タクシーの自動ドア
タクシーのドアが自動で開く…これは日本では当たり前の光景ですが、実は海外ではほとんど見られません。日本独自のこの「自動ドア」技術、なぜ生まれ、どのように発展してきたのか…気になりませんか?
今回は、日本のタクシーに関する面白い雑学をお届け。最後までお読みいただくと、タクシー運転手に一歩近づけることでしょう。
タクシーに自動ドアが備わっているのは日本などアジアの一部だけ
日本のタクシーで当たり前の「自動ドア」は、海外暮らしの方からすると驚きの光景です。というのも、海外では乗客が自分でドアを開け閉めするのが一般的。タクシー運転手が遠隔でドアを操作するシステムは、海外ではなかなか定着しなかったのです。
実際、日本の自動開閉ドアは何度か海外展開が試みられましたが、成功したのは香港など一部のアジア地域のみ。欧米や南米ではほとんど定着しなかったのだとか。たとえば、アメリカの場合、現地の車両は日本車よりも大型で、自動ドアの動作に十分なパワーを確保できなかったそうです。また、アメリカは個人タクシーが多く、販売やメンテナンスの窓口が分散しているため、普及が難しかったという理由もあります。
それに加え、海外では「ドアの開け閉めは運転手がするものではない」という価値観が根強く、システムの導入に抵抗を示す声も多かったとのこと。こうした理由から、アメリカの他、イギリスやブラジルなどでも普及することはありませんでした。
日本で普及したきっかけは「東京オリンピック」
日本でタクシーの自動ドアを開発したのは、実業家の岡田実さんと発明家の丸山国伝さん。1959年ごろ開発に成功したのですが、当時のタクシー業界では、「自動ドアの導入は贅沢だ」という考えが根強く、なかなか普及が進まなかったそうです。
しかし、アジア初の開催となった「東京オリンピック」をきっかけに状況が変化。海外から多くの観光客や大会関係者が訪れる機会が増え、日本のおもてなし文化をアピールする絶好のタイミングが到来。「自動ドアを導入すれば、サービス向上につながるうえ、運転手が乗客の安全にも配慮しやすくなる」と、大手タクシー会社が次々と導入を決めたそうです。
結果、タクシー会社間でサービス競争が激化。自動ドアの普及も一気に加速し、今では日本のタクシーに欠かせないシステムとなりました。
今回の雑学、タクシーに乗ったときにでも思い出してみてください。もしかすると、いつもよりも乗り心地が良くなるかもしれませんよ