『お好み焼き』と『広島焼き』の違いは何?知るともっと美味しくなる秘話

雑学

『お好み焼き』って種類があったの?驚きの違いとルーツ

「お好み焼きは大阪の名物でしょ?」
「いやいや、広島焼きこそ本場だよ」

なんて会話、聞いたことありませんか?実は、このどちらも正解なんです。

お好み焼きには大きく分けて「関西風」と「広島風」の2種類があります。一見似ているようで、作り方も味も全く異なるんです。関西風は材料を全部混ぜて焼く「混ぜ焼き」。一方の広島風は、薄い生地の上に具材を重ねていく「重ね焼き(※1)」が特徴です。

まるでクレープのような薄い生地に、山盛りのキャベツ、プリプリの麺…。広島風お好み焼きを初めて見た人は、「えっ、これもお好み焼き?」と驚くかもしれません。でも、どちらも立派な「お好み焼き」なんです。

※1 重ね焼き:生地を薄く焼き、その上にキャベツやその他の具材を順番に重ねて調理する方法。

比較項目 関西風お好み焼き 広島風お好み焼き
基本の作り方 材料を全て混ぜ合わせて焼く 生地の上に具材を重ねて焼く
生地の特徴 ドロッとした固め生地 クレープのような薄い生地
キャベツの量 生地と同量程度 生地の3〜4倍
麺の有無 基本的になし 必ず入る

関西風と広島風、お好み焼きが2つに分かれた歴史

お好み焼きの始まりは、実は江戸時代にまで遡ります。千利休が茶会で出した「麩の焼き」がルーツと言われていますが、現在のような姿になったのは明治時代以降。当時、屋台で売られていた「どんどん焼き」や「一銭洋食(※2)」から進化していったんです。

戦後の食糧難の時代、各地で庶民の胃袋を満たす「粉もの料理」として愛されました。特に関西と広島では、それぞれの土地柄や食材事情に合わせて独自の進化を遂げていきました。

関西では、少ない材料でもボリュームを出せる「混ぜ焼き」が定着。一方の広島では、戦後の復興期に鉄板の上で手軽に作れる「重ね焼き」スタイルが生まれ、やがて具材をたっぷり使う今のスタイルへと発展していったんです。

※2 一銭洋食:明治時代に1銭で売られていた庶民の軽食。水で溶いた小麦粉を薄く焼き、具材を載せて調味料をかけて食べる料理。

『お好み焼き』とは別物?『広島焼き』を巡る面白い話

広島の人にとって、地元のお好み焼きは単に「お好み焼き」。「広島風」や「広島焼き」という呼び方は好まれません。逆に関西のものを「関西風お好み焼き」と区別して呼ぶことが多いんです。

まるで「うちのが本物で、関西は”風”なんだよ」と言っているみたいですよね。でも、これは悪気があるわけではありません。それだけ地元の味として愛されているということなんです。

関西風vs広島風!お好み焼きにかける地元の情熱

広島市内には、なんとコンビニよりもお好み焼き店の数の方が多いという話も。市内を歩けば、5分圏内に10軒はあるとも言われています。一方の関西でも、お好み焼きは欠かせない存在。家庭の味として、また居酒屋の定番メニューとして深く根付いています。

そして両者に共通しているのが、ソースへのこだわり。広島ではオタフクソース、関西では各地の「地ソース(※3)」が主流です。同じお好み焼きでも、使うソースが違えば全く異なる味わいに。そのため、地元の人は「うちのソースが一番!」と熱く語るんです。

※3 地ソース:各地域で作られる独自のソース。関西では各地に昔からある老舗ソースメーカーが、その土地ならではの味を守り続けています。

材料も作り方も違う!関西風と広島風の決定的な違いとは

「混ぜ込む」VS「重ねる」。これが両者の最も大きな違いですが、実はそれだけではありません。生地の作り方からソースの味まで、実に様々な違いがあるんです。

まず生地から見ていきましょう。関西風は生地そのものを楽しむスタイル。そのため、生地はドロッとして固め。中には生地をふんわりさせるために、すりおろした山芋を加える人も。一方の広島風は、薄くてクレープのような生地。これは具材を包み込むための「器」としての役割が強いんです。

キャベツの切り方にも特徴が。関西風は3cm幅程度の大きめカット。生地と混ぜ合わせるため、ある程度の大きさが必要なんです。対して広島風は細切り。山盛りに見えても、火が通ると見た目の3分の1くらいにシュッと縮むんですよ。

麺は入れる?入れない?地域で異なる”お好み”の形

広島風といえば、中華麺は外せない具材。でも、実は昔からそうだったわけではありません。戦後の食糧難で、「とにかくお腹いっぱいになりたい!」という願いから、麺を入れるようになったんです。

面白いのは、うどんを選ぶ人も少なくないこと。広島の最新調査によると、約8割が中華麺派、2割がうどん派だそう。「うどん派?そば(中華麺)派?」という議論は、広島では割と真面目な話題なんです。

一方、関西風は基本的に麺なし。ただし、麺を入れたくなったら「モダン焼き(※4)」という選択肢も。これは関西風お好み焼きの上に焼きそばを載せ、卵で包み込んだもの。見た目は広島風に似ていますが、作り方は全く異なります。

※4 モダン焼き:1950年に神戸市の店で考案されたという説が有力。「もりだくさん焼き」が略されて「もだん焼き」になり、後から「モダン(近代的)」という意味が付いたという説も。

ソースひとつで味が変わる!それぞれの味わいの秘密

広島風お好み焼きといえば、甘めのソースが特徴。特にオタフクソースは、戦後の広島で生まれ、お好み焼きとともに進化してきました。最初は「こんなドロッとしたソース、気持ち悪い」と不評だったそうですが、今では広島の味として欠かせない存在に。

実はこのソース、開発当初は「爆弾ソース」なんて呼ばれていたんです。なぜって?殺菌技術が今ほど発達していなかった時代、ビンの中で発酵が進んでガスが充満し、破裂することがあったから。今となっては笑い話ですが、当時の店主さんたちは大変だったようです。

個性的すぎ!それぞれの地域で進化したご当地お好み焼き

関西風と広島風、大きく2つに分かれるお好み焼きですが、実は各地域でさらに独自の進化を遂げています。

例えば広島県内だけでも、府中市では挽肉を使う「府中焼き」、三原市では鶏モツを入れる「三原焼き」、竹原市では日本酒と酒粕を生地に練り込む「竹原焼き」など、実に個性的な派生型が存在します。

特に府中市のお好み焼き店の数は、人口比で見ると広島県内でもダントツ。「自分が挽肉だとしたら、ハンバーグになるより府中焼きの中に入る方が幸せ」なんて冗談が飛び出すほど、地元民に愛されているんです。

関西圏でも負けてはいません。神戸には牛スジとこんにゃくを煮込んだ「ぼっかけ」入りが、京都では白菜を使う店も。大阪発祥の「ねぎ焼き」に至っては、もはやお好み焼きの親戚のような独自の存在に。

地域 名称 特徴
府中市 府中焼き 豚バラの代わりに挽肉を使用
三原市 三原焼き 鶏モツ入りが特徴
竹原市 竹原焼き 生地に日本酒と酒粕を練り込む
神戸市 ぼっかけ入り 牛スジとこんにゃくの煮込みをトッピング
庄原市 庄原焼き 麺の代わりに米を使用

関西風vs広島風!マヨネーズ論争の深層

お好み焼きを巡る”論争”は味だけではありません。実は食べ方でも、面白い地域差があるんです。

例えば、マヨネーズ。関西では当たり前のように使われますが、広島では昔は「邪道」とされていました。ある有名ミュージシャンは、テレビの生放送で「広島のお好み焼きにマヨネーズをかけたらダメ」と熱弁をふるったことも。

最近では若い世代を中心に、広島でもマヨネーズを受け入れる店が増えてきました。ただし、「ソースの味を邪魔しない程度に」という暗黙のルールは今でも健在です。

「広島焼き」って言っちゃダメ?知っておきたいマナー話

最後に、ちょっと気になる話題を。広島のお好み焼き店には「MCにおける注意事項」として「『広島焼き』と呼ぶことは絶対におやめください」という注意書きがあることも。地元の人にとっては、それだけ大切な”ソウルフード”なんです。

でも不思議なことに、この「広島焼き」という呼び方、実は広島県人自身が県外に広めた説も。全国的に有名になってから「そんな呼び方はない!」と言い出したという声もあり、これまたお好み焼きならではの面白いエピソードですね。

さて、ここまで関西風と広島風の違いを見てきましたが、どちらが美味しいかなんて、もちろん決められません。それぞれの魅力、個性があるからこそ、両方とも日本の食文化として大切に育まれてきたんです。

友達と「お好み焼き談義」で盛り上がってみませんか?きっと「へぇ、そうだったんだ!」という発見があるはずです。

比較ポイント 関西風お好み焼き 広島風お好み焼き
調理方法 具材を全て混ぜて焼く 層状に重ねて焼く
生地の特徴 ドロッとした固め生地 クレープ状の薄い生地
キャベツの切り方 3cm幅の大きめカット 細切り
麺の使用 基本なし(モダン焼きは例外) 中華麺orうどんが必須
ソースの特徴 辛口が多い 甘めが主流
マヨネーズ 一般的 最近は受け入れる店も増加
主な食べ方 おかずとして それ自体で一品として

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