なぜハンカチは『正方形』なの?歴史を変えたマリー・アントワネットの一言とは

雑学

ハンカチが正方形になった意外すぎる理由

「ハンカチって昔から正方形だったの?」そんな素朴な疑問を持ったことはありませんか?実は、ハンカチの形が正方形に統一されたのには、18世紀のフランスで起きた驚きの出来事が関係していたのです。

1785年、フランス王妃マリー・アントワネットの一言で、ハンカチの歴史は大きく変わりました。それまでのハンカチは、長方形や三角形、さらには円形まで、さまざまな形のものが存在していたのです。当時のヨーロッパでは、ハンカチは単なる実用品ではなく、貴族の間で自分の富や地位を誇示するための贅沢品でした。

レースや宝石で装飾された豪華絢爛なハンカチは、まるで現代のブランドバッグのような存在。貴族たちは競うように個性的な形や装飾を凝らしたハンカチを持ち歩いていました。そんな中、マリー・アントワネットは夫のルイ16世に進言し、「朕の王国のハンカチは、すべて正方形とすべし」という法令を出させたのです。

マリー・アントワネットの本当の狙いとは?謎に包まれた真相

では、なぜマリー・アントワネットはハンカチを正方形に統一しようと考えたのでしょうか?実は、その真相についてはいくつかの説が伝えられています。

最も有力な説は、「自分だけが特別なハンカチを持ちたかった」というもの。フランスきっての美貌と趣味の良さを誇った彼女は、次々と新しいファッショントレンドを生み出していました。髪を高く盛り上げるヘアスタイルや、ブームとなった付けぼくろなど、彼女の一挙手一投足が貴族たちの注目の的だったのです。

そんなトレンドセッターだった彼女が、一般の人々には正方形のハンカチしか許可せず、自分だけが様々な形のハンカチを持つことで、さらなる特別感を演出しようとしたという説です。当時のヨーロッパでは、ハンカチは現代のブランドバッグのような存在。他の貴族たちと一線を画す絶好の機会だったのかもしれません。

一方で、「派手な装飾品に飽きていた」という説も根強く残っています。1780年代に入ると、マリー・アントワネットは徐々にシンプルなものを好むようになっていったと言われています。レースや宝石で飾られた派手なハンカチ、奇抜な形のハンカチが世間に溢れる状況に、彼女自身が嫌気をさしていたという見方です。

実は、この時期の彼女は「シンプル・イズ・ベスト」という考えに傾倒していったとも言われています。装飾過多な貴族文化への反動から、すっきりとした美しさを追求するようになっていったのです。そんな彼女の美意識の変化が、ハンカチの形を正方形に統一するきっかけとなったのかもしれません。

当初は「また王妃の気まぐれか」と揶揄する声もあったそうです。しかし、使っているうちに正方形のハンカチの利点が次々と発見されていきました。折りたたみやすい、ポケットに収まりやすい、アイロンがけが簡単など、実用的なメリットが多かったのです。

真相は謎に包まれたままですが、いずれにしてもこの決定が、その後のハンカチの歴史を大きく変えることになったのです。

ハンカチの歴史!古代エジプトから続く物語

実は、ハンカチの歴史は想像以上に古く、紀元前3000年頃までさかのぼります。古代エジプトのダシュール王女の墓から発見された麻の布切れが、最古のハンカチと考えられています。

当時は身分の高い人々だけが持てる貴重品で、特にペルシャでは「王族だけが所持できる特別な品」として扱われていました。絹織物に手の込んだ刺繍を施したハンカチは、まさに「布の宝石」と呼ぶにふさわしい逸品だったそうです。

ローマ時代には、競技場で観客が「オラリアム」と呼ばれるハンカチを振って声援を送る習慣があったとか。現代のスポーツ観戦でタオルを振る光景に通じるものがありますね。

意外と違う!ハンカチとチーフの使い分け方

「ハンカチ」と「チーフ」、同じものだと思っていませんか?実は、これらには明確な違いがあるんです。

チーフ(正式にはポケットチーフ)は、スーツの胸ポケットに差す装飾用の布のこと。一方、ハンカチは手や汗を拭くための実用的なアイテムです。サイズも異なり、チーフは30~45cm、ハンカチは15~50cmが一般的。素材も、チーフは見た目を重視してシルクやリネンを使用し、ハンカチは吸水性の高いコットンが主流です。

愛の証から戦場まで!意外な場面で活躍したハンカチ

中世ヨーロッパでは、ハンカチは恋愛の道具としても重宝されていました。戦場に向かう騎士に、恋人が自分のイニシャルを刺繍したハンカチを「私の代わりにそばに置いて」と託すのが一般的だったそうです。

シェイクスピアの名作「オセロー」でも、ハンカチが重要な小道具として登場します。デズデモーナの落としたハンカチが誤解を招き、悲劇的な結末へとつながっていく…。まさに、当時のハンカチがいかに個人的で大切なアイテムだったかを物語っています。

面白いのは、17世紀頃のフランス宮廷での使われ方です。ある貴族の遺品目録には、なんと1万8千枚ものハンカチが記録されていたそうです。「家柄はレースで分かる」と言われた時代、ハンカチは今でいう高級ブランド品以上の存在だったのかもしれません。

あなたの周りにもハンカチにまつわる素敵な思い出が眠っているかも

今では当たり前になった正方形のハンカチですが、その形には意外な歴史が隠されていました。マリー・アントワネットの気まぐれから始まり、実用性が認められて世界中に広まっていった…。そんなストーリーを知ると、普段何気なく使っているハンカチが、少し特別なものに感じられませんか?

ちなみに、マリー・アントワネットの誕生日(11月2日)にちなんで、最も近い祝日である11月3日は「ハンカチーフの日」に制定されています。こんな話を友人や家族に話せば、きっと「へえ、知らなかった!」と驚かれることでしょう。

毎日の生活に欠かせないハンカチ。その正方形という形には、歴史のロマンが詰まっているんです。次にハンカチを使うとき、ちょっとだけその歴史に思いを馳せてみるのも素敵かもしれませんね。

こんな記事も読まれています

『ミドルネーム』は日本にも昔あった!?海外と日本の名前文化の違いが面白い!

缶詰にも旬があるって本当?最高の食べ頃と美味しさ『缶熟』の秘密