普通では考えられない面白すぎる裁判例
個人間では解決できない争いごとや、犯罪を犯した人への処罰を決めるのに欠かせないのが裁判です。しかし、世の中には度肝を抜くような面白い裁判が行われたことがあるのをご存じでしょうか?
中には、人間ではない生き物を相手取って行われた裁判まで!今回は、あ然としてしまうような不思議な裁判の事例をご紹介します。
実際に行われた不思議な裁判5選
ブドウ栽培を邪魔した毛虫を破門
中世ヨーロッパなどを中心に行われた「動物裁判」では、人間に危害を与えた生き物たちが裁かれることがありました。1120年のフランスで訴えられたのは、栽培されているブドウの木を荒らした毛虫。
農家にとっては収入に響く大打撃のため、弁護士はきちんと被害状況と訴えようとしている毛虫について調査し、請願書を裁判所に提出したのです。判事は毛虫に対して出頭を命じましたが、もちろん毛虫は来ることなく欠席裁判に。
毛虫側の弁護士は「出頭しても自分の弁を述べることができないからだ」と弁護しましたが認められることもなく、当時は死刑にも等しい破門判決が毛虫に下りました。
畑を荒らしたモグラに安全通行権を授与
イタリアとスイスの国境沿いにあるステルヴィオでも、穴を掘って再起不能になるまで畑を荒らしたモグラが1510年に訴えられています。
しかし、弁護士がモグラは害虫を食べる有益獣であることや、代わりに適当な代替地を与える必要があることを主張した結果、モグラには安全通行権を保障する判決が出て、人間側の敗訴となっています。
トマトは野菜か果物か論争
トマトは「野菜」なのか「果物」なのかを真剣に最高裁まで争った裁判例もあります。実はこれは、「課税される品物かどうか」を判断するためのものでした。
19世紀末のアメリカの法律では、野菜には関税がかけられていたものの、果物は関税なしで輸入できたのだそう。そのため、トマトは野菜だとして税金の支払いを求める役人と、果物だと主張する輸入業者と植物学者の間で、大きな争いとなったのです。
最終的な判決は、「トマトは野菜」。その理由は、「野菜畑で育てられ、食事としては出るがデザートにはならないから」でした。
熱すぎるコーヒーで火傷したので賠償金を要求
驚くような裁判が多いアメリカでとても有名なのは、「マクドナルド・コーヒー事件」です。1992年にステラ・リーベックさんがマクドナルドでホットコーヒーをテイクアウトし、車の中で飲もうとしたところ、カップがうっかり傾いてしまいました。
その結果、コーヒーはステラさんの膝にこぼれ、重い火傷を負う事態に。ステラさんは、火傷の一因はコーヒーが熱すぎたからだとして、マクドナルド側に提供温度の是正と治療費の一部を要求したのです。
下った判決では、マクドナルド側に当初、数百万ドル(当時の日本円で数億円規模)の賠償金を支払うよう命じられましたが、その後減額され、最終的には和解が成立。メディアなどにも取り上げられて大騒ぎとなりました。
翼が生えないエナジードリンクに集団訴訟
「翼を授ける」というキャッチコピーのエナジードリンクで有名なレッドブル社も、「飲んでも翼が生えないじゃないか」というまさかの理由で訴えられています。
2016年のカナダで起きた虚偽広告に対する集団訴訟でしたが、「翼が生えると広告できるほどの効能はない」として後に和解し、1人あたり10ドルの補償金を支払うことで合意しました。
実は、これよりも前にアメリカで同様の訴訟が起きており、アメリカ人ではなかったために補償金を受け取れなかったカナダ人男性が改めてカナダで起こした裁判だったそうです。
本当にあった不思議な裁判に思わず笑っちゃう!
今回は実際に行われた不思議な裁判例を5つご紹介しました。外野からすれば思わず笑ってしまうようなものもありますが、裁判自体は大真面目!
日本ではなかなか行われなさそうな裁判も、国が違えば訴訟につながっているケースもあるので、興味がある人はぜひ調べてみてくださいね。