なぜ畳のへりは踏んではいけないのか?
みなさんは、小さいころ畳のへり(縁・ふち)を踏んではいけない、と教わりはしませんでしたか?しかし、なぜ踏んではいけないのかその理由までは知らない人がほとんどでしょう。
実は畳のへりを踏むのがNGな理由は思ったよりたくさんあるのです。今回は畳のへりを踏むのがダメな理由について紹介していきます。
畳を傷めないようにするため
畳のへりを踏んではダメな理由として、まず挙げられるのが「畳を傷めない」ようにするため。
昔の畳は植物染めという手法で作られており、傷みやすく色が落ちやすかったといわれています。そのため、比較的、強度が高い中央を踏むことで、畳を長持ちさせていました。昔の畳は現在よりデリケートだったのです。
現代の畳は昔に比べ頑丈になっていますが、こうした過去の慣習の影響があり今でも畳のへりは踏まないようにしているのです。
家紋を踏むことに繋がるから
次に挙げられるのが、家紋を踏むわけにはいかなかったから、という理由です。江戸時代の武家(武士の家筋)では、「紋縁(もんべり)」と呼ばれる家紋入りの畳が使われていました。紋縁畳のへりには、武家の家紋が刻まれていたといわれています。
武士にとって家紋は家の権威や格式を象徴する大切なもの。それを踏む行為は家への侮辱と受け取られました。そのため、畳のへりを踏むことはマナー違反とされていたのです。
見えない敵の攻撃から身を守るため
畳のへりを踏まない理由のひとつに「見えない敵の攻撃から身を守る」という目的があったとも言われています。
戦いが当たり前だった時代において、畳の隙間から槍や刃物が差し込まれる危険があったそうです。不用意に畳のへりを踏むと、床上の光の加減が変化。結果的に床下に潜む敵に自らの位置を知らせる恐れがありました。つまり、畳のへりを踏まないことは命を守ることにも繋がっているのです。昔の人は普段から命がけだったのですね。
転倒防止のため
当たり前といえば当たり前ですが、転倒防止も畳のへりを踏まない理由のひとつです。畳のへりは表面よりも少し厚め。子どもや高齢者がつまずいて転ぶ原因になることもあります。
また、畳のへりは畳同士が接する部分なので、使用しているうちに接合部分が盛り上がったり、飛び出すこともあります。こうした危険を避けるため、畳のへりを踏まない習慣が根付いたと考えられています。
畳の雑学を広めてみよう!
今回は畳のへりに関する雑学をお届けしましたが、へりを踏んではいけない理由が意外と多くて驚いたのではないでしょうか。今回の雑学をきっかけに、畳のへりを踏むのは避けるようにしましょう。また、ぜひ今回の雑学をまわりの人にも教えてあげてみてください。