鳥が電線にとまっていても感電しない理由
ふと空を見上げてみると、鳥が列になって電線にとまっている光景を目にしたことがある人は多いでしょう。しかし、「電線に触ると危険」だと言われているのに、鳥たちは感電することもなく平気な様子でとまっています。
どうして鳥は電線にとまっていても感電しないのでしょうか?
1.電線が絶縁体カバーで覆われているから
鳥がとまっている街中の電線は、電気を通さない素材でできたカバーで覆われているものが多くあります。電線が絶縁体で覆われていれば、鳥の体に電気は流れません。
しかし、この絶縁体カバーも万全ではなく、風雨にさらされることで劣化して、目に見えないほどの穴が開いていることもあります。
また、すべての電線がカバーで覆われているとは限らないので、これだけでは電線に止まっている鳥が絶対に安全とは言えないのです。
2.鳥が1本の電線にしか触れていないから
鳥が電線にとまっていても感電しない最も大きな要因は、1本の電線にしか触れていないことです。
電気が流れる回路は、電圧の高いところから低いところへ流れていく性質を利用して作られますが、1本の電線をつかむ鳥の右脚と左脚には電圧の差が生まれません。そのため、高いところから低いところへ流れるという電気の流れが発生しないのです。
また、これ以外にも、電気には抵抗の少ない先を優先して流れていく性質があります。しかし、電線にとまっている鳥は、電気の流れる先としては抵抗が大きい物体です。
そうなると、電気はわざわざ鳥の体を経由することなく、抵抗が小さな電線の中をそのまま通り過ぎてしまうので、鳥は感電することなく電線に平気でとまっていることができます。
電線にとまっている鳥が感電することはある?
ところが、このような条件がなくなれば、鳥も電線にとまった時に感電する危険は十分にあります。
例えば、大きな翼を持つ鳥が電線にとまった際、羽を広げて別の電線に触れることがあったとしましょう。すると、電圧の高いところと低いところが生まれて、電気が抵抗の少ない方へ流れようとする時に鳥の体をも通過し、感電してしまいます。
これは、右脚と左脚で違う2本の電線をつかんでとまった時にも起きる事態です。
電線を通じた鳥の感電事故は、鳥自身が死亡してしまうだけでなく、電線から火花を発生させることもあり、場所によっては山火事につながる危険性も指摘されています。
人間が電線に触ったらどうなる?
もしも人間が鳥と同じように、地面に一切足をつけずに電線にとまることができたり、手だけでぶら下がっている状態であれば、すぐに感電はしないでしょう。
しかし実際は、絶縁体カバーが目に見えない範囲で破損している可能性があるほか、人間が地面に接することなく電線の上でずっと過ごすことなど困難です。
もしも電線に触りながら地面に足をつけた場合、その瞬間に電線と地面の間に電圧の高低差が生まれ、抵抗の少ない地面へと電気が流れる回路が作られるので、人間は感電してしまいます。
人間が電線によって感電すると「痛い」と感じる程度では済まず、死んでしまう危険が高いため、垂れ下がっている電線を見つけたとしても絶対に触らないようにしましょう。
鳥は電線にとまっても感電しないワケに納得!
鳥が電線にとまっていてもなぜ感電しないのか、その理由は理科の基本知識で解き明かすことができます。
電気の性質上、鳥が1本の電線にだけとまっていて電圧の差が生まれない状況なのであれば、電気が流れて感電することはないというわけですね。
もしも電線にとまっている鳥たちを見かけたら、この電気にまつわる豆知識を思い出して見てください。