4月8日が「忠犬ハチ公の日」になった理由
毎年4月8日は「忠犬ハチ公の日」として知られています。でも、なぜこの日が記念日になったのかご存知でしょうか?
実はこの日は、東京・渋谷駅前にハチ公の銅像が初めて建てられた日なんです。銅像が建てられたのは1934年(昭和9年)4月8日のことでした。
「忠犬ハチ公の日」として正式に記念日になったのは、それからずっと後の1987年(昭和62年)のこと。東京都渋谷区と秋田犬群像維持会が協力して定めました。
この記念日の目的はシンプルで、ハチ公の忠誠心と飼い主への深い愛情を伝え、慰霊することです。
ハチ公は生涯にわたって飼い主を想い続け、その誠実な姿が人々の心を掴みました。そうしたハチ公の想いを、後世までしっかり伝えるために、この記念日は誕生したのです。
忠犬ハチ公ってどんな犬?
忠犬ハチ公の名前を知っている人は多くても、その詳しいエピソードまでは知らない人も多いかもしれません。ハチ公は、秋田犬という日本固有の犬種で、渋谷で飼い主の帰りを待ち続けた犬として有名です。
ハチ公の飼い主は、東京大学の教授だった上野英三郎博士でした。博士は毎朝、自宅から渋谷駅まで通勤していました。ハチ公はいつも博士と一緒に駅まで歩き、仕事から戻る時間になると再び駅に行き、博士を迎えていました。
ところが、ある日突然、博士は大学で亡くなってしまったのです。その後もハチ公は博士が帰ってくることを信じて、毎日駅で待ち続けました。来る日も来る日も、同じ時間、同じ場所で待ち続ける姿に、人々は深く感動しました。
「飼い主をずっと待ち続ける犬」の話が広まり、やがてその姿が銅像として渋谷駅前に建てられることになりました。現在、渋谷のシンボルとして多くの人に親しまれているハチ公像は、このような切ない物語から誕生したものなのです。
忠犬ハチ公にまつわる3つの豆知識
忠犬ハチ公といえば「渋谷駅前の銅像」を思い浮かべる人も多いと思いますが、実はそれだけではありません。他にも、意外と知られていない豆知識があります。ここでは、誰かに話したくなるような面白い雑学を3つ、ご紹介します。
渋谷だけじゃないハチ公像
渋谷駅前にあるハチ公像が有名ですが、実はもう一つ、秋田県の大館市にもハチ公の銅像があるのです。
この二つの銅像、よく見ると姿勢が微妙に違います。渋谷駅のハチ公は、飼い主を待つように座っている姿勢。一方、大館市の像は立ち上がった姿で、元気に歩き出しそうな表情をしています。
大館市はハチ公の生まれ故郷であるため、若く元気な姿をイメージして作られました。同じ犬でも場所によって表情が違うというのは面白いですよね。
意外な本名は「ハチ号」
ハチ公という名前は有名ですが、実は正式な名前は「ハチ号」だったことを知っていますか?
「号」というのは、血統書付きの犬などによく使われる表現です。「ハチ号」と呼ばれていたのが、やがて親しみを込めて「ハチ公」となり、そのまま定着しました。
「公」という文字がつくと、なんとなく敬意や親しみを感じますよね。「ハチ号」と呼ぶより、「ハチ公」と呼ぶほうが親しみやすく、より多くの人に愛される名前になったのかもしれません。
海外でも知られる忠犬の物語
日本では誰もが知るハチ公の話ですが、実は海外でもよく知られています。
2009年にはアメリカで映画化され、世界中の人々に感動を与えました。映画では、舞台を現代のアメリカに移して、ハチ公と飼い主の物語が描かれています。
日本の小さな駅の出来事が海を越え、世界中の人々に感動を届けたのです。人と動物の絆は国境を超えて共感を呼ぶ、そんなことを教えてくれるエピソードですね。
いまのハチ公像は二代目?銅像の意外な歴史
渋谷駅前に建つハチ公像は実は「二代目」だということをご存知でしょうか?現在見られる像は、1948年(昭和23年)に建てられたものです。
最初の銅像は1934年(昭和9年)に完成しましたが、その後の戦争による金属不足で撤去されてしまったのです。
戦争が終わり、平和が戻ったあとに人々はもう一度ハチ公像を建て直しました。こうして二代目の銅像が誕生したのです。二代目のハチ公像には、人々の平和への願いや再生への希望も込められているのかもしれません。
渋谷駅のシンボルとして親しまれるハチ公像ですが、こうした歴史を知ると、いつもの銅像が少し違って見えてきますよね。
長く愛される忠犬ハチ公の魅力とは
ハチ公が亡くなってからすでに長い年月が経っていますが、今なお多くの人々に愛され続けています。なぜハチ公は人々の心を強く惹きつけるのでしょうか。
ハチ公の魅力というと、真っ先に「忠誠心」を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、本当にそれだけでしょうか。
ハチ公がこれほど愛される理由の一つには、「いつまでも変わらない姿」があります。飼い主をただひたすら待ち続けるという一途な姿勢は、多くの人にとって理想的であり、憧れでもあるのです。
もう一つ、忘れてはならないのが「親しみやすさ」です。ハチ公は特別な犬ではありません。秋田犬という、日本人が昔から親しんできた身近な犬種です。ハチ公の話がこれほど心に響くのは、どこにでもいそうな普通の犬が、普通ではないほど深い愛情を示したことにあるのです。
ハチ公の物語は、実は犬だけの話ではなく、人間の心を映す鏡のような存在でもあります。人は誰でも誰かに待たれ、信じてもらいたいと願っています。ハチ公はその気持ちを忠実に体現し、多くの人が自分自身を投影できる存在だったのです。
誰かに話したくなるハチ公のちょっといい話
忠犬ハチ公が人々の心に残したのは、感動だけではありません。ちょっとほっこりするような心温まる話もあります。
ハチ公が毎日駅で待っていると、当時の駅員や駅前のお店の人たちは自然とハチ公を見守るようになりました。駅員たちはハチ公が雨に濡れないよう、ちょっとした屋根の下へ誘導したり、お店の人たちはこっそり餌や水を差し出したりしたのです。
誰に頼まれたわけでもなく、自然とハチ公のために小さな優しさを分け合っていたのです。ハチ公はただ飼い主を待っていただけですが、その健気な姿が周りの人々を優しい気持ちにさせていました。
また、ハチ公がいたことで渋谷駅の景色も変わりました。かつては何もなかった駅前が、ハチ公の銅像を中心に多くの人が待ち合わせをする場所になりました。ハチ公像の周りには今日も、多くの人が笑顔で集まります。
ハチ公の存在はただ悲しいだけの物語ではなく、人と人が繋がるきっかけを与えてくれたのです。
ぜひこの記事で知ったことを家族や友人に話してみてください。あなたの言葉で語るハチ公のエピソードが、誰かとの素敵な繋がりを生むかもしれませんよ。