自分にそっくりな人間は存在する
「世界には自分とそっくりな人間が3人いる」という説は、昔からまことしやかにささやかれてきました。実際に自分で見たという人もいれば、誰かが見かけたという場合もあるなど、状況はさまざまなようです。
そして、この説を科学的に検証したのは、スペインの「ホセ・カレーラス白血病研究所」に所属するマネル・エステラー氏です。
エステラー氏は、とある写真家が長年撮り続けていたという「他人の空似」シリーズに登場する人たちの中から、特にそっくりなペアを顔認識アルゴリズムを通じて特定し、遺伝子情報を調べました。
すると、各ペアには血縁関係がなかったにも関わらず、見た目に影響を与える要素となる顔の骨格や肌の色、水分保持といった点において、DNAの配列に共通点があったという結果が示されたのです。
もしかしたらそっくりさんは3人以上いるかも?
この調査結果を見る限り、顔のつくりに関わるDNAの配列さえ共通していれば、血縁関係にある家族ではなくても自分にそっくりな人物はこの世にたくさん存在するのかもしれません。もしそうであれば、そっくりさんの存在は3人どころでは済まない可能性も!
自分と似ている人を家族以外から探したければ、対象となるのはやはり同じ民族の人です。
一般的に、アジア人が欧米人の中から自分と同じような外見の人を見つけようとしても、近い祖先を持つ可能性はかなり低く、顔のつくりをそっくりにするDNAの配列にも共通点が現れにくくなります。
しかし、今や世界の人口は80億人を突破しました。人間の複雑で多様な遺伝子の組み合わせは、全然関係のない民族同士でもそっくりさんを生み出す可能性をいつのまにか高めている可能性もあります。
ドッペルゲンガーとそっくりさんは別物
時に、こういったそっくりさんの存在は、「ドッペルゲンガー現象」とも呼ばれます。
ドッペルゲンガーとはドイツ語で「二重の歩く者」を意味し、自分とは見分けがつかないほどの分身が同時に別の場所に現れるため、超常現象の1つとしても扱われてきました。
ところが、ドッペルゲンガーは「自己像幻視」という幻覚であったり、声をかけられても一切会話をせず、人格や意図を持つものではないことから、科学的に検証されたそっくりさんとは別物だという見方がされています。
実際に、そっくりさんはあくまでそっくりさんであり、その人自身が意思を持って誰かと交流をする上に、幻覚のようにたちどろこに消えてなくなるものでもありません。
ドッペルゲンガーに会うと死ぬの?
それでは、もしも出会ったのが世界に3人はいるというそっくりさんではなく、ドッペルゲンガーだったらどうなるのでしょうか。一説には、ドッペルゲンガーと出会うことは死の予兆だと言われており、昔から神話や言い伝えの中でもたくさん語られてきました。
例えば、有名な文豪である芥川龍之介や、ロシアの女帝だったエカテリーナ2世もドッペルゲンガーを見たとされる人物で、目撃後まもなく死亡したという都市伝説もあります。
けれども、ドッペルゲンガーを見たら本当に死ぬのかどうかや、亡くなった人たちが死の直前に見たという自分にそっくりな人が幻覚ではなかったのかどうかは、簡単に証明できるものではありません。
結局のところ、ドッペルゲンガーに会ったらどうなるのかは、誰にもわからないのです。
自分にそっくりな人を探してみると楽しいかも!
ドッペルゲンガーとはちょっと違う自分にそっくりな人たちは、世界を探してみると意外と存在するのかもしれません。最近では、AIを駆使してそっくりさんを探すことができるツールなども登場しているようです。
自分と見た目が似ている人に出会ったとしても、それはけっしてドッペルゲンガーではないので死ぬ心配はなし!ちょっとした楽しい遊びだと思って、そっくりさんを見つけてみるのも良いですね。