『台風』と『ハリケーン』と『サイクロン』
ニュースや天気予報で耳にする「台風」。そして海外で起こる「ハリケーン」と「サイクロン」。どれも強い風と雨を伴う自然災害ですが、実はそれぞれに明確な違いがあります。
今回は、それぞれの違いをわかりやすく解説。最後までお読みいただくと、天気予報士に一歩近づけるかもしれませんよ。
台風とは
「台風」は、日本独自の名称で、北西太平洋や南シナ海で発生する熱帯低気圧を指します。海面水温の高い熱帯地域で上昇気流が発生し、積乱雲が渦を作ることで誕生します。中心付近には水蒸気を多く含む暖かい空気が存在し、最大風速が秒速17.2メートルを超えると台風と認定されます。
ハリケーンとサイクロンとは
「ハリケーン」と「サイクロン」は、台風同様、どちらも熱帯性低気圧。ただし、発生する地域によって名称が異なります。
北大西洋や北東太平洋で発生したものは「ハリケーン」、インド洋や南西太平洋で発生したものは「サイクロン」と呼ばれます。いずれも国際基準で最大風速が秒速32.7メートル以上に達したものを指し、日本の「台風」と比べて基準となる風速が高いため、大規模な被害をもたらすことが多いです。ハリケーン・サイクロンは、海水温が十分に高い地域で発生・発達するため、その他の海域ではほとんど見られません。
日本のニュースでは台風が頻繁に取り上げられる一方で、ハリケーンやサイクロンの報道が少なく感じられるのは、これらの基準の違いによるためです。
「タイフーン」というものもある
台風・ハリケーン・サイクロン以外にも「タイフーン」と呼ばれる熱帯性低気圧があります。「台風」と「タイフーン」は発音が似ていますが、その由来にはいくつかの説があります。かつて中国や台湾では暴風を「大風(たいふう)」と呼んでおり、この言葉がヨーロッパを経由して日本に伝わり、「台風」という表記になったと考えられています。
日本では明治時代中頃に、当時の中央気象台長が「颱風(たいふう)」と名付け、1946年の当用漢字制定後に「台風」という表記に統一されました。一方、「タイフーン(Typhoon)」は国際的な基準に基づく呼び名で、最大風速が秒速32.7メートル以上に達し、北西太平洋で発生した熱帯性低気圧を指します。
台風とハリケーン、サイクロンの違いは発生地点と風速
今回の雑学を振り返ってみましょう。
台風は、日本独自の名称で、北西太平洋や南シナ海で発生する熱帯低気圧のうち、最大風速が秒速17.2メートルを超えるものを指します。一方、ハリケーン(北大西洋・北東太平洋)とサイクロン(インド洋・南西太平洋)は、国際基準で最大風速が秒速32.7メートル以上の熱帯性低気圧です。台風より基準が厳しく、被害も大きくなりがちです。
今回の雑学、天気予報などを見たときにでも思い出してみてください。周りの人にも教えてあげると話が盛り上がるかもしれませんよ。