新聞に4コマ漫画が載っている理由はなぜ?100年続くワケを解説

雑学

新聞に4コマ漫画が載り続ける理由

新聞を広げた時、無意識に4コマ漫画を目で追ってしまった経験はありませんか?

朝の忙しいひと時、あるいはお昼の短い休憩時間。堅苦しいニュースを読み続けると、文字ばかりで目も心も疲れてしまいますよね。

そんなとき、ちょっと気分を変えたくて目に留まるのが4コマ漫画です。数秒で読み終えられる手軽さと、難しい記事の合間に気持ちをリセットできる軽やかさがあります。

新聞に4コマ漫画が載り続けているのは、私たちが無意識のうちに「小さな息抜き」を求めているからなのです。

新聞に漫画が必要だった背景

新聞に漫画が登場したのは、「誰でも楽しめる記事が必要だった」からです。

新聞の主な役割は社会や政治、経済の情報を伝えることです。しかし、そればかり続くと、読者は次第に疲れてしまいます。

たとえば、政治や経済の記事が並ぶ堅い紙面の片隅に、ふっと漫画が現れると、それだけで緊張感がほぐれます。まるで難しい授業の後にちょっとした雑談を挟む先生のように、読者が自然にリラックスできる工夫だったのです。

また、新聞は家庭内で幅広い年齢層が手にします。漫画なら子どもからお年寄りまで、誰でも楽しめる共通の話題になります。

新聞に漫画があるのは、読者みんなが無理なく楽しめるように考えられた仕組みなのです。

漫画が4コマ形式である理由

では、なぜ漫画は「4コマ」という形式が定着したのでしょうか。

実は海外では、3コマ漫画が一般的でした。ところが、日本では4コマ漫画が広がりました。その理由は「起承転結」にあります。

4コマという形式は、ストーリーが自然にまとまります。最初のコマで話題を提示し、次で展開、3つ目で意外なひねりを加えて、最後にオチをつける。こうすることで、短くてもきちんとした物語が完成します。

また、新聞の限られた紙面スペースにも4コマがちょうど良いサイズでした。短い時間でさっと読み終えることができ、しかも内容をすぐ理解できるという点が、日本の読者の生活リズムにも合ったのです。

こうして、「4コマ」という漫画形式は日本の新聞に定着しました。

新聞の4コマ漫画が誕生するまで

新聞に載っている4コマ漫画には、意外にも100年近い歴史があります。

その始まりは、大正時代の関東大震災直後に遡ります。震災が人々の日常を大きく変えてしまった1923年10月20日、東京朝日新聞に初めて4コマ漫画『正チャンの冒険』が掲載されました。

この漫画が登場した背景には、大震災後の重苦しい社会の雰囲気がありました。多くの人が不安を抱え、新聞を手に取っても悲惨なニュースばかりが目に入り、気持ちは沈む一方でした。

そこで新聞社は、読者が少しでも明るい気分になれるよう、気軽に読める漫画を紙面に載せたのです。

当時はまだ娯楽が少なく、短くて親しみやすい『正チャンの冒険』は人々に瞬く間に受け入れられました。こうして、日本の新聞に4コマ漫画が根付いていったのです。

初めて4コマ漫画が掲載された日

1923年10月20日、東京朝日新聞を手にした人々は、紙面の一角に初めて見る4コマ漫画を見つけました。それが、『正チャンの冒険』です。

関東大震災が起きてから約1か月半。当時の東京はまだ復興の途中で、多くの人々は未来への不安を抱えていました。

そんな暗く重たい日々のなかで登場したこの漫画は、新聞の中でまるで小さな灯りのような存在でした。難しい言葉や複雑な話ではなく、誰もがすぐに理解できる優しいストーリーです。

震災後の人々にとって、この小さな漫画は特別な意味を持ちました。新聞のページに広がる不安なニュースを読む人たちに、一瞬の安らぎと微笑みを届けたのです。

『正チャンの冒険』が登場したこの日は、単に4コマ漫画の始まりというだけでなく、新聞が読者に「心の余裕」を提供し始めた記念すべき日でした。

4コマ漫画が家庭に根付くまで

戦後、日本の新聞に掲載される4コマ漫画は、次第に家庭の日常を描くようになりました。

代表的な作品には『サザエさん』や『コボちゃん』があります。特に『サザエさん』は、どこにでもあるような家族の日常を描いたことで、多くの読者の共感を呼びました。

例えば、夕飯の準備で忙しい母親、仕事から疲れて帰る父親、遊び回る子どもたち。どれも特別なことではありませんが、だからこそ人々は自分たちの姿をそこに見出しました。

戦後の混乱期を過ぎ、社会が安定してくると、人々は身近な「平穏な日常」に安心を求めるようになります。4コマ漫画は、新聞という公共の場に家庭の風景を映し出すことで、人々の暮らしに自然に溶け込んでいったのです。

こうして家庭的な4コマ漫画は、新聞の中で欠かせない存在となりました。

まとめ

新聞に4コマ漫画が載り続ける理由は、難しいニュースで疲れた読者の心に、小さな息抜きを与えるためです。

最初の4コマ漫画が関東大震災後に掲載されて以来、漫画は新聞に欠かせない存在となりました。短時間で読める親しみやすさ、明確な起承転結、そして家庭の日常を描いた共感性。これらが4コマ漫画が選ばれ、愛され続ける理由です。

ぜひこの記事で知ったちょっとした雑学を、家族や友人に話してみてください。明日の朝、新聞を広げて4コマ漫画を見たとき、きっと新しい楽しさを感じられるはずです。

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