『この木なんの木』ってどこにあるの?
「この木なんの木~♪」と流れるメロディーでお馴染みのこの木。実はハワイ・オアフ島にある「モアナルア・ガーデン」に立つモンキーポッドの大木がその正体です。
ホノルル国際空港からほど近く、観光客にとってはアクセスも良好。ワイキキから車で約20分の距離にあるこの公園には、他にも多くのモンキーポッドが生えていますが、やはり日立の木は一際目立つ存在。緑の大きな傘のようなシルエットが訪れた人々を包み込むように広がり、日本人観光客の間でも撮影スポットとして大人気です。
このモンキーポッドは、樹齢約130年、高さは25メートル、幅はなんと40メートルもある巨木です。日本のCMで何度も目にしてきたあの木を実際に見ると、その大きさと存在感に圧倒されることでしょう。
なぜ「日立の樹」?モンキーポッドが選ばれた理由
なぜ、モアナルア・ガーデンのモンキーポッドが「日立の樹」として選ばれたのでしょうか?
その理由は、まず何よりもその美しいシルエットにあります。モンキーポッドは、高く伸びた幹から広がる枝が見事なバランスを保ち、まるで巨大な傘のように葉が茂ります。この特徴的な枝ぶりは、日立グループが企業理念として掲げる「広がり」と「成長」を象徴するのにふさわしいと考えられました。また、モアナルア・ガーデンの広大な敷地に、ぽつんと一つだけ目立つように立つ姿が、まるで世界中の人々に向けて手を広げているかのようにも見え、企業のグローバルな展望を視覚的に表現しているのです。
さらに、木の美しさだけでなく、そのロケーションも選ばれた理由の一つです。広々とした芝生と青い空の下、モンキーポッドは自然と人々の目を引きつける場所に立っています。日本とハワイという地域的なつながりもまた、日立グループの国際的な視野を象徴するものとして評価され、この木が選ばれる決め手となりました。
あの木が変わってた!? 日立CMに登場した他の樹木たち
現在では「日立の樹」として親しまれているモンキーポッドですが、実は最初からこの木が使われていたわけではありません。日立のCMは、1973年にアニメーションの木からスタートしました。初めは、現実に合う木が見つからなかったため、イラストで理想の木を表現していたのです。
そして、1975年に初めてモンキーポッドが登場しましたが、実はその後も一度この木は他の木に取って代わられることになります。1979年から1984年の間、日立のCMには以下の樹木が登場しました。
- マンゴーの木(ハワイ)
- バニヤンツリー(シンガポール)
- カリフォルニアオーク(ロサンゼルス)
これらの木々もそれぞれの地域で独特の風情を持ち、CMを通して視聴者にインパクトを与えました。しかし、視聴者から「やっぱりあの木に戻してほしい」という声が高まり、1984年にモンキーポッドが再び登場。それ以来、日立のCMではずっとこの木が象徴として使われ続けてきたのです。
このように、モンキーポッドは日本人にとって馴染み深い木となりましたが、その背後には実際に使われた他の木々も存在していたことを知ると、さらにCMの歴史が奥深く感じられるでしょう。
モアナルア・ガーデンと王族の歴史
モアナルア・ガーデンは、ただの公園ではありません。ここにはハワイの王族、カメハメハ王家との深い歴史が息づいています。
特にカメハメハ5世の時代、王子がこの場所に別荘を建てたことで、モアナルアの地は特別な意味を持つようになりました。この別荘のポーチでは、長らく禁止されていたフラが再び復活し、文化の再生の場としても重要な役割を果たしました。
その後、この土地は実業家サミュエル・デーモンによって受け継がれ、彼の手によって庭園が整備され、現在のモアナルア・ガーデンへと続いています。この歴史が、ハワイと日本をつなぐ特別な場所としてのガーデンの背景を支えているのです。
日立の樹が日本人に愛される理由
日本のテレビで流れる「この木なんの木」のCMは、単なる広告以上のものです。1970年代から放送されてきたこのCMは、日本人にとって懐かしさと安心感を与える存在となり、自然と愛着が生まれていきました。特に、家電やインフラの提供を通じて日常に寄り添ってきた日立グループのイメージと、この大木の穏やかな存在感が重なり、多くの人々に親しまれています。
また、ハワイという日本人観光客にとって憧れの地に存在することも、この木が特別な存在となる理由の一つです。日本からの観光客は、この木を見ることでCMの世界と現実が重なる瞬間を体験し、特別な思い出として心に刻まれるのです。
日立の樹は次の世代に引き継がれる遺産
モアナルア・ガーデンの「日立の樹」は、これからも次の世代に引き継がれる遺産として大切に守られていくことでしょう。実際、このモンキーポッドの木はハワイ州によって「特別な木」として保護されています。日立グループもまた、この象徴的な木を未来に伝えるべく、維持管理に多額の資金を投じています。
「この木なんの木」は、単なる広告のシンボルにとどまらず、次世代に受け継がれるべき自然遺産であり、日立グループの成長とともに歩んでいく象徴でもあります。
モアナルア・ガーデンで体感する癒しのひととき
モアナルア・ガーデンに足を運べば、巨大なモンキーポッドの下で、ゆったりとした時間を過ごすことができます。自然の中でリラックスし、日常の忙しさを忘れさせてくれるこの場所は、心の癒しを求める人々にとって最適なスポットです。