パスポートの色が違うと何が変わる?そこに国の価値観が表れていた

雑学

パスポートの色の違いには意味がある

テレビやネットなどで、さまざまな色のパスポートを目にしたことがある人もいるかもしれません。でも、なぜパスポートの色は国によって違うのか、ご存じでしょうか?実は、色の違いにはちゃんとした理由があるのです。

例えば、日本の赤や紺色のパスポートにも明確な意味があります。これまで特に意識したことがなかった方も、この記事を読むと、パスポートの色を見る目がきっと変わるはずです。

日本のパスポートの色の違いとその意味

日本のパスポートの色は主に赤と紺色の2種類が使われています。この2つの色は、単に見た目が違うだけではありません。年齢や有効期限など、きちんとした基準で色分けされています。

赤色は10年使える大人向けパスポート

赤色のパスポートは、18歳以上の大人を対象にしています。有効期限が10年と長めに設定されているのが特徴です。頻繁に海外を訪れる機会が多い成人に適しています。

紺色は5年用で未成年も使えるパスポート

紺色のパスポートは、未成年が使用するものとして知られています。ただし、実は成人であっても希望すれば紺色(5年用)を選ぶことが可能です。あまり海外に行く機会が多くない成人や、有効期間が短いほうが都合の良い人に適したパスポートです。

緑や黒のパスポートを見たことはある?

赤や紺のパスポートを持っている日本人にとって、緑色や黒色のパスポートはあまり馴染みがありません。空港や海外ドラマなどでちらっと目にする機会はあるかもしれませんが、それが一体どんな意味を持つのか、意識したことがない人がほとんどでしょう。

しかし、これらの珍しい色のパスポートには意外な用途があり、限られた特定の人だけが持つことが許されるものです。

緑色は公務員専用のパスポート

緑色のパスポート(公用旅券)は、一般の人が持つことはありません。国家公務員や地方公務員が、公務で海外に出張する場合にのみ発給されます。例えば海外での公式行事や政府間協議など、公的な仕事をするために特別に用意されたパスポートなのです。

外交官だけが持てる黒色パスポート

黒色のパスポート(外交旅券)は、さらに限られた人が持っています。外交官やその家族、皇族や政府高官など、外交特権を持つ一部の人にだけ発給される特別なパスポートです。

外交上の権利が認められているため、空港の専用レーンを使用できたり、一般の旅行者とは違う特別な待遇を受けられる場合もあります。まさに特別な身分の象徴と言えるでしょう。

世界のパスポートの色は4種類に分けられる

パスポートの色は国ごとに自由に決められるように思えますが、実際には多くの国が赤、青、緑、黒の4種類の色を採用しています。それぞれの色は偶然選ばれたわけではなく、国や地域の歴史的背景、政治的思想や宗教的理由と深く結びついています。

赤色が多いヨーロッパや中国

ヨーロッパ諸国の多くは赤色(バーガンディ)を採用しています。これはEU加盟国が統一感を持たせるために選んだ色とされ、統一ヨーロッパのシンボルでもあります。

また、中国やロシアなど旧共産圏の国々でも赤色が多く使われています。赤色は伝統的に革命や共産主義の象徴として知られ、現在でもその歴史的背景が色の選択に影響しています。

青色を使うアメリカや南米諸国

アメリカ、カナダ、ブラジル、アルゼンチンなどの国々では、青色のパスポートが広く使われています。この色はしばしば「自由」や「独立」を表す色として捉えられ、新世界(アメリカ大陸)の国々が採用している理由とされています。

青色は冷静さや安定感を与える色としても好まれ、国際的に好印象を与えることも理由の一つです。

緑色はイスラム諸国に多い

緑色のパスポートを採用する国々は、サウジアラビアやパキスタンなどイスラム教徒が多数を占める国が中心です。

緑色はイスラム教の中で特別な意味を持つ色であり、「天国の色」とも呼ばれています。そのため、宗教的背景を反映させたシンボルとしてパスポートの色にも選ばれているのです。

また、緑色は自然や平和を象徴する色でもあり、こうした国々が自国のイメージを世界に示すために選ばれていると考えることもできます。

珍しい黒色を採用したニュージーランドなどの国々

世界的に見ると黒色のパスポートはとても珍しく、ニュージーランドが代表的な例として知られています。ニュージーランドは、ラグビー代表チームのオールブラックスでも有名なように、「黒」を国のイメージカラーとして広く使っています。

黒色には落ち着きや格式といったイメージがあり、国家の威厳や信頼性を強調する狙いもあります。また、汚れが目立ちにくい実用的な面もあるため、こうした理由も黒色が選ばれた背景として挙げられます。

パスポートの色が違うと、行ける国の数も違うって本当?

パスポートの色で行ける国が決まると思っている人もいるかもしれませんが、これは誤解です。色の違いは、あくまで国ごとに決められたデザインや用途を区別するためのものです。

行ける国の数や、海外での行動の自由度を決めるのは、実際にはその国の国籍と外交的な信用です。例えば日本のパスポートは「最強」と呼ばれ、世界中で信頼されています。その理由は、経済力や治安の良さ、日本人が海外で問題を起こすリスクが低いといった、日本そのものへの信頼にあります。

つまりパスポートの色ではなく、その国が持つ信用度が重要なのです。色の違いと信用力はまったくの別物なのですね。

パスポートの色を知ると旅行が楽しくなる

赤、青、緑、黒――パスポートの色には国や地域の背景や文化、さらには政治や宗教までが色濃く反映されています。ただ海外旅行に行くだけでなく、こうした背景を知っていると、空港や旅先で他の旅行者が持つパスポートを見る目が変わります。

ふと隣にいる人が緑色のパスポートを持っていたら、イスラム圏の国から来ているのかな?と想像できますし、黒色のパスポートを見かけたらニュージーランドや外交官かも、と思い巡らせることもできます。

この記事で知ったパスポートの色の雑学は、旅先の会話のきっかけや日常のちょっとした話題としてぜひ活用してみてください。

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