『パエリア』『リゾット』『ピラフ』、何が違う?
レストランのメニューやレシピ本でよく目にするこの3つの料理。どれもお米を使った洋風の料理ですが、その調理法や味わい、ルーツには大きな違いがあります。今回はなんとなく似ているようで実は全く異なるこの3つの料理について解説します。
パエリアとは
まずはパエリアについて解説します。パエリアは、スペイン発祥の米料理。サフランの香りと鮮やかな黄色が特徴です。専用の平たい鍋で調理されることが多く、生米や具材を炒めてから、魚介の出汁と一緒に炊き上げるスタイルが一般的。ただ、地域やレシピによっては炒めないこともあります。
元々アラブ人がスペインにもたらしたという説や、ピラフがスペインに伝わって発展したという説など、起源は諸説あります。
魚介類をたっぷり使ったレシピが多い一方で、鶏肉や野菜など山の幸を使う場合もあり、素材の存在感がしっかり味わえるのもパエリアならではの魅力。
後述するピラフのように具材と米を一緒に炊き込むのではなく、具材を大きめに切って米の上に並べるスタイルが多く見られます。また、ピラフとの大きな違いの一つが見た目の色合い。パエリアはサフランで黄色く色づくため、色でも違いを見分けやすい料理です。
リゾットとは
続いて、リゾットについて解説していきます。リゾットは、イタリア生まれのスープ仕立ての米料理。生のお米を軽く炒めたあと、白ワインとブイヨンを少しずつ加えながら煮ていき、程よく芯が残るように仕上げます。
水分をしっかり飛ばして炊き上げるピラフやパエリアとは異なり、リゾットは水分を含んだ状態でいただくのが特徴。見た目は日本の雑炊にも似ていますが、もっとさらっとしていて、米の食感を楽しめます。
リゾットという名前は、「最高の米料理」を意味するイタリア語「リーゾ・オットティモ」に由来するといわれています。ただ、起源は諸説あり、ピラフやパエリアの影響を受けて発展したとする説もあれば、イタリア伝統の麦料理とアジアの米文化が融合して誕生したという見方もあります。
ピラフとは
最後にピラフについて解説します。ピラフは、フランスで親しまれている炊き込みご飯風の料理。生のお米をバターで炒め、そこにブイヨンなどのスープを加えて、汁気がなくなるまでじっくり炊き上げます。
そのルーツはトルコの「ピラウ」とされており、ヨーロッパに伝わる中でアレンジが加えられ、現在のピラフの形になったと考えられています。
カレー風味にアレンジした「カレーピラフ」など、家庭でも手軽に楽しめる料理として定着しています。使う具材や味付けの自由度が高く、好みに合わせてさまざまなバリエーションが楽しめるのもピラフの魅力です。
それぞれの違い
ピラフとパエリアと比較すると、どちらも炒めたお米をスープで炊き上げる点は共通していますが、仕上がりや味わいは異なります。パエリアは鮮やかな黄色が特徴で、大ぶりな具材をのせて仕上げる華やかな料理。一方、ピラフは全体を均一に炊き上げるため、見た目はシンプルで、どこを食べても同じように味わえるのが特徴です。
また、リゾットはピラフ・パエリアと違い、水分を残したスープ仕立てで楽しむイタリアの米料理です。
簡単にまとめると、ピラフはバターで炒めてから炊くフランス風炊き込みご飯、パエリアはオリーブオイルを使って彩り豊かに仕上げるスペイン料理、そしてリゾットはスープと一緒に楽しむイタリア料理といった違いがあります。