街中でたまに見る『霊柩車』は貨物扱いになる!?運転手になるための条件はあるの?

雑学

霊柩車での搬送は「貨物運送」

亡くなった人のご遺体を自宅から火葬場へと運ぶ霊柩車の運行は、「運送事業」にあたります。しかし、何かを乗せて街中を走るという点は同じでも、トラックなどとは運ぶものや運転手の役割に大きな違いがあります。

人を運ぶ霊柩車は、果たして旅客運送となるのか、それとも貨物運送となるのか、法律上はいったいどんな扱いとなっているのでしょうか?

亡くなった時点でご遺体は貨物扱いになる

結論から言えば、霊柩車はトラックと同じ「貨物自動車運送事業」の仲間として扱われています。

運ぶのは確かに「人」であり、遺族にとっても、霊柩車を運転するスタッフにとっても、心情的には品物ではないのですが、人は亡くなった段階で法律上は「物」となるのです。

霊柩車は運送業の中でも特殊な役割を担う

ところが、貨物扱いであるとは言っても、ご遺体をトラックに乗せて運ぶことはありません。

最近は数が減ってきていますが、霊柩車と聞けば装飾が施された昔ながらの「宮型車」をイメージする人が多いように、故人をお見送りするためにきちんと整えられた車両が用意されます。

今では、高級リムジンをベースにした「洋型車」や、国産メーカーのミニバン車などの内部を改装し、棺を乗せやすくしているタイプが多いでしょう。場合によっては、火葬場まで故人の親族も一緒に運べるバス型車も運用されています。

霊柩車を運行するためにはライセンスが必要

誰かのニーズに応じて霊柩車を運行する際には、国への許可申請を行い、緑ナンバーを取得することが必要です。ご遺体の搬送を白ナンバーの自家用車や介護タクシーなどで行うことは、無償でも有償でも法律違反となります。

許可申請は、所有する霊柩車が1台からでも可能ですが、

  • 営業所と休憩所の設置
  • 車庫の用意
  • 運行管理者や整備管理者の確保(霊柩車が5台以上の場合)
  • 車両の台数分の運転手の確保
  • 資金計画の作成と事業資金の用意
  • 法令試験に合格

といった細かい要件も関わってくるため、このような点に詳しい専門家に相談すると良いでしょう。

また、霊柩車の運賃や料金は、各自で自由に決められるわけではありません。これも、各社で国土交通省に届け出をし、適正範囲であるときちんと認められたものだけが適用されています。

霊柩車の運転手になるための条件

自動車運転免許を取得していること

もしも霊柩車を運転するのであれば、「普通自動車第一種運転免許」が必須です。ただし、タクシーなどのように運賃をもらってお客さんを運ぶ旅客事業ではないため、二種免許は必要ありません。

霊柩車の運転手は、ご遺体やご遺族を乗せて車を走らせることになるため、安全運転を徹底するのはもちろん、棺のスムーズな積み下ろしや、車両の点検などもしっかりと行うことが重要です。

ご遺族に対する気配りができること

大事な人を亡くしたご遺族と接する職種のため、霊柩車の運転手は基本的な礼儀やマナーを身につけ、心配りができる人が求められます。

特別な資格や免許があるわけではありませんが、作業を慎重かつ丁寧に行ったり、悲しみに暮れる相手を傷つけない言動をする必要があります。また、宗教の違いによってタブーとなる作法がないか、事前に各宗派の葬儀に関する知識を身につけておくと安心です。

自分自身の心のケアを忘れないこと

ご遺族の悲しみや嘆きに日々触れていると、いつのまにか自分自身の精神面に影響が及んでしまうことがあります。死と向き合う職業であることは理解しつつ、ストレスに対処するセルフケアの方法を見つけておきましょう。

霊柩車は普通の自動車とは違う

今回は、霊柩車が法律上どのように扱われているのかをご紹介しました。ご遺体を乗せているとは言え、運送事業として見れば、霊柩車は荷物を運ぶトラックと似た扱いとなります。

しかし、霊柩車の運転手にはご遺体やご遺族への慎重な姿勢や心遣いが求められるなど、一般的なトラックドライバーとは違う点も少なくありません。

もしも霊柩車の運転手になろうと思っている人は、自分に向いている仕事かどうかをぜひ事前に確かめてみてくださいね。

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