「オランダ」の呼び方は日本だけ?歴史を知ると納得だった

雑学

「オランダ」の呼び方が日本だけだったという事実

海外旅行中、現地の人と話していて「オランダに行ったことがあります」と言ったら、「それ、どこ?」と不思議な顔をされたことがありますか?

実は、「オランダ」という呼び方は日本だけの特別なもの。海外ではまったく通じないことがあるんです。

私自身も海外で「オランダ」と言ったら、「Netherlands(ネザーランズ)のこと?」と訂正されて恥ずかしい思いをした経験があります。普段から使い慣れている名前が海外では通じないなんて、ちょっとびっくりですよね。

日本にいると当たり前に使っている「オランダ」という呼び方。なぜ世界で日本だけが違うのか、不思議に感じませんか?この謎を解くため、まずはその意外な理由から見ていきましょう。

日本だけが「オランダ」と呼ぶ意外な理由

日本だけが「オランダ」と呼ぶ理由を一言で説明すると、実は歴史的な理由にあります。

その歴史的な理由は大きく2つあります。ひとつは言葉のルーツ、もうひとつは江戸時代における日本とオランダの交流の深さに関係しています。

順番に詳しく見てみましょう。

ルーツはポルトガル語にあった

実は、「オランダ」という呼び方はポルトガル語の「Holanda(オランダ)」に由来しています。

日本に初めて西洋の国々が訪れた16世紀ごろ、日本はポルトガルと交流がありました。当時の日本人はポルトガル人の発音を耳で聞き、そのまま日本語に置き換えました。そのため、「Holanda」というポルトガル語が日本語の「オランダ」になったのです。

例えば「パン(pão)」や「カステラ(castela)」などもポルトガル語から来ている言葉ですよね。「オランダ」も同じようにポルトガル語が語源になっていると知ると、親しみが湧いてきませんか?

このように、言葉の由来を追っていくと、歴史がぐっと身近に感じられます。

鎖国時代の交流がポイントだった

もうひとつ、日本だけが「オランダ」と呼ぶ決定的な理由は江戸時代の鎖国政策です。

江戸幕府は17世紀から19世紀半ばまで、日本を外国との交流からほぼ完全に閉ざしました。そのなかで唯一、長崎の出島で貿易を許されていた西洋の国がオランダでした。

当時、日本にとっての西洋文化はほぼすべてオランダを通じて入ってきました。そのため、西洋=オランダというイメージが強く結びついたのです。

たとえるなら、「ティッシュペーパー」のことをすべて「クリネックス」と呼んでしまう感覚に似ていますよね。日本にとって、西洋諸国の代表がオランダだったからこそ、その名前が定着しました。

このように鎖国の時代背景を考えると、「オランダ」という呼び方が特別な意味を持つことが理解できるはずです。

オランダ政府が呼び方を変えさせない理由

最近、オランダ政府は世界中で国名を統一するために、「the Netherlands(ネザーランズ)」という呼び方を広めています。

なぜなら「Holland(ホーランド)」という呼び方は、実はオランダの中の限られた地域を指す名前だからです。そこでオランダ政府は、観光やイメージの統一を図るため、2020年から国際的に正式名称の「the Netherlands」に一本化することに決めました。

ところが、日本に対しては特に変更を求めていません。

その理由は、日本での「オランダ」という呼び方が歴史的に深く浸透していて、変える必要がないと考えているからです。江戸時代から数百年にわたり交流を続けてきた歴史があるため、呼び方の違いも尊重されているというわけです。

私たち日本人が「オランダ」と呼ぶのを特別に認めているなんて、ちょっと嬉しい気がしますよね。では、日本以外の国々ではオランダのことをどのように呼んでいるのでしょうか?

海外ではどのように呼ばれているか

日本では「オランダ」と呼んでいるこの国、実は世界ではまったく異なる名前が使われています。海外旅行や留学などで戸惑わないためにも、どんな呼び方が一般的なのかを、サクッと確認してみましょう。

世界の正式な呼び方は「the Netherlands」

オランダの正式な国名は「the Netherlands(ネザーランズ)」です。

この名前は英語で「低い土地」という意味。オランダは国土の多くが海面より低く、堤防や風車で水をコントロールして生活してきた国です。そのため、「低地」という特徴をそのまま国名にしているのです。

ちなみにオランダ語でも、「Nederland(ネーデルラント)」と呼ばれていて、やはり「低い土地」という意味なんですよ。この国の名前には、実は地理的な特徴がそのまま反映されているんですね。

「Holland」は国名ではなく地域名

海外では「Holland(ホーランド)」という呼び方もよく耳にしますが、実はこれは国全体の名前ではありません。

正確には、オランダ国内の北ホラント州(North Holland)と南ホラント州(South Holland)という、経済や政治の中心となる特定の地域の名前です。

たとえば日本でいえば、「関東」や「関西」という地域名が、海外で日本そのものを指す言葉として使われてしまっているような感覚ですね。実際、オランダの人も時々「Holland」と言いますが、公式にはあくまで「the Netherlands」が正しい呼び方です。

この呼び方の違いを知っておけば、海外の人との会話でもスマートに対応できそうですよね。

身近にある「オランダ」の影響

ここまで、「オランダ」の呼び方が日本だけ違う理由や世界での呼び方を見てきました。ところで、私たちの日常にも「オランダ」が密かに浸透していることを知っていますか?

実は日本には、名前や言葉の中に「オランダ」が入ったものがいくつもあります。代表的なものを、少しだけ紹介しましょう。

金魚の名前になぜ「オランダ」?

金魚の品種に「オランダ獅子頭(オランダシシガシラ)」という種類があるのを知っていますか?

頭が丸く盛り上がり、ふっくらとした体型が特徴の、人気のある金魚の一種です。この金魚、実はオランダからやって来たわけではありません。では、なぜ「オランダ」という名前がついたのでしょう?

その理由は、江戸時代にあります。当時、「新しくて珍しいもの」を「オランダ渡り」と呼ぶ習慣がありました。西洋から来た珍しいものを、すべてオランダ経由だと思い込んでいたのです。

ちょうど今でいうと、海外製のおしゃれな雑貨を見るとつい「北欧っぽい」と表現してしまうような感覚ですね。こうして新しく珍しい金魚にも、「オランダ」の名が付けられ、定着していったのです。

ランドセルは実はオランダ語だった

日本の小学生におなじみのランドセル。実はこれ、オランダ語から来た言葉なんです。

ランドセルはオランダ語の「ransel(ランセル)」が由来。この言葉はもともと兵士が使う背負いかばんを指していました。明治時代、日本が西洋の軍隊制度を取り入れたときに、この「ランセル」が「ランドセル」として伝わったのです。

それが時代を経て、小学生の通学用バッグとして広まったというわけですね。何気なく使っていた言葉がオランダ語だったなんて、ちょっと面白いですよね。

明日誰かに話したくなる雑学

ここまで読んで謎が解けましたね。日本が「オランダ」と呼ぶのは、歴史的な経緯や文化的な背景があるからでした。そして世界では「the Netherlands」という正式名称があることや、「Holland」が実は地域名だということもわかりました。

日常生活でも、「オランダ獅子頭」や「ランドセル」といった意外なところに「オランダ」の影響が隠れていることにも気づけました。

次に家族や友人と話をするときには、ぜひこの記事の雑学をちょっとした話題にしてみてください。きっと、みんなも「へえ、そうだったんだ!」と楽しんでくれるはずですよ。

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