実はサイコロは『5』が出やすかった…驚きの真実
「サイコロの目は均等に出る」
数学の確率の問題でお馴染みのこのフレーズ、実は正しくありません。市販のサイコロには、わずかながら「出やすい目」と「出にくい目」が存在するのです。
そして、最も出やすい目が「5」だということをご存知でしょうか?
これは決して都市伝説ではありません。日本の精密機器メーカーが実際に8ミリ四方のサイコロで検証したところ、「5」の目は約16.72%の確率で出現することが判明しました。完全な立方体であれば、どの目も16.67%(6分の1)の確率で出るはずです。その差はわずか0.05%。一見するとごくわずかな違いに思えますが、この差は科学的な理由に裏付けられた、紛れもない事実なのです。
サイコロの目が均等じゃない理由
では、なぜ「5」の目が最も出やすいのでしょうか?
その秘密は、実はサイコロの目を刻む「くぼみ」にあります。市販のサイコロは、まず立方体を作り、その後で各面に目となる点(ピップス)を彫り込んで作られます。このくぼみの数によって、各面の重さが微妙に変わってくるのです。
ある精密機器メーカーが行った興味深い実験があります。8ミリ四方のサイコロで、各面のくぼみ部分の重さを計測したのです。その結果をご覧ください。
- 1の面:8.9mg(赤い点は大きく深いため、最も軽い)
- 2の面:2.1mg(くぼみが少なく、最も重い)
- 3の面:3.5mg
- 4の面:3.8mg
- 5の面:8.4mg(1の面に次いで軽い)
- 6の面:7.9mg
注目すべきは、「5」の面と、その裏側にある「2」の面の重さの差です。その差は実に6.3mg。これは他の組み合わせ(1と6、3と4)と比べても、圧倒的に大きな差なのです。
「でも、それがどうして5が出やすいことに繋がるの?」
そう思われた方も多いはず。実は物理の法則が関係しています。重いものは下に沈みやすく、軽いものは上に来やすい性質があります。サイコロを転がすと、最終的に「重い面が下、軽い面が上」という状態で止まりやすくなるのです。
これは、水に浮かべた氷を想像するとわかりやすいかもしれません。氷は必ず軽い部分を上にして浮かびます。サイコロも同じ原理で、軽い「5」の面が上を向きやすく、重い「2」の面が下を向きやすい傾向があるのです。
噂の真相を確かめる!サイコロ振りの実験結果
先ほどご紹介した精密機器メーカーの理論的な検証では、「5」の目が約16.72%の確率で出現するという結果でした。しかし、実際のサイコロ振りではどうなのでしょうか?
その疑問に答えるため、別の研究者が面白い実験を行いました。なんと1万個のサイコロを同時に転がし、それぞれの目の出現回数を記録したのです。理論値を実践で検証するための壮大な実験でした。10時間以上かけて行われたこの大規模な実験の結果は、以下の通りでした。
- 5の目:1,698回
- 1の目:1,783回
- 4の目:1,677回
- 3の目:1,633回
- 6の目:1,617回
- 2の目:1,592回
理論的な検証では「5」が最も出やすいはずでしたが、実験では意外にも「1」の目が最多という結果に。とはいえ、「2」が最も少なかったことは理論と一致していました。
これは、サイコロを振る時の様々な要因(床の材質、振り方、落下の角度など)が影響を与えたためと考えられています。そう、サイコロの「クセ」は、使用環境によっても変化するのです。
理論と実践で多少の違いは出ましたが、いずれの結果でも一つの事実が明らかになりました。それは、市販のサイコロでは各目の出現確率に偏りがあるという点です。完璧な6分の1ずつにはならないのです。
プロはとっくに知っていた?カジノの裏側
実は、この「サイコロの歪み」については、ラスベガスなどの本格的なカジノではとうの昔から知られていました。
カジノで使用されるサイコロは、一般的な市販品とは全く異なります。くぼみに特殊な樹脂を埋め込み、各面の重さを完璧に均一化。さらに、エッジ(角)の角度も、マイクロメートル単位で調整されているのです。
そんな精密なサイコロの価格は、なんと1個5万円以上!一般的な100円ショップのサイコロとは、まさに桁違いの品質なのです。
「なぜそこまでするの?」と思われるかもしれません。しかし、カジノでは大金が賭けられる以上、どんなわずかな偏りも許されないのです。
サイコロの不思議を知って楽しもう
「サイコロの目は5が出やすい」
この知識を得た今、普段何気なく使っているサイコロが、少し違って見えてきませんか?
次にボードゲームで遊ぶとき、友達に「実はサイコロって、5が出やすいんだよ」と話してみるのも面白いかもしれません。きっと「えっ、本当に?」という反応が返ってくるはず。
そして、その理由が「くぼみの重さの差」にあること、カジノでは5万円もするサイコロを使っていることなど、今回ご紹介した話を共有してみてください。
日常的に使うサイコロにも、実は知られざる物理法則が隠れていた…。こんな身近な発見が、科学への興味のきっかけになるかもしれませんね。
ところで、この記事を読んだ方の中には「じゃあ、5を選べば有利になるの?」と考えた方もいるかもしれません。でも、その差はほんのわずか。1万回振って数十回の差程度です。サイコロの面白さは、この程よい「いい加減さ」にもあるのかもしれません。完全な偶然ではないけれど、かと言って意図的に操作もできない。そんなサイコロの不完全さを知った上で、遊びを楽しんでみるのはいかがでしょうか。
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