座禅中に叩く棒は「警策(きょうさく)」
座禅の最中に、背中を「バシッ」と叩かれるシーンを見たことがある方も多いのではないでしょうか。実は、あの棒には「警策(けいさくorきょうさく)」という名前があり、ただの罰や修行の厳しさを示すためのものではありません。
今回は、警策について、わかりやすく解説していきます。最後までお読みいただくと、より座禅に集中できるようになることでしょう。
警策で叩く理由
座禅のときに使われる、肩や背中を軽く叩くための木の棒には「警策(けいさく/きょうさく)」という名前があります。臨済宗では「けいさく」、曹洞宗では「きょうさく」と読み、宗派によって読み方が異なります。
この警策は長さ1メートルほどで、手に持つ部分は丸く、先端は板のように平たくなっているのが特徴です。「警策」という名前は、「気を引き締めて集中を保つ(警覚)」と「やる気を奮い立たせる(策励)」という意味を持つ言葉からきています。
つまり、警策は修行者を罰する道具ではなく、座禅中に眠気が差したり、心が散ってしまったときに、再び心身を整えて座禅に集中するためのサポートとして使われるものです。身体に適度な刺激を与えることで、凝りをほぐし、リフレッシュする役割も果たしています。
また、禅の世界では、警策は知恵の象徴である文殊菩薩の手の代わりとされており、叩く行為そのものが修行を応援する意味を持っています。そのため、警策を振るう人は「与える」、受ける人は「いただく」と表現し、お互いに敬意を表して合掌し、頭を下げて行うのが作法です。
警策の歴史
今では座禅の象徴のように知られている「警策」ですが、意外にもその歴史はそれほど古くありません。実は、警策は鎌倉時代に禅宗が日本へ伝わった当初には使われておらず、広まったのは江戸時代に入ってからだと考えられています。
とはいえ、警策がいつどこで使われ始めたのか、その起源は今もはっきりしていません。どの寺で最初に導入されたのか、誰が広めたのかといった詳細もわからないのが現状です。
一説によれば、江戸時代初期に中国から来日し、黄檗宗を開いた「隠元隆琦(いんげんりゅうき)」という僧侶が日本に警策の文化を伝えたとも言われていますが、それを裏付ける確かな証拠は見つかっていません。
座禅をするときに今回の雑学を思い出してみよう!
今回の雑学を振り返ってみましょう。
座禅で使われる木の棒の名前は「警策(けいさく/きょうさく)」。眠気や集中力の低下を防ぎ、心身を整えるための道具です。罰ではなく修行を助ける意味があり、互いに敬意を払って使用されます。
今回の雑学、座禅をするときにでも思い出してみてください。