3月11日は『パンダ発見の日』！なぜこの日？知られざるエピソードと雑学

『パンダ発見の日』とは？なぜ3月11日なの？

3月11日は「パンダ発見の日」とされていますが、実は正式に制定された記念日ではありません。では、なぜこの日が「パンダ発見の日」と呼ばれるようになったのでしょうか？

その理由は、1869年のある出来事にさかのぼります。

フランス人の神父であり博物学者でもあったアルマン・ダヴィドが、中国・四川省を訪れた際に、白黒の毛皮を持つ不思議な動物の存在を知りました。彼は地元の村人が持っていたその毛皮を見て驚き、すぐにヨーロッパへと持ち帰りました。これが、西洋で初めてパンダが紹介された瞬間です。

当時、中国の人々はパンダを特に珍しい動物として扱っていませんでした。なぜなら、山奥に生息しており、人々と関わることが少なかったからです。加えて、パンダは肉食獣に分類されるものの、主に竹を食べる動物だったため、狩猟の対象にもなりにくかったと考えられています。

しかし、西洋に持ち帰られたパンダの毛皮は、瞬く間に研究者たちの興味を引きました。「この動物は一体何なのか？」という疑問から調査が進み、やがて「ジャイアントパンダ」という新たな種として認識されるようになりました。

こうして、3月11日は「パンダが初めて西洋に知られた日」として、多くの動物好きや研究者の間で語られるようになりました。正式な記念日ではありませんが、パンダの歴史を語る上で重要な節目となる日なのです。

発見されたパンダは毛皮だった？まさかのエピソード

現在、私たちが動物園で見るパンダは、ふわふわとした毛並みで愛らしい姿をしています。しかし、ダヴィド神父が最初に目にしたのは、そんな可愛らしいパンダではなく、「パンダの毛皮」でした。

当時、中国の山間部では、パンダはあまり珍しい動物とされていませんでした。そのため、地元の狩猟民がパンダを狩ることもあり、毛皮が市場に出回ることもあったのです。ダヴィド神父が発見したパンダも、生きた個体ではなく、すでに剥製化された状態のものだったと言われています。

この毛皮を目にしたダヴィド神父は、その特異な模様に興味を抱き、すぐにフランスの博物館へと送りました。その後、パンダの毛皮は研究対象となり、パンダという生物の存在が広く知られるようになったのです。

もし、このときダヴィド神父がパンダの毛皮を目にしていなかったら、もしかすると、パンダは今ほど世界的に有名な動物になっていなかったかもしれません。発見当初は「未知の動物」として興味を持たれましたが、時を経て動物園での飼育が進むことで、現在のような「世界的アイドル」としての地位を確立していったのです。

パンダの雑学！これ知ってた？

パンダといえば、白黒の愛らしい見た目と、もぐもぐと竹を食べる姿が印象的な動物です。でも、パンダのことを本当に知っているでしょうか？実は、名前の由来や白黒模様の秘密、食生活にいたるまで、まだまだ知られていない意外な事実がたくさんあります。

「パンダ」の名前、元祖はレッサーパンダだった？

パンダと聞くと、多くの人は「白黒のジャイアントパンダ」を思い浮かべるでしょう。でも、実は「パンダ」という名前を最初に名乗ったのは、レッサーパンダだったことをご存じですか？

もともと、「パンダ」という言葉はネパール語で「竹を食べるもの」という意味を持っていたと言われています。この言葉がヨーロッパに伝わった際、当時すでに知られていたレッサーパンダに「パンダ」という名前がつけられました。その後、ダヴィド神父が白黒の大きなパンダを発見した際、「もう一つのパンダ」として認識され、「ジャイアントパンダ」と呼ばれるようになったのです。

今ではレッサーパンダのほうが「小さいパンダ」扱いされていますが、実は彼らが元祖「パンダ」だったというのは、なんとも意外な事実ですよね。

かわいいだけじゃない！白黒模様の理由

パンダの白黒模様、ただのかわいいデザインだと思っていませんか？実は、この模様にはちゃんとした理由があるのです。

有力な説のひとつは、「カモフラージュ説」です。パンダの生息地である竹林は、明るい部分と暗い影の部分が混ざっています。その中で白と黒の体を持つことで、周囲の風景に溶け込み、天敵から身を守ることができるというものです。

もうひとつは、「体温調整説」です。白い部分は太陽の光を反射して体温を維持しやすく、黒い部分は体温を逃しにくくする役割があると考えられています。寒暖差の激しい環境で暮らすパンダにとって、合理的な進化の結果かもしれません。

さらに、目の周りの黒い模様には別の説もあります。これは「顔を大きく見せるための視覚効果」だというもの。クマの仲間であるパンダは、見た目で相手を威嚇することがあり、目の周りが黒いことで、より大きく、強そうに見えるのではないかという研究もあるのです。

何気なく見ている白黒の模様ですが、実は進化の中で大切な役割を果たしているのかもしれません。

パンダは肉も食べる！？

パンダといえば竹を食べる草食動物…と思いがちですが、実はクマの仲間。かつては肉食の歴史も持っているのです。

パンダは「食肉目クマ科」に分類される動物ですが、進化の過程で竹を主食とするようになりました。ただ、消化器官の構造は肉食動物に近いまま。そのため、竹を食べても栄養を十分に吸収できず、大量に食べ続ける必要があるのです。

また、野生のパンダがときどき小動物を食べる姿も目撃されています。実験的に肉を与えた研究でも、興味を示して食べる個体がいたそうです。ただ、主な食事はやはり竹。1日に12～38キロもの竹を食べ続けることで、エネルギーを補っています。

竹林の王者でありながら、ルーツをたどると意外にも「肉もいけるクマ」。パンダの進化の不思議を感じるエピソードですね。

パンダ発見から150年…今や世界のアイドルに！

パンダが世界的な人気者になった背景には、「動物園での飼育」と「パンダ外交」が大きく関係しています。

1936年、西洋で初めて生きたパンダが動物園で展示されると、その愛らしい姿が大きな話題になりました。それまでは研究対象としての関心が中心でしたが、一般の人々がパンダのかわいさに注目し始めたのはこの時期からです。

その後、パンダは中国の象徴的な動物となり、1970年代には「パンダ外交」という戦略が始まりました。これは、中国が国際関係を強化するために、友好国にパンダを貸し出すというものです。日本の上野動物園にも、1972年に初めてパンダがやってきました。その際には長蛇の列ができ、ニュースでも大々的に取り上げられたほどです。

現在も、中国の動物園から多くの国にパンダが貸し出されています。単なる動物としてではなく、「外交の道具」としての役割も果たしているのは、他の動物にはないユニークな特徴といえるでしょう。