありません。相手は寝ているはずなのに会話が成立すると、ちょっと面白さも感じてしまうのに、なぜ返事をしてはいけないのでしょうか。
今回は、寝言に返事をしてはいけない理由について確かめてみましょう。
寝言に返事をしてはいけない理由
1.魂が連れ去られて戻ってこれなくなる?
昔からの言い伝えでは、人は寝ている間に身体から魂が抜け出ていると考えられていました。そのため、寝言に返事をするとその人の魂と会話をしていることになり、そのまま連れ去られて身体に戻ってこれなくなるという説が存在します。
また、場所を変えると、寝言に返事をしたらその人が夢遊病になる、意識が錯乱してしまう、寝ている人と会話をした時に言い負けて話を終わらせた方が死ぬなど、いろいろな都市伝説めいた噂があるようです。
このことから、寝言に返事をしてはいけないと強く信じている人もたくさんいます。しかし、実際のところこれらの言い伝えは「迷信」であるため、まったく気にする必要はありません。
2.睡眠の質が下がる
現代科学の観点では、寝言を言っている人の睡眠の質が低下するから返事をしない方がいいとされています。
元々、人は睡眠中に脳も身体もぐっすりと休んでいる「ノンレム睡眠(深い眠り)」と、脳は目覚めていて身体だけが休んでいる「レム睡眠(浅い眠り)」を交互に繰り返しています。
寝言はどちらの睡眠時にも現れますが、どちらかと言えば脳が活動している状態のレム睡眠の時に多く出ると言われており、寝言に返事を返すと脳がもっと刺激を受けて、睡眠の邪魔をしてしまうのです。
3.寝言を言っている人の寿命が縮む?
寝言に返事をすると、眠っている人の寿命が縮むという言い伝えもあります。これは、寝言に返事をすることで睡眠がうまくとれない状況が続き、相手の体調が崩れてしまうことを指しているのかもしれません。
寝言が増える背景には、見ている夢に反応しているからというのもありますが、普段目覚めている時のストレスや不安の増大、アルコールの摂取やうつ病が関わっていると言われています。
そんな人の睡眠を邪魔してしまうと、睡眠不足が加速して余計に体調が整えられなくなる可能性もあります。また、レム睡眠(浅い眠り)の時には、脳が記憶などの情報整理を行っている時間でもあるので、こういった働きも妨げない方が良いでしょう。
注意しておきたい危険な寝言
基本的に、周りにいる人が寝言を言っていてもよくあることなので、心配しなければいけないケースはまれです。
しかし、「大声や暴言がまじっている」「手足など身体の一部を大きく動かしている」「うなされている時間が長い」といった心配になるような寝言があれば、医療機関にかかることをおすすめします。
こういった時には、寝言のせいで睡眠時間が不足し、日中にぼーっとしてしまう、強い眠気に襲われることが多いなど、生活に悪影響が出ていることも少なくありません。
これは睡眠障害の1つと考えられているので、夜間の寝言をスマートフォンで録音したり、その様子を家族に録画してもらって、専門医に相談してみてください。
寝言に返事は「しない方がいい」が正解
寝言に返事をしてしまったからといって、すぐに慌てる必要はありません。基本的に、寝言に返事をするとその人が目覚めなくなるなどの噂に科学的根拠はないからです。
ただし、寝言に返事をすることで、眠っている人の睡眠を邪魔してしまう可能性は十分考えられます。相手が睡眠不足にならないように、寝言はそっと見守ってあげてくださいね。