酔っ払いたちが考えた「最初はグー」が全国に広まるまで
「そういえば昔からこの掛け声を使っていたけど、誰が考えたんだろう?」―そんな素朴な疑問を持ったことはありませんか?
実は「最初はグー」という掛け声、1969年から1985年まで放送されたTBSの人気番組「8時だョ!全員集合」で、志村けんさんと仲本工事さんが使い始めたことがきっかけで全国に広まったのです。
当時の完全なフレーズは「最初はグー、またまたグー、いかりや長介頭はパー、正義は勝つ、ジャンケンポン」。番組内の「ジャンケン決闘」というコーナーで使われ、子どもたちの間で大人気となりました。
では、なぜ志村けんさんはこの掛け声を思いついたのでしょうか?
実は、番組収録後の飲み会がきっかけだったんです。お酒を飲んだ後の会計を誰が払うか決めるとき、みんな酔っぱらっているせいでじゃんけんのタイミングがなかなか合わない…。そこで志村けんさんが「じゃあみんな、最初はグーで合わせようよ!」と提案したところ、うまくいったそうです。
この掛け声は東京・神楽坂の芸者さんたちがお座敷遊びで使っていた言葉だったそうですが、志村けんさんがテレビで使ったことで、子どもたちの間で爆発的に広がりました。当時の「8時だョ!全員集合」の平均視聴率は47.6%。実に日本人の2人に1人が見ていた計算になります。そりゃあ、広がらないはずがありませんよね。
調子が合わない相手とじゃんけんするときは「最初はグー」が便利
実は「最初はグー」には、とても実用的な利点があるんです。
たとえば、小さな子どもとじゃんけんをするとき。「じゃんけんぽん!」だけだと、タイミングが合わなくて何度もやり直しになった経験はありませんか?「最初はグー」があれば、お互いグーから始めることで自然とリズムが生まれ、スムーズにじゃんけんができるんです。
お酒の席でもそう。人数が多くなればなるほど、全員のタイミングを合わせるのは難しくなります。でも「最初はグー」があれば、酔っぱらっていても比較的スムーズに勝負を始められます。
こんな実用的な知恵が、今では日本中で当たり前のように使われているというのも面白いですよね。
「じゃんけん」って実は中国からやってきた?知られざるルーツ
「最初はグー」の話をしていたら、「そもそもじゃんけん自体はいつから始まったの?」という声が聞こえてきそうですね。
実は、私たちがよく知っている「グー・チョキ・パー」のじゃんけんは、中国の「虫拳(むしけん)」という遊びがルーツなんです。ただし、最初から今のような形だったわけではありません。
「虫拳」で使われていたのは「ヘビ・カエル・ナメクジ」という3つの形。ヘビはカエルを飲み込み、カエルはナメクジを食べ、ナメクジはヘビに取り付いて倒す…という、今でいう「三すくみ」の関係だったんです。
これが江戸時代に日本に伝わり、子どもたちの遊びとして「石拳(じゃくけん)」という形に進化します。「石」は「グー」、「はさみ」は「チョキ」、「紙」は「パー」というように、より分かりやすい形に変わっていったんですね。
「じゃくけん」が「じゃんけん」になったという説や、両手を使うことから「両拳(りょうけん)」が訛ったという説など、諸説ありますが、いずれにしても江戸の子どもたちの知恵が今に続いているわけです。
驚きの方言パワー!全国各地で違うじゃんけんの掛け声
さて、「最初はグー」が全国に広まる前から、各地域には独自のじゃんけん掛け声が存在していました。これがまた、とても面白いんです。
例えば、北海道の一部では「おいやっぺ えーっぺ」、秋田県では「しゅっしゅっぺ! しゅーっぺ! ぺ!ぺ!」という掛け声が使われていました。
特に興味深いのは、新潟県の「チェーロー、チェーロー、チェーローエス!エス!エス!」や、福井県の「ぐっちっぱ~のお~じゃ~ま!お~じゃ~ま!お~じゃ~ま!まっ!まっ!」など、独特のリズム感を持つ掛け声です。
中には徳島県のように、なんと79種類もの掛け声バリエーションを持つ地域もあるんです。これには徳島大学の名誉教授も驚いたそうですよ。
じゃんけんは日本から世界へ!広がる遊びの輪
日本で進化を遂げたじゃんけんは、今や世界中で親しまれています。英語では「Rock, Paper, Scissors(ロック、ペーパー、シザーズ)」と呼ばれ、この呼び方自体が日本発祥であることを証明しているんです。
面白いのは、国によって独自のアレンジが加えられていること。例えば、インドネシアでは「ゾウ・人・アリ」、ミャンマーでは「トラ・上官・鉄砲」という形で遊ばれているんです。
そして今では、カナダに本部を置く「世界じゃんけん協会」が世界大会を開催するまでになっています。中国から日本に渡り、独自の進化を遂げて世界に広がったじゃんけん。その長い歴史の中で生まれた「最初はグー」は、実は新参者だったんですね。
あなたの周りにも伝えたい!じゃんけんの素敵な物語
「最初はグー」から始まり、じゃんけんの奥深い世界をご紹介してきました。次に誰かとじゃんけんをするとき、「実はこの掛け声って志村けんさんが考えたんだよ」「うちの地域では昔、こんな掛け声を使ってたんだって」なんて話してみるのはいかがでしょうか?
きっと、相手も「へぇ~!」と目を輝かせるはず。そして、そんな会話から新しい話題が広がっていくかもしれません。じゃんけんには、人と人をつなぐ不思議な力が備わっているのかもしれませんね。
こんな記事も読まれています
『明石焼き』と『たこ焼き』は何が違う?知られざるルーツと驚きの雑学を解説!
『助けてください』親切なおじさんの似顔絵を描いた結果…まさかの事態に爆笑の声続出「深刻なのに笑った」と2492万表示を記録