ミジンコが身の危険を感じるとどうなるのか 全く役に立たない変化が切なすぎる…

雑学

危険を感じたミジンコの意外すぎる身の守り方

敵の気配がすると「頭をとがらせる」

甲殻類というエビやカニの仲間であるミジンコは、1~2mm程度の小さな体を持つ生き物です。

普段はプランクトンを食べながら水の中で暮らしていますが、マギレミジンコなどのミジンコの種類によっては、天敵であるフサカ(蚊)の幼虫や小魚の気配を身近で察知すると思いもよらぬ方法で身を守ろうとするのをご存じですか?

その方法とは、「頭をとがらせる」こと!まるで栗の先端のようにニョキッと頭のてっぺんが突き出た姿は、何だか可愛く思えてしまうほどです。

頭をとがらせてもダメな時はダメ

しかし、この頭をとがらせる作戦は、約24時間もかけてじわじわと実行されるというあまりに悠長すぎる技でした。危険な天敵に対し、これでは全く役に立たないのではないかと誰もが感じてしまうでしょう。

ところが、意外にもこの技は天敵に対して有効なのだとか。頭がとがった状態だと捕食しにくくなり、助かることもあるのだそうです。

ただし、食べられる時は食べられるというのも事実のようで、頭がとがったからといってミジンコの防御システムが完璧なわけではありません。

1日かけて頭をとがらせている間にパクッといかれたり、とがった頭も気にせず攻撃を受けてしまうと、残念ながらひとたまりもないようです。

ミジンコは「死んだふり」作戦も決行

マルミジンコやホソオミジンコなど別の種類のミジンコの場合は、敵であるアキアカネのヤゴ(幼虫)を前にすると、生き抜くために「死んだふり(擬死行動)」をするということも分かっています。ミジンコのこの行動を観察したのは、日本の東北大学の研究チームです。

どうやらアキアカネのヤゴは、ミジンコが泳ぐ時に発生する水の流れから、獲物の存在を感知しているようでした。そこで、ミジンコがあえて動くのを止め、死んだふりをすると、ヤゴはミジンコを発見できずに素通りしてしまうのです。

泳いで逃げる作戦をとった時よりも、死んだふり作戦を実行した時の方がおよそ5倍も生存率が上がるというのですから、ミジンコが自らの身を守る方法としては有効なのでしょう。

また、ヤゴは動かない獲物をマズいエサやゴミだと認識してすぐに吐き出すこともあり、万が一見つかった場合でも死んだふりは役に立っているようです。

この他にも、動かないミジンコは病原体を抱えた獲物、もしくは病原体そのものなのではないかとヤゴが判断して、避けているのではないかという仮説もあります。死んだふりは、単純に見えて意外と高度な作戦なのかもしれません。

他にもあったミジンコの面白い生態

ミジンコの面白い生態は、敵から身を守る時だけでなく、繁殖をする時にも観察できます。

メスのミジンコは、オスがいなくても、周囲の環境条件が良ければ自らのクローンとも言うべき子どもをつくる「単為生殖」を行うのですが、それだとメスのミジンコばかりが爆発的に誕生してしまいます。

すると、生息環境が悪化した段階で、メスばかりだった中にオスが生まれるようになり、メスとオスが交尾をして子どもをつくる「有性生殖」に切り替わるという不思議な生き物です。

しかも、メスとオスが交尾してできた卵は低水温や乾燥にも負けず、増えすぎた個体数が落ち着き、良い環境になるまで孵化せずに待てる「耐久卵」という強いもの。小さなミジンコたちの生存戦略は、こんなところでも見られるのです。

ミジンコを観察してみよう!

天敵と出遭ってしまったミジンコが、頭をとがらせたり、死んだふりをしたりしながら懸命に生きていることをご紹介しましたがいかがでしたか?

体は小さくても、工夫をこらしながら自然界で生き抜いているミジンコの姿は興味深いものです。

もしもミジンコを観察する機会があれば、ぜひ今回の内容を思い出してみてくださいね。

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