機内食がまずいのはなぜ?理由はちゃんとある!
飛行機の旅で密かな楽しみになるのが機内食ですよね。でも実際に機内食を口にしてみると、「なんだか味が薄い」「パサパサしてる…」とがっかりした経験をした人は多いのではないでしょうか。
楽しみにしていた食事なのに、一口食べて残念な気分になった経験は誰にでもあります。しかも、周りを見てもあまり美味しそうに食べている人はいなくて、「もしかして、自分だけじゃない?」と思ったこともあるでしょう。
実は、機内食が美味しくないのには、はっきりとした科学的な理由があります。地上とはまったく違う飛行機の環境が、あなたの味覚を狂わせてしまっているのです。
ここからは、その「機内食がまずい本当の理由」をわかりやすく紐解いていきます。きっと、次に飛行機に乗ったときには「なるほど、これのことか!」と納得できるはずですよ。
機内食がまずい3つの原因
機内食が美味しくない理由には、主に3つの要素があります。ここでは、科学的な根拠をもとに、「なぜ機内では食べ物が美味しく感じられないのか」を具体的に解説していきます。
機内の気圧が味覚を鈍らせる
機内食がまずい一つ目の理由は、「飛行機内の気圧と湿度」にあります。
実は、飛行機の機内は地上よりも気圧が低く、湿度は非常に低い状態に保たれています。専門家の研究によると、このような低気圧・低湿度の環境下では、私たちの味覚は地上と比べて約30%も鈍くなってしまうのです。
これはちょうど、風邪を引いて鼻が詰まった時に料理の味が薄く感じる感覚に似ています。空気が乾燥すると鼻や口の中が乾いてしまい、味を感じる細胞の働きが低下します。その結果、地上では美味しく感じるはずの食べ物が、機内ではどうしても味気なく感じてしまうのです。
エンジン音が味覚に与える影響
機内食が美味しく感じられない二つ目の理由は、「機内の騒音」です。
飛行機に乗ると、ずっと「ゴーッ」というエンジン音が聞こえていますよね。実はこの騒音が、味覚に直接影響を与えてしまっているのです。
ある実験では、飛行機のエンジン音のような低くて一定の騒音がある環境では、特に甘味や塩味を感じる能力が弱くなることが分かっています。例えば、普段はちょうどいい塩加減だと感じる料理でも、飛行機の騒音の中で食べると「薄味」だと感じてしまうのです。
イメージしてみてください。騒がしい居酒屋で料理を食べているとき、いつもより味がぼんやりしていると感じたことはありませんか?機内の騒音もこれと同じ原理で、食べ物の味を薄く感じさせてしまいます。
機内食の調理法にも原因あり
最後に、機内食が美味しくない理由として挙げられるのは、その調理方法の特殊さです。
実は機内食は、飛行機内で作られているわけではありません。地上で調理された後、冷凍され、フライト中に機内で再加熱され提供される仕組みになっています。
料理は、一度冷凍されるとどうしても風味が落ちます。特にパスタや肉料理などは、解凍して再加熱すると水分が飛びやすくなり、パサついてしまいます。また、野菜も再加熱されることでシャキシャキ感を失い、全体的に食感が悪くなってしまいます。
つまり、どんなに良い食材を使っていても、この調理工程自体が機内食を美味しくないと感じる原因のひとつになっているわけです。
機内食の美味しさを追求する航空会社の工夫
これまで、「機内食がまずい理由」を見てきましたが、決して航空会社も手をこまねいているわけではありません。実は、多くの航空会社が「どうすれば機内食をもっと美味しく提供できるか?」という課題に真剣に取り組んでいます。
味覚を狂わせる機内環境という厳しい条件のなかで、各社はさまざまな工夫やアイデアを凝らしているのです。ここでは、その中でも特に面白い取り組みを紹介します。
ANAが取り組む『ザ・コノシュアーズ』
ANA(全日本空輸)では、『ザ・コノシュアーズ』という企画を展開しています。
これは有名なシェフやソムリエ、食文化の専門家たちと協力して、機内食をレベルアップするというプロジェクトです。国内外の一流シェフが機内食専用メニューを監修し、機内の気圧や湿度を考えた料理を提供しています。
例えば、フレンチや和食の一流店の料理長が、あえて地上より味を濃くしたソースや、機内での再加熱に耐えるように工夫した調理方法を考案しています。これにより、機内でもしっかりと美味しさを感じられるような工夫がされているのです。
また、ソムリエが厳選したワインは、騒音の影響で感じにくくなる香りや味わいを考慮して選ばれており、機内食との相性が抜群です。こうした取り組みによって、ANAの機内食は以前より格段に美味しくなったと評判を集めています。
JALが提供する本格的な機内食『BEDD』
一方でJAL(日本航空)は、『BEDD(ベッド)』という機内食プロジェクトを進めています。
こちらもANAに負けず劣らず、高級レストランのようなメニューを機内食として提供することを目指した取り組みです。有名フレンチや和食のレストランと連携し、一流シェフ監修の料理を機内で楽しむことができます。
JALの『BEDD』の特長は、特に和食の完成度が高いことです。本格的な日本料理の技術を活かして、例えば牛肉の旨味を引き出した特製の和風ステーキ丼や、季節の旬な食材を使用した鮮やかな懐石弁当などが提供されています。
これらの料理は、再加熱時に風味が損なわれないように、地上の調理段階から緻密な計算をして仕上げられています。
味覚が鈍くなる機内だからこそ、旨味やコクを最大限に引き出す工夫が凝らされているのです。ANAとJAL、この航空会社が行う努力を知ると、次回のフライトの機内食が楽しみになるかもしれませんね。
うま味が機内食を救うカギになる
航空会社が機内食を美味しくしようと様々な努力を重ねていることが分かりましたが、その中でも特に注目されているキーワードが「うま味」です。実は、このうま味が機内食の問題を解決する重要なポイントになっています。
ここでは、「なぜ機内でうま味が効果的なのか」、そして「どうして和食が機内食として人気を集めるのか」について見ていきます。
うま味が機内で有効な理由
そもそも「うま味」とは、簡単に言うと「料理をおいしく感じさせる第5の味」のこと。甘味、酸味、塩味、苦味に次ぐ基本的な味覚で、特に和食に多く含まれる味です。
うま味は、カツオ節や昆布、しいたけなどに豊富に含まれ、料理全体の味を引き立てる効果があります。このうま味が機内環境で特に効果を発揮する理由は、「気圧が低くても味を感じやすい」という特性があるためです。
甘味や塩味は、低気圧や騒音の影響で感じにくくなりますが、うま味は他の味覚よりも環境の影響を受けにくいことが研究で分かっています。例えば、濃い味付けの洋食が機内では薄味に感じられる一方、昆布だしやカツオだしを使った和食は、機内でもはっきりとした美味しさが保たれるのです。
航空会社が機内食に和食を取り入れる理由も、まさにこの「うま味の強さ」にあると言えます。
和食が機内食で人気な理由
先ほども少し触れましたが、機内食に和食が多く取り入れられるのは、味覚が鈍る機内環境でも美味しさを保てるからです。
特に「だし」を効かせた和食は、機内でも味のメリハリが感じやすく、食事の満足感が高くなります。例えば、鶏肉や野菜の煮物などは、再加熱をしても旨味が失われにくく、味の変化も少ないため機内食として適しています。
また、鮭の西京焼きのような、味噌や醤油ベースの料理も、機内環境で味の劣化が少ないと言われています。実際、海外の航空会社も日本路線で和食メニューを積極的に取り入れているほど、その有効性は認められているのです。
和食は、機内食の悩みを解決するために生まれた料理ではありませんが、その特徴が偶然にも機内環境にマッチしているという、興味深い事実があります。
次のフライトが少し楽しみになる話
ここまで読んでいただき、機内食が美味しくないのには科学的な理由があり、さらに航空会社がその解決策として様々な工夫をしていることがお分かりいただけたと思います。
これまでは、ただ「美味しくない」と感じていただけの機内食も、実は背景にこんなに深い事情があったと知ることで、次の旅行や出張が少し楽しみになったかもしれません。
「あの航空会社の和食は評判らしいよ」「機内のうま味の話って知ってる?」など、この記事で知ったことを誰かに話したくなったのではないでしょうか。
ちょっとした知識があれば、旅行の楽しみ方も一つ増えますよね。機内食を前にしたとき、ふとこの記事を思い出して、ぜひ周囲の人との話題にもしてみてください。