鳥取砂丘は本当に日本一?知られざる巨大砂丘の存在
「日本一の砂丘といえば?」と聞かれて、ほとんどの人が「鳥取砂丘!」と即答するのではないでしょうか。雄大な砂丘と日本海が織りなす絶景、ラクダ遊覧やパラグライダーなど魅力的なアクティビティ、美しい風紋など、その魅力は誰もが認めるところです。
しかし実は、日本には10カ所以上の砂丘が存在し、面積では鳥取砂丘を上回る巨大砂丘が存在するのです。その砂丘こそ、青森県下北半島に広がる「猿ヶ森砂丘」。ところが、この砂丘の存在を知っている人は驚くほど少ないのです。
実は奥が深い!砂丘の基礎知識
そもそも砂丘とは何なのでしょうか?「砂漠の一部では?」と思う人も多いかもしれません。実は、両者には明確な違いがあります。
砂丘は「風によって運ばれた砂が堆積してできた丘状の地形」のこと。一方の砂漠は、年間降水量が250mm以下の荒れ地を指します。砂漠には砂だけでなく、岩や石も存在し、基本的に人が生活できない不毛の地を指します。
面白いことに、鳥取砂丘の年間降水量は2,000mm以上もあります。つまり、私たちが「砂漠みたい!」と感じる鳥取砂丘は、実は砂漠の定義からはかけ離れているのです。
また、砂丘には海岸砂丘と内陸砂丘があります。日本の砂丘の多くは、海からの強い風によって運ばれた砂が堆積してできた海岸砂丘です。まるで海が長い年月をかけて作り上げた自然のアート作品のようですね。
青森に眠る巨大砂丘「猿ヶ森砂丘」の実態
青森県下北半島の東通村。この静かな漁村の海岸線に、南北約17km、東西約2kmにも及ぶ巨大な砂丘が横たわっています。それが猿ヶ森砂丘です。
名前の由来はアイヌ語の「サル・カ・モライ」。約5000年前、縄文時代の海進期以降に太平洋からの飛砂によって形成されたと言われています。鳥取砂丘の約3倍という広大な面積を持ち、実は日本最大級の砂丘なのです。
さらに興味深いのは、砂丘内に点在する20ほどの湖沼群。その中には希少なヒメマリモが生息する左京沼もあります。また、かつてこの地にそびえていた大森林の面影を今に伝える「ヒバ埋没林」も。数百年から数千年前に立ち枯れたヒバの木々が、今なお朽ちることなく砂に埋もれて直立している姿は、まさに太古のタイムカプセルと言えるでしょう。
なぜ知られていない?猿ヶ森砂丘の秘密
では、なぜこれほどの規模を持つ猿ヶ森砂丘が、あまり知られていないのでしょうか?
実は、この砂丘には「立ち入り禁止」の看板が立っています。その理由は、砂丘の大部分が防衛省の下北試験場として使用されているからです。
1959年から、この場所は防衛装備庁の火器・弾薬類の試験場として機能しています。年間200日以上にわたって実弾射撃試験が行われ、最新の装備品の性能確認も実施。広大な砂丘は、実験場として理想的な環境だったのです。
つまり、私たちが自由に見学できる場所ではないのです。
砂丘のほとんどが立ち入り禁止とはいえ、一部のエリアでは貴重な自然を見学することができます。県道沿いには駐車場も整備され、神秘的な「ヒバ埋没林」を間近で観察することもできるのです。
それぞれの魅力が光る!二大砂丘の個性
日本を代表する二つの砂丘には、それぞれ異なる魅力があります。
猿ヶ森砂丘は「静」の砂丘と言えるでしょう。人の手があまり入っていない原生的な自然が残され、砂丘湖や埋没林など、太古からの時の流れを感じさせる神秘的な景観が特徴です。防衛省の試験場という特殊な役割も担いながら、貴重な生態系を今に伝えています。
一方の鳥取砂丘は「動」の砂丘。南北2.4km、東西16kmに広がる雄大な景観に加え、最大高低差90mの起伏に富んだダイナミックな地形が特徴です。「馬の背」と呼ばれる砂の尾根からは、日本海と砂丘が織りなす絶景を一望できます。
特に朝夕の光に照らされた風紋は格別です。風によって刻々と模様が変化する様子は、まさに自然が描く芸術作品。ラクダ遊覧やパラグライダー、サンドボードなど、様々なアクティビティも充実しており、砂丘の魅力を存分に体験できる観光地として国内外から多くの人々を魅了し続けています。
また、鳥取砂丘では「ハマニガナ」「ハマヒルガオ」といった砂丘特有の植物も見ることができ、生態学的な価値も高いことで知られています。
両砂丘は、その規模や特徴は異なりますが、どちらも日本の自然が生み出した貴重な財産と言えるでしょう。
新たな発見!砂丘の不思議を広めよう
「砂丘=鳥取」という常識が、実は違っていたことに驚かれた方も多いのではないでしょうか?
日本最大の猿ヶ森砂丘は、その大部分が一般公開されていないからこそ、独自の自然環境や生態系が守られてきたとも言えます。一方、鳥取砂丘は観光地として整備されているからこそ、多くの人々が砂丘の魅力に触れることができているのです。
砂丘は単なる「砂の山」ではありません。太古の時を刻む自然の造形であり、独自の生態系を育む貴重な環境でもあります。また、防衛施設や観光地など、それぞれの場所で異なる役割も担っています。
今度、誰かと砂丘の話になったら、「実は日本最大の砂丘は青森県にあるんだよ」と話のタネにしてみてはいかがでしょうか?きっと、相手も「へぇ!」と興味を持ってくれるはずです。
私たちの身近にありながら、まだまだ知られていない日本の自然の不思議。それを知ることは、新たな発見の喜びと共に、自然の多様性や奥深さを感じる素晴らしい機会となるのではないでしょうか。
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