保安官が警察を指揮?アメリカの法執行機関の不思議
「保安官が出てくる映画やドラマって多いよね」「警察と保安官、どっちが偉いの?」――こんな疑問を持ったことはありませんか?実は、これらの疑問を持つのは当然なんです。
アメリカの法執行機関(※1)は、日本では考えられないほど複雑な構造になっています。なんと、全米で1万8000以上もの警察組織が存在するんです!しかも、それぞれが独立して活動していて、時には協力し、時には競争しながら、アメリカの治安を守っています。
これは単なる組織の複雑さではなく、実はアメリカという国の成り立ちと深い関係があるんです。建国時から、各地域の自治を重んじてきたアメリカならではの特徴と言えるでしょう。
では、アメリカの法執行機関の中でも、特によく目にする保安官と警察の違いから、その興味深い世界を見ていきましょう。きっと、次にアメリカのドラマを見るときには、より深く楽しめるはずです。
※1:法執行機関とは、法律を執行する権限を持つ組織のこと。警察や保安官事務所などが該当します。
意外と知らない『保安官』と『警察』の基本的な違い
「警察は市長に任命されるけど、保安官は選挙で選ばれる」――これが、実は最も重要な違いの一つなんです。保安官は地域住民による選挙で選ばれるため、より住民の意見を反映しやすい立場にあります。一方の警察は、市の行政機関として市長の指揮下で活動します。
この違いは、アメリカの歴史と深く結びついています。保安官の制度は、なんとイギリスの植民地時代から続く伝統的な役職。アメリカの警察組織よりも古い歴史を持っているんです。
項目 | 警察(ポリス) | 保安官(シェリフ) |
---|---|---|
選任方法 | 市長による任命 | 住民による選挙 |
主な活動地域 | 都市部 | 郊外・地方 |
組織の特徴 | 複数の警察官で構成 | 保安官1名と保安官代理で構成 |
令状発行 | 発行できない | 発行できる |
都会は警察、田舎は保安官が活躍するわけ
アメリカの警察組織を地図で見ると、とても興味深い特徴が見えてきます。大都市には必ずと言っていいほど警察組織があるのに対して、郊外や田舎では保安官が治安を守っているんです。
例えば、ニューヨーク市やロサンゼルス市には大規模な警察組織(NYPD、LAPD)がありますが、人口の少ない地域では保安官事務所が治安維持を担当します。これには明確な理由があります。小規模な市町村では、独自の警察組織を維持するだけの予算を確保するのが難しいのです。
映画やドラマで、保安官が活躍するシーンの多くが田舎町が舞台になっているのは、このような現実を反映しているんですね。ちなみに、保安官事務所の規模は地域によって大きく異なります。小さな町では数人程度ですが、ロサンゼルス郡の保安官事務所は職員数なんと18,000人!世界最大の保安官事務所として知られています。
『保安官』と『警察』、それぞれの特別な権限
保安官と警察では、持っている権限も異なります。保安官は一般的な警察業務に加えて、
- 刑務所の管理・運営
- 裁判所の警備
- 逮捕令状の発行
- 犯罪者の移送
- 裁判の証人の保護
など、より広範な権限を持っています。特に注目すべきは、警察官は令状を発行できないのに対し、保安官は自ら令状を発行できるという点。映画やドラマで、警察官が「令状を取ってくる」というシーンがありますが、これは多くの場合、保安官や裁判官に令状を発行してもらいに行くということなんです。
権限 | 内容 |
---|---|
刑務所関連 | 刑務所の管理・運営、受刑者の移送 |
法的権限 | 令状発行、裁判所警備、証人保護 |
行政権限 | 税の徴収(州による)、行政文書の送達 |
警察業務 | 犯罪捜査、逮捕、パトロール |
アメリカのドラマや映画でよく見る保安官の活躍シーン
「保安官事務所には保安官は1人だけ」という設定をよく目にしますが、これは実は本当なんです。各郡や地域の保安官事務所には、選挙で選ばれた保安官が1人。ただし、その下には「保安官代理」と呼ばれる多くのスタッフがいます。
西部劇などでよく見る「保安官バッジ」にも実は深い意味があります。アメリカの法執行官にとって、バッジは日本の警察手帳に相当する重要なシンボル。そのため、正規のバッジは自宅に保管しておき、普段は2個目のバッジを使うという習慣があるんです。
意外と多い!保安官と警察が協力して事件を解決するケース
映画やドラマでよく見かける「保安官と警察が一緒に捜査している」シーンには、ちゃんとした理由があります。例えば
- 複数の郡をまたぐ広域事件
- 州をまたぐ重大事件
- 誘拐やテロなどの凶悪事件
- 組織犯罪の捜査
このような場合、単独の法執行機関では対応が難しいため、組織の垣根を越えて協力するんです。さらに、事件の規模や種類によっては、州警察やFBI(連邦捜査局)も加わります。
実際にあった事例では、ある州をまたぐ連続強盗事件で、地元の保安官事務所、市警察、そしてFBIが協力して犯人を逮捕。それぞれの組織が持つ特徴を活かして、見事に事件を解決したというケースもあります。
あまり知られていない保安官の4つの種類
保安官と一言で言っても、実は4つの種類があるんです。
1. 連邦保安官(マーシャル)
- 連邦犯罪の捜査が主な仕事
- 大統領によって任命される
- アメリカ全土での執行権を持つ
2. 州保安官
- 州の法執行官として活動
- 州憲法に基づいて法を執行
- 選挙で選ばれる
3. 郡保安官
- 映画やドラマでもっともよく見かける
- 郡内の治安維持が主な仕事
- やはり選挙で選ばれる
4. 市保安官
- 特定の市で活動
- 現在は減少傾向
- 多くの場合、市警察に置き換わっている
この4つの保安官は、それぞれの管轄区域で異なる役割を果たしています。特に興味深いのは、これらが重なり合って存在している地域もあるという点。例えば、ある一つの地域に連邦保安官、州保安官、郡保安官が同時に存在するということも珍しくないんです。
種類 | 管轄範囲 | 選任方法 |
---|---|---|
連邦保安官 | アメリカ全土 | 大統領任命 |
州保安官 | 州全域 | 選挙 |
郡保安官 | 郡内 | 選挙 |
市保安官 | 市内 | 選挙(現在は減少傾向) |
法執行機関を知ればアメリカのドラマがもっと面白くなる
保安官と警察の関係を知ると、アメリカのドラマや映画の見方が変わってきます。例えば、「なぜこの場面で保安官が登場するのか?」「どうして警察は令状を取りに行くのか?」といった疑問が、すんなりと理解できるようになるんです。
特に面白いのが、保安官が選挙で選ばれるという設定を活かしたドラマ。地域住民との関係、政治的な駆け引き、そして時には汚職といった要素が絡み合って、独特の物語が展開されていきます。
アメリカならではの法執行機関の特徴
アメリカの法執行機関の多様性は、実は「自治」という考え方の表れなんです。「自分たちの地域は自分たちで守る」という意識が強く、それが保安官制度として今も残っているわけです。
特に興味深いのが、大学の警察組織の存在。日本では考えられませんが、アメリカの多くの大学には独自の警察組織があり、キャンパス内での法執行権を持っています。しかも、パトカーも持っていて、逮捕権限まであるんです!
アメリカの法執行機関を語れるあなたに
ここまで読んでいただいた方は、アメリカの警察組織についての豊富な知識を手に入れました。例えば
「実は保安官って1人しかいないって知ってた?選挙で選ばれるんだよ。でも面白いのは、その下に『保安官代理』っていうスタッフがいっぱいいるんだ」
「アメリカの大学には自前の警察組織があるんだよ。パトカーまで持ってて、逮捕もできるんだ!」
といった具合に、友達や家族との会話で使えるネタが満載です。アメリカのドラマや映画を見るときも、「あ、ここで保安官が出てくるのは、この地域が田舎だからなんだ!」なんて、新しい発見があるかもしれません。
このような知識は、アメリカという国をより深く理解するためのきっかけにもなります。保安官と警察の関係一つとっても、そこにはアメリカの歴史や文化、そして「自治」という考え方が色濃く反映されているんです。
次にアメリカのドラマや映画を見るときは、ぜひ法執行機関の違いにも注目してみてください。きっと、今までとは違った楽しみ方ができるはずです。
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