スーパーなどで見かける本みりんやみりん風調味料
和食に欠かせない調味料といえば「みりん」。ですが、スーパーの棚をよく見ると「本みりん」と「みりん風調味料」が並んでいて、どちらを選べばいいのか迷ったことはありませんか?実はこの2つ、見た目と名称は似ていても中身や使い方には大きな違いがあります。選び方を間違えると、味付けや仕上がりに影響してしまうことも…。
今回は、「本みりん」と「みりん風調味料」の違いをわかりやすく解説。料理で失敗しないためのポイントをお伝えします!
そもそも「みりん」とは
みりんはもともと、甘い風味が特徴の飲用酒として親しまれていた調味料。その起源については諸説あり、中国より伝来した「蜜淋(ミイリン)」というお酒が転じたという説や、日本国内で保存性を高めるために焼酎を加えたことで誕生したという説などがあります。甘みが強いため、かつてはお酒が苦手な人や女性の間でもよく飲まれていました。
やがて江戸時代に入ると、みりんは料理用の調味料としての役割を担うように。鰻の蒲焼きや蕎麦つゆといった庶民料理の味付けに使われることが増え、食文化に欠かせない存在となっていきました。
明治から戦前にかけては、みりんは高価な品として扱われ、主に料亭や日本料理店などの専門店で使われることが多く、家庭の台所にはあまり浸透していませんでした。転機が訪れたのは昭和時代。昭和30年代の酒税法改正によって本みりんにかかる税金が軽減されたことをきっかけに、一般家庭にも広まりはじめます。
さらに平成8年には販売規制が緩和され、酒屋以外のスーパーや食料品店でも購入できるようになったことで、日常的に使いやすい調味料として、現在のように広く普及していったのです。
本みりんとは
本みりんは、米や米こうじに焼酎または醸造アルコールを加えて、じっくり糖化・熟成させて作られる調味料です。時間をかけて発酵・熟成させることで、料理に深みを与える上品な甘さと、豊かな香りが生まれます。
本みりんにはアルコール分(約14%)が含まれているため、酒税がかかり、価格はやや高め。アルコールが気になる場合は、しっかり加熱して飛ばしてから使うと安心です。
ちなみに、同じ「本みりん」でもメーカーや製法などによって味に違いが出ることがあります。添加物の有無や使用するアルコールの種類、熟成の長さなどが風味に影響するため、いくつか試してみて、自分好みの一本を見つけるのもおすすめです。
みりん風調味料とは
みりん風調味料は、本みりんに似た風味を再現するために作られた、ブレンドタイプの調味料です。主に水あめなどの糖類や、米・米こうじを使った発酵調味料、酸味料などを組み合わせて作られています。
本みりんと同様に照りやツヤを出したり、料理に甘みを加えたりといった効果が期待できますが、アルコールはほとんど含まれておらず(1%未満)、加熱しなくてもそのまま使えるのが特徴です。酒税がかからないため、価格も手頃で、気軽に使いやすいのもメリットでしょう。
また、みりん風調味料は糖類が多く含まれている分、甘さがしっかり感じられます。本みりんよりエキス分が高いため、調味料としての濃厚さもありますが、風味の奥行きや香りはやや控えめです。
『本みりん』と『みりん風調味料』の違い
「本みりん」と「みりん風調味料」は名前こそ似ていますが、その中身はまったくの別物です。
本みりんは、もち米・米こうじ・焼酎または醸造アルコールを原料に、発酵・熟成させて作られる本格的な調味料。豊かな甘みと深いコク、ふんわりとした香りが特徴で、料理にまろやかさや旨みを与えるだけでなく、煮物などで食材に味をしっかり染み込ませたり、魚や肉の臭みを和らげたりと、様々な効果があります。本格的な和食の風味を求めるプロの料理人の多くが選ぶのも、こちらの本みりんです。
一方で、みりん風調味料は、あくまで“みりんっぽい味”を目指して作られた調味料。水あめや発酵調味料、酸味料などをブレンドしたものです。アルコール分はほとんど含まれておらず(1%未満)、甘みを加える役割に特化しているため、どちらかといえば砂糖の代用品と考えるとわかりやすいでしょう。
これだけ違うなら料理の仕上がりに差が出るのは当然のこと。用途や風味の好みに合わせて、どちらを使うか選ぶのが料理を美味しく仕上げるポイントです。
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