二枚目と三枚目だけじゃない!?歌舞伎が生んだ「○枚目」の秘密

雑学

歌舞伎の「○枚目」、その意味をご存じですか?

「二枚目俳優」「三枚目キャラ」など、私たちが日常的に使うこれらの言葉。実は、歌舞伎に由来していることをご存じでしょうか? しかも、「八枚目」まであるというのは、意外と知られていない事実です。

江戸時代、歌舞伎は庶民の大切な娯楽であり、劇場には役者たちの名前が並ぶ「八枚看板」が掲げられていました。この看板の並びによって、役者の役どころやステータスが決まり、それが「○枚目」という言葉のルーツになったのです。この記事では、各「○枚目」の役割やその背景を深掘りしていきます。

「二枚目」の本当の意味とは? 日常の中に溶け込んだ色男

「二枚目」と聞くと、真っ先に思い浮かぶのはやはり「ハンサムな男性」。ドラマや映画でも「二枚目俳優」として、クールで容姿端麗な男性がよく取り上げられます。

ある日、同僚との会話で「彼、まさに二枚目だよね!」というセリフが出て、周囲がすぐに同意していました。こういった何気ない会話の中に、歌舞伎の影響が隠れているなんて、普段は意識することも少ないですよね。しかし、「二枚目」はもともと歌舞伎で恋愛を担当する「色男」の役柄を意味していたのです。言葉の背景を知ることで、私たちの日常の言葉にも奥深さが感じられるかもしれません。

「三枚目」って何? お調子者の役割を現代に引き継ぐ存在

一方、「三枚目」はお調子者やコミカルなキャラクターに使われる言葉です。例えば、ドラマやバラエティ番組で、場を盛り上げるために登場するキャラクターを思い浮かべてください。その人が出てくるだけで、空気が和やかになったり、笑いを誘うことがありますよね。

私もある人気ドラマで、三枚目キャラクターが登場するたびに家族で大笑いしていたことがあります。彼の一挙一動が物語に彩りを加え、観ているだけで自然と笑顔になる。歌舞伎の「三枚目」も、まさにこうした道化役を担っていました。現代でも、その役割は変わらず、観客や視聴者に大きな影響を与え続けています。

一枚目から八枚目まで、それぞれに意味があった

では、二枚目や三枚目以外の「○枚目」にはどんな役割があったのでしょうか? 歌舞伎では一枚目から八枚目までの役割が決まっており、それぞれが舞台において重要な位置を占めていました。

  • 一枚目:主役。物語の中心となり、観客の視線を集める存在。
  • 二枚目:色男。恋愛を担当し、女性からの注目を浴びる役柄。
  • 三枚目:道化。物語を盛り上げるためのコミカルな役割。
  • 四枚目:中軸。物語の進行を支える中堅的存在。
  • 五枚目:敵役。主役に立ちはだかるライバル的存在。
  • 六枚目:実敵。悪役でありながら、どこか憎めないキャラクター。
  • 七枚目:実悪。物語の真の敵、いわゆる黒幕的存在。
  • 八枚目:座長。一座の全体を取り仕切るリーダー的な立場。

このように、各役にはそれぞれの役割があり、観客は看板を見るだけで、誰がどの役柄を演じるのかを一目で理解できました。現代では「二枚目」「三枚目」しか残っていないかもしれませんが、当時の舞台ではこの序列が物語の理解に重要な役割を果たしていたのです。

二枚目半って知っていますか? 二枚目と三枚目を行き来する存在

さらに面白いのは、「二枚目半」という言葉です。これは正式な歌舞伎用語ではありませんが、現代では「二枚目でありながら、三枚目の要素も兼ね備えた人物」を指す表現として使われています。例えば、映画やドラマで、クールで格好いいけれど、時々コミカルな一面を見せるキャラクター。日本の俳優で言えば堺雅人さん、海外ではジョニー・デップなどがこの「二枚目半」の代表格と言えるでしょう。

この言葉が生まれた背景には、現代のエンターテインメントが、役者に多様な魅力を求めていることが影響しているのかもしれません。二枚目でありながら、三枚目のような親しみやすさを持っている俳優が多くのファンを魅了するのは、納得のいくところです。

日常に溶け込んでいる歌舞伎由来の言葉たち

「二枚目」「三枚目」だけではなく、実は私たちが普段何気なく使っている言葉にも、歌舞伎由来のものがたくさんあります。例えば、「十八番(おはこ)」は得意技を指す言葉として使われますが、元々は歌舞伎役者が得意とする演目を意味していました。「正念場」「大詰め」といった言葉も、実は歌舞伎の舞台から生まれたものです。

こうしてみると、私たちが普段使っている言葉の中に、意外にも歌舞伎が息づいていることに気づかされます。歌舞伎を直接観たことがない人でも、その影響は身近なところに溶け込んでいるのです。

映画やドラマで「○枚目」を見つけてみませんか?

現代の映画やドラマを観るとき、ぜひ「二枚目」「三枚目」のキャラクターを意識してみてください。物語の中で、その役者がどんな役割を果たしているのか、改めて考えると、新たな発見があるかもしれません。恋愛担当の二枚目、コミカルで笑いを提供する三枚目。こうした役柄の背景を知っているだけで、作品がより面白く感じられるでしょう。

歌舞伎が生んだ「○枚目」の言葉は、今も私たちの生活の中に息づいています。それがどんな場面で使われているか、ぜひ次に観る作品で探してみてください。

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